ジラールペルゴ トラベラー7000 オーバーホール・外装仕上げ・ヒゲゼンマイ修正、4番車・ゼンマイ・ツツカナ交換

腕時計修理内容

ブランド名 ジラールペルゴ
モデル名 トラベラー7000
型番 ref.7200
修理内容 オーバーホール・外装仕上げ・ヒゲゼンマイ修正、4番車・ゼンマイ・ツツカナ交換
修理料金 ¥59,500-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業7週間
症状タグ

ジラールペルゴ トラベラー7000 オーバーホール・外装仕上げ・ヒゲゼンマイ修正、4番車・ゼンマイ・ツツカナ交換

  • ジラールペルゴ トラベラー7000 今回ご紹介する時計はジラールペルゴ トラベラー7000です。

    今回ご紹介する時計はジラールペルゴ トラベラー7000です。

  • ジラールペルゴ トラベラー7000 搭載しているムーブメントはETA Cal.2892をベースにしたCal.GP255-977です。

    搭載しているムーブメントはETA Cal.2892をベースにしたCal.GP255-977です。

  • ジラールペルゴ トラベラー7000 歯車を2つ追加することでGMT機能を追加しています。

    歯車を2つ追加することでGMT機能を追加しています。

  • ジラールペルゴ トラベラー7000 4番車の軸が酷く摩耗していました。

    4番車の軸が酷く摩耗していました。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例はジラールペルゴ トラベラー7000です(画像1)。
かつての大ヒット作「GP7000」をトラベラーというモデル名の通りGMT機能を追加したモデルです。通常の時・分・秒針の3つの針の他に先端が三角形のGMT針が追加されており、24時間表記の回転ベゼルを合わせることで第2時間帯を表示します。
すでに販売済みですが、外装仕上げを含めたメンテナンスを終えてこちらと記事下部のリンクにて販売していましたので宜しければご覧ください。

こちらのジラールペルゴ トラベラー7000はお買取りさせていただいた後、販売前のメンテナンスのためにアフターサービス部へ回ってきた1本です。
長期間メンテナンスをされていなかったのか外装の傷は多く、リューズで手巻きを行っても動き出さず針回しもできない状態でした。

搭載しているムーブメントはETACal.2892をベースとしたCal.GP255-977です(画像2)。
裏蓋を取り外してまず目についたのはムーブメントの汚れです。劣化した油のカスや酸化して赤く変色した摩耗カスなどが全体的に散らばり、特に自動巻き機構の油は真黒に変色しており、4番車の軸は摩耗カスにより真赤になっていました。さらに一見してわかる程度にヒゲゼンマイの形も大きく崩れていました。
軽く見ただけでも交換や調整箇所が多いことは予想がつきましたので、詳細に状態の確認をする前に全体の大まかな状態を見てから段取りを決めることとしました。
画像は針・文字盤・GMT針を外した状態です(画像3)。通常のCal.2892に赤矢印で示した中間車とGMT歯車が追加されています。
GMT車と時針車を外すと分針を取り付けるツツカナの歯が欠けており、欠けた歯先が転がって別の歯車と地板の間で挟まっていました。それぞれ歯が欠けたため針回し操作ができなくなり、欠けた歯が他の歯車と地板の間に挟まり不動になっていました。”目に見える”不調の直接的な原因はわかりましたが、はじめに気が付いた様に他にも状態の悪い箇所はあります。
真黒になっていた自動巻き機構は分解して確認するとパーツ交換なく洗浄と注油にて対応できそうでした。ですが大量の磨耗カスが散っていた4番車はひどく摩耗してしまい(画像4)、本来は円柱形状の軸が大きく削れて"くびれ"ができていました。これだけ摩耗してしまうと交換をするしかありません。またゼンマイは巻上げ量が大きく減り見た目でもわかるほど劣化していたため、こちらも交換が必要でした。
最後に中心のズレたヒゲゼンマイは改めてよく見ると外端カーブに歪みが出ており、カーブの各所には作業跡がついていました。当店には作業履歴がない時計ですので過去の作業履歴はわかりませんが、以前の作業をした際に本来のカーブを崩してしまったようです。通常ヒゲゼンマイの調整というと所定の位置の曲がり角度を調整することで行いますが、年数を経過した時計は複数の作業者の手が入っていることが多く、今回のように通常は調整の必要のない箇所に手を付けてしまったことで自然故障とは違う人為的な壊れ方をしていることがあります。これは通常の作業と比べて修正が難しく、より一層神経を集中させなければなりません。
ここまでで交換が必要なパーツのピックアップと調整が必要な箇所の確認を終えました。
交換する4番車・ツツカナ・ゼンマイを用意しヒゲゼンマイの調整を終えてから全体をしっかりと洗浄・組立て・注油を行うと計測値・実測値とも十分な精度を記録し、自動巻き機構もしっかりと機能を回復できましたのでオーバーホールを完了としました。

こちらのジラールペルゴ トラベラー7000をお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金が36,000円、別途パーツ代が12,500円、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で11,000円です。
修理のご依頼は他店にてご購入されたお時計でも承っております。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

長期間メンテナンスをせずにいると内部のパーツは少しづつ摩耗していきます。今回のジラールペルゴ トラベラー7000の様に動かなくなるなど目に見える症状がでてからオーバーホールをご依頼いただいたときにはパーツが劣化や摩耗しきってしまい、大量のパーツ交換が必要なことも珍しくはありません。
お心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。

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  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。