IWC ポートフィノ オーバーホール

腕時計修理内容

ブランド名 IWC
モデル名 ポートフィノ
型番
修理内容 オーバーホール
修理料金 ¥29,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り2週間、ご返答いただきましてから作業5週間
症状タグ

IWC ポートフィノ オーバーホール

  • IWC ポートフィノ 修理後のお時計

    修理後のお時計

  • IWC ポートフィノ 文字盤や針を外し、針回し機構が見えやすくしました。

    文字盤や針を外し、針回し機構が見えやすくしました。

  • IWC ポートフィノ 針回しをすると小鉄車が浮いてしまう状態でした。

    針回しをすると小鉄車が浮いてしまう状態でした。

  • IWC ポートフィノ 摩擦車の油が切れていました。

    摩擦車の油が切れていました。

担当者コメントと修理のポイント

マットブラックにアラビア数字のインデックスが珍しいポートフィノです(画像1)。
ポートフィノはホワイトが多くシンプルな文字盤がほとんどでIWCではオンオフを問わない自己主張の少ないモデルですが、今回は同じ時期に発売されていたマーク12のミリタリーモデルを彷彿させるマットブラックにインデックスが珍しい仕様です。
販売されていた当時でもあまり見かけることはありませんでしたが、現在では年に一度も出会うことはないくらいで数年ぶりに見かけました。
渋谷店でお買取りさせていただき、販売するにあたり整備のためアフターサービス部に回ってきた時計です。

状態を確認をすると針回し時にカリカリ、カチカチという感触と共に空回りをしていたほか内部の油は完全に乾き、長期間メンテナンスされずに動かし続けられていた様でした。針回しの空回りは高頻度で起きていたことと、歯先同士が弾かれるような感触がありましたのでパーツの欠損を疑いつつオーバーホールを開始しました。

画像2は搭載されたムーブメントC.37521(ETA Cal.2892ベース)の針回し機構です。
リューズで針回しをすると時計内部ではリューズ・巻き芯・ツヅミ車・小鉄車・日の裏車の順番に回転し、日の裏車は分針の取り付けられている摩擦車と時針の取り付けられているツツ車を回転させます(画像ではツツ車を外してあります)。

画像3は小鉄車とツヅミ車のアップです。
針を回そうとすると小鉄車が浮いてしまいツヅミ車との噛み合いが外れてしまう状態でした。この噛み合いが外れた時に歯車同士が弾かれてカリカリ、カチカチという感触が指に伝わっていました。お買取りさせて頂く前に何度も操作を繰り返したようでツヅミ車と小鉄車の歯先は少し摩耗していました。操作時の感触の原因はわかりましたが、通常であれば針回しをしただけでは噛み合いが外れてしまうほど力はかかりません。どこに大きな力が必要になっているのか辿っていくと摩擦車にいきあたりました。

画像4は摩擦車の裏側です。
摩擦車のパイプ部分はカナが固定され画像の反対側の先端には分針が取り付けられます。また歯車から延びるスポークはパイプと完全には固定されていません。摩擦力でカナと歯車を固定することで普段は一緒に回転し、針回し時にはカナだけを回転させることができます。
このポートフィノは摩擦部分の油が切れていたために摩擦力が大きくなっていました。そのため針回しに必要な力が大きくなりツヅミ車と小鉄車の噛み合いが外れていました。
摩擦車の洗浄と注油を行い仮組みをしたところ針回しの空回りは再発しなくなりました。歯先に負荷がかかっていた小鉄車とツヅミ車の摩耗も軽微だったため交換する必要はありませんでした。改めてすべてのパーツを洗浄・組み立て・注油を行い、実測テストでも調子よく動作することを確認しオーバーホールを終えることができました。
こちらは外装仕上げ後に店頭に並ぶ予定です。

ご紹介したETAベースのポートフィノの革ベルトモデルをお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金が¥29,000円~(パーツ代金別途)、外装仕上げもセットでご依頼の際はオーバーホールとのセット料金で+¥5,000円で承っております。

メンテナンスをついつい先延ばしにしてにしてしまうと内部は気が付かないうちに劣化してしまい、ある日突然止まったり操作ができなくなったりしてしまいます。お手元の保証書などを確認されて心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。