モーリス・ラクロア マスターピース　レヴェイユ オーバーホール

担当者コメントと修理のポイント

ご覧いただきありがとうございます。
宝石広場　時計修理センター渋谷　藤本と申します。

今回ご紹介する修理事例はモーリス・ラクロア　マスターピース　レヴェイユです。
クラシカルなモデルが多いモーリス・ラクロアの創業は1975年で､時計業界では意外と新しいブランドです。2016年にラグジュアリースポーツテイストのアイコンを発表しヒットしたのが記憶に新しいかと思います。

搭載されているムーブメントはア・シルド（AS）Cal. 5008です。アラーム機能搭載のエボーシュムーブメントで、ベースムーブメントとしてヴァルカンやアラン・シルベスタイン、パネライでも使用されているモデルがあります。
機械式アラーム時計なのでもちろん電子音が鳴るわけではなく、ゼンマイの力を利用してハンマーが金属をたたくことで音と振動を発生させます。(画像4)
200年以上前から置時計や懐中時計でもアラーム機能はあったものの、小型化され腕時計として搭載されたのは1950年代頃にヴァルカンやジャガールクルトが市販化したことから始まったと言われてます。

こちらのマスターピースアラーム　レヴェイユは宝石広場　渋谷本店でお買取りし、販売にあたり修理センター渋谷にてメンテナンスを行いました。ギャランティーなど付属品が無く製造年が不明でしたが、油切れしたムーブメントには作業された形跡があるのでメンテナンス後に長くご使用されてきた個体と推測しました。油切れによりオーバーホールは決定しましたが手の入ったムーブメントでしたのでいつも以上に慎重に点検したところ時計内部の状態は想像より悪くはなく、各部の油切れ以外はパーツの摩耗はなさそうです。

時計正面をご覧いただくとリューズが2つあります。（画像1）
上が時計用、下がアラーム用のリューズです。リューズから香箱に繋がる丸穴車と角穴車もそれぞれ独立しており、動力用とアラーム用のゼンマイがあります。（画像2）
多くの時計は通常1つずつしかない角穴車・丸穴車が2つずつあり、歯車が多いことで裏ガラス越しにムーブメントを眺めるのも楽しいと思います。

自動巻きはローターの回転方向によりそれぞれのゼンマイを巻き上げる面白い機構です。（画像3）
長く製造されたので設計は古いですが比較的シンプルな造りをしていて慣性と部品同士の抵抗が小さいため、少ない腕の動きでもきちんとローターで巻き上げを行うことができます。

点検時に確認した通りパーツは幸いにも劣化は少なく交換の必要はありませんでした。パーツを丁寧に洗浄し、ムーブメント組み上げ、各部に注油と調整を行いオーバーホール完了です。
今回のモーリス・ラクロア　マスターピース　レヴェイユのお修理を承った場合、オーバーホール基本料金は￥33､000-でパーツ代は別途料金となります。オーバーホールと合わせて外装仕上もご希望の場合はセット料金で＋￥12,000-です。
長期間メンテナンスを行っていない時計でもゼンマイを巻けば動作することはありますが、潤滑油の減少によりパーツの摩耗劣化が進みやすくなり精度や持続時間など機能が低下してきますので定期的なオーバーホールをお勧めしております。
当店は渋谷で長く実店舗を構え、年間6,000本の修理実績がございます。当店でご購入のお時計でなくてもオーバーホールを承っておりますのでお気軽にご相談くださいませ。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。