ユニバーサルジュネーブ コンパックスクロノ オーバーホール・外装仕上げ・ゼンマイ、切替車、減速車、角穴駆動車交換

腕時計修理内容

ブランド名 ユニバーサルジュネーブ
モデル名 コンパックスクロノ
型番 ref.698.400
修理内容 オーバーホール・外装仕上げ・ゼンマイ、切替車、減速車、角穴駆動車交換
修理料金 ¥76,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答を頂いてから作業8週間
症状タグ

ユニバーサルジュネーブ コンパックスクロノ オーバーホール・外装仕上げ・ゼンマイ、切替車、減速車、角穴駆動車交換

  • ユニバーサルジュネーブ コンパックスクロノ 今回ご紹介する修理事例は ユニバーサルジュネーブのコンパックス クロノです。

    今回ご紹介する修理事例は ユニバーサルジュネーブのコンパックス クロノです。

  • ユニバーサルジュネーブ コンパックスクロノ 搭載しているムーブメントはETA Cal.7750ベースのCal.UG98です。

    搭載しているムーブメントはETA Cal.7750ベースのCal.UG98です。

  • ユニバーサルジュネーブ コンパックスクロノ 赤丸で囲った箇所に切替車・減速車・角穴駆動車・角穴車が組付けられています。

    赤丸で囲った箇所に切替車・減速車・角穴駆動車・角穴車が組付けられています。

  • ユニバーサルジュネーブ コンパックスクロノ 今回交換したパーツ。左からゼンマイ、切替車、減速車、角穴駆動車交換です。

    今回交換したパーツ。左からゼンマイ、切替車、減速車、角穴駆動車交換です。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例は ユニバーサルジュネーブのコンパックス クロノです(画像1)。
1930年代に自社開発のムーブメントを搭載したコンパックスというモデルがシリーズのはじまりで、トリコンパックスやエアロコンパックスなど様々な派生モデルが生み出されています。こちらは1990年代に製造された近年のモデルで、定評のあるETA Cal.7750をベースにしたCal.UG98を搭載しています(画像2)。
修理とは話がそれてしまいますが、往年のユニバーサル・ジュネーブは多数のムーブメントを自社開発し、それらを搭載した時計を世に送り出してきたクロノグラフの名門メーカーでした。クォーツムーブメントが台頭してきたころも音叉時計をブローバと共同開発を行いましたが1989年に買収されてしまい、その後も存続はしていたものの国内に代理店がないため目に触れる機会は多くありませんでした。
2023年末にブライトリングが買収したというニュースを聞いて国内の展開や新規ムーブメントの開発があるのではないかと個人的に今後が気になっています。
話を今回のコンパックスクロノに戻します。こちらは渋谷本店でお買取りさせて頂き、販売前のメンテナンスを修理センター渋谷が受けた一本です。 付属品やご使用状況に関する情報もなく、どんな状態なのかは現物を見るしかありませんでした。もちろん現物を見て行う作業を決めていくのが基本ですが、やはり事前の情報がある方が状態を想定や不具合の原因も発見しやすいです。
まず始めに外装の確認を進めていくと全体的に傷はついているものの大きな削れや打痕はありませんでした。次にリューズのグリスが切れていたため操作は重く、それとは別に手巻きを行うと内部でローターが激しく回転し振動が手に伝わってくるほどでした。手巻きの際にローターが一緒に回転してしまう状態を連れ回りといい、切替車に原因があります。外装の状態とリューズ操作の重さからメンテナンスは行われていないと想定し、連れ回りもしていることからこの時点でオーバーホールが必要と判断し裏蓋を開けて内部を点検しました。
搭載されているETA Cal.7750ベースのCal.UG98は 仕上げされたローターにロゴとキャリバーナンバーが入っている以外に大きな違いはありません。ヴィンテージ時計がお好きな方でしたら「ユニバーサルジュネーブ=自社ムーブメント」というイメージをお持ちかもしれませんが90年代以降は汎用ムーブメント搭載モデルがほとんどです。自社ムーブメントを搭載しているヴィンテージのユニバーサルジュネーブの場合パーツが破損してしまうと交換は非常に難しく、経年劣化と共に何度も修理されたムーブメントは繊細で取り扱いにも気を使います。その点、今回のコンパックスクロノは一般に普及しているCal.7750を搭載していますのでパーツの入手に関しては心配がありません。こちらも20年以上経過したヴィンテージ時計ですので防水面などは現行品より気を使う点はあっても、自社ムーブメントを搭載しているモデルと比べると気軽に楽しむことができます。
想定した通り、連れ回りの原因になっている切替車を含めた自動巻き機構周辺が特に多く摩耗粉が付着していました。全体を見やすくするためローターを外して付着した箇所を赤丸で囲いました(画像3)。自動巻き機構の回転はローター・切替車・減速車・角穴駆動車・角穴車・香箱真・ゼンマイの順に伝えています。その中で切替車・減速車・角穴駆動車が摩耗し交換が必要な状態でした。油が枯れて自動巻きの効率が落ちた後も手巻きで動かしていたために軸が摩耗したのでしょう。劣化していた動力ゼンマイも含めたパーツ類(画像4)の交換・洗浄・注油・組立てを行うと精度よく動作するようになりましたので、外装の仕上げの後で店頭に並ぶ予定です。

こちらのユニバーサル・ジュネーブ コンパックスクロノをお客様からお預かりした場合はオーバーホール ¥43,000、外装仕上げ ¥12,000、パーツ交換が ¥21,000合計 ¥76,000です。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

今回のコンパックスクロノのように汎用ムーブメントを搭載されている時計は交換パーツの入手が容易という点で大きな安心感がありますが、製造が終了している自社開発ムーブメントを搭載した時計を所有することはパーツ入手のリスクを負ってでも何ものにも代えがたい喜びがあり優劣をつけることはできません。いずれにしても製造から数十年を経過している時計は防水性能や外的要因に対して弱く、針や文字盤を含めた外装パーツの交換が発生しても製造が終わっており同じものは入手できませんので、ご使用には現行時計よりも充分ご注意ください。
少しでも違和感があった場合はそれが将来的に致命的な破損につながることもあります。不安を感じた際にはお気軽にお問い合わせください。

ユニバーサル・ジュネーブ UNIVERSAL GENEVE (中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。