ロレックス オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ オーバーホール・外装仕上げ
腕時計修理内容
ブランド名 | ロレックス |
モデル名 | オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ |
型番 | ref.116509 |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ |
修理料金 | ¥77,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただいてから作業6週間 |
症状タグ | 止まる油切れ |
今回ご紹介する修理事例はロレックス オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナのオーバーホール・外装仕上げです。
搭載しているムーブメントはCal.4130です。
裏蓋を開けたところ黒い粉が散らばっていたのでオーバーホールを行うことを決めました。
ロレックス コスモグラフ デイトナ (中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
ロレックス コスモグラフ デイトナ(新品)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はロレックス オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナのオーバーホール・外装仕上げです(画像1)。
こちらのモデルはアメリカのフロリダ州デイトナビーチにあるオーバルトラック、”デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ”にその名を由来する高級スポーツモデルです。その人気から「KING OF ROLEX」とも評されるブランドを代表するモデルでロレックス社唯一のクロノグラフでもあります。現行モデルのRef.126500LNはデイトナ初となるセラミックベゼルや次世代ムーブキャリバー4131が搭載され不動の人気を誇っています。
メンテナンスを終えてこちらで販売しておりますので、よろしければご覧ください。
こちらのデイトナは渋谷本店でお買取り後に修理センター渋谷が販売前のメンテナンスを依頼された一本です。当店には2012年に新品販売後、2013年にメンテナンスを行った後の履歴はありません。メーカーや他店でもメンテナンスを行っていなければ、10年以上経過した内部の油は経年により劣化しオーバーホールが必要な状態と想定しました。
外装には多くの傷があり飾るだけではなく日常的にご使用されていたことが窺えました。中でもベゼルの傷は外装仕上げ後も残りそうでした。
ベゼルの装飾方法は様々なタイプがあり、今回のデイトナはベゼルに彫った数字や記号の形の溝に黒い塗料を入れています。この方法は多くのメーカーやモデルが採用しているものの、ほとんどの場合で溝は浅くしか彫られていません。そのため外装仕上げによりわずかに表面を削り落としただけでも影響が大きく、深い傷を取り切ろうとすると溝がさらに浅くなることで塗料が剥がれやすくなったり定着しづらくなります。傷を取り切ってもも本来あるべき塗料が入っていなくては違和感が大きいため、当店では傷を取り切ることよりも形を保つことを優先して外装仕上げを行っております。
リューズの操作はグリスが切れていたため何をするにも重くなっていました。さらに手巻きや時間合わせは一段と重かったことから内部の油も劣化・減少していると推測しました。
搭載しているムーブメントはCal.4130です(画像2)。方々で語りつくされたムーブメントなので簡単に話しますと2000年に発表されてから2023年にCal.4131が搭載されるまで23年間という長期間採用され続けたムーブメントです。採用期間中にもヒゲゼンマイの変更やLIGAによりクロノグラフ秒針車が精密加工されるなどの改良が加えられました。
今回のデイトナに話を戻します。裏蓋を開けたところ黒い粉が散らばっていたのでオーバーホールを行うことを決めました。そこで状態確認は交換が必要なパーツの有無に注意を払うことにしました。
交換が必要なパーツの内容によって当店工房が良いときとメーカーの方が良いときがあります。これはパーツの価格が年々高騰しているためで歯車1枚で数万円の物もあります。例えば交換が必要な場合の多い切替車は高額で、オーバーホール(¥60,000-)と合わせるとメーカーの基本料金を超えてしまいます。ではメーカーはというと、オーバーホールにある程度のパーツ交換が含まれてはいるものの基本料金は¥92,400-と当店より高額です。さらに近年オプションの扱いになった外装仕上げを追加したり一定以上のパーツ交換が含まれると¥200,000-前後になることも珍しくありません。
幸い黒い粉は劣化した油が油だまりから飛散したものでパーツに磨耗はありませんでした。分解を終えて全てのパーツを確認しても交換が必要なものはなく、歯車の噛み合わせ調整のみで問題なく動きそうでした。劣化した油を洗浄し組立てと新しい油を注すと調子よく動作しましたので、外装仕上げを終えて店頭に並んでいます。
こちらのロレックス オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナをお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金¥60,000-、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で外装仕上げ¥が¥17,000-です。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
耐久性が高いとされるロレックスでも経年による劣化や摩耗はあります。ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたらオーバーホールだけでは完調にならず交換パーツが多く必要になったり、当店では入手のできないパーツ交換が必要で高額になりがちなメーカー修理が必須になることもあります。
気が付いた時点でメンテナンスをされれば今回のデイトナのように摩耗が軽微でパーツの交換が不要になることもあります。新しい油で潤滑することでパーツの交換を必要最小限にとどめやすくなりますので、長く使うためにも定期的なメンテナンスは必要です。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。