パテック フィリップ ゴンドーロ スイス修理
腕時計修理内容
ブランド名 | パテック フィリップ |
モデル名 | ゴンドーロ |
型番 | ref.5024 |
修理内容 | スイス修理 |
修理料金 | ¥-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | |
症状タグ | 止まる水/湿気入り錆び・腐食 |
今回ご紹介する修理事例はパテック フィリップ ゴンドーロ です。
搭載しているムーブメントはベーシックな2針にスモールセコンドのCal.215PSです。
ムーブメントを取出すと文字盤の下に腐食したパーツが見えました。
針と文字盤を外して状態を確認するとカンヌキとオシドリが腐食していました。
パテック フィリップ ゴンドーロ (中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
パテック フィリップ ゴンドーロ(新品)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はパテック フィリップ ゴンドーロ です(画像1)。ラウンド型以外のケース形状で構成されるゴンドーロコレクションは1993年に誕生しました。ブラジルの販売店”ゴンドーロ&ラブリオ”社に1872年から1927年まで納入していたクロノメトロ ゴンドーロからネーミングされています。レクタングラー(長方形)型・トノー(樽)型・クッション(正方形)型などのケース形状があり、どれもパテック フィリップの歴史を感じさせる上品でオリジナリティあふれるタイムピースです。
こちらのゴンドーロは渋谷本店でお買取りの後、修理センター渋谷が販売前のメンテナンスの依頼を受けた一本です。付属品がないため正確な製造年がわかりませんが、ref.5024の製造期間と当店が過去に取り扱い記録してきた別個体のシリアルナンバーと照らし合わせて90年代なかばから2004年の間と推測しました。
外装の状態が非常に悪くケースに多数の打痕、針に劣化、裏蓋のネジ穴に歪みがありました。リューズの操作は手巻きと針回しを切り替えが明らかに通常より軽い状態でしたのでオーバーホールが必要な状態と判断し、裏蓋を開けて点検を進めることにしました。
搭載しているムーブメントはベーシックな2針にスモールセコンドのCal.215PSです(画像2)。ムーブメント枠の角に傷があり、リューズ付近に緑青が発生していました。傷がある場所から力をかけてムーブメントを取り出した跡と推測しました。残念ながら多くのヴィテージのモデルは今回のゴンドーロの様にそれまで行われたメンテナンス中についた大小の傷があります。また防水性能も低下しているため湿気の混入により緑青や錆が発生していることも多いです。
ムーブメントを取出すと文字盤の下に腐食したパーツが見えました(画像3)。針と文字盤を外して状態を確認するとカンヌキとオシドリが腐食し真黒になっていました(画像4)。詳細にカンヌキとオシドリの状態を確認するため取り外そうとしたところ、先に取り外した裏抑えに違和感がありました。はじめは気がつけませんでしたが裏押えの先端が非常に薄くなっていました。おそらく腐食を除去するために薄く削ったのでしょう。作業当時はそれで良かったのかもしれませんが、今回は発生した錆を完全に除去すると穴が開きかねないほど薄い状態です。
カンヌキとオシドリは厚みがあるため錆を除去すれば再利用できるかもしれませんが、裏抑えは前述の通り交換が必要です。パーツの流通はないのでメーカーでコンプリートサービスが必要です。
分解したパーツを組み直しメーカーへ修理の依頼をしたところ、国内対応不可のためスイス修理とのことで時間・金額ともにまだ不明ですが、全てのメンテナンスを終えたら店頭に並ぶ予定です。
パテック フィリップ ゴンドーロをお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金¥42,000~、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で外装仕上げ¥15,000です。またメーカーのコンプリートサービスは基本料金がスイスフランで900CHF(158312.70円 6/10現在)です。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたらオーバーホールだけでは完調にならず交換パーツが多く必要になったり高額なメーカー修理が必須になることもあります。特にヴィンテージ モデルはパーツの素材が経年劣化し破損・欠損しやすく防水性能も低下しているため、繊細な扱いが必要になります。そのため現行品と比べると不調がなくとも定期メンテナンスが重要です。
心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。