オメガ スピードマスター プロフェッショナル オーバーホール、外装仕上げ

腕時計修理内容

ブランド名 オメガ
モデル名 スピードマスター プロフェッショナル
型番 ref.3560-50
修理内容 オーバーホール、外装仕上げ
修理料金 ¥59,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答いただいてから作業7週間
症状タグ

オメガ スピードマスター プロフェッショナル オーバーホール、外装仕上げ

  • オメガ スピードマスター プロフェッショナル 今回ご紹介する修理事例はオメガ スピードマスター プロフェッショナルのオーバーホール・外装仕上げです。

    今回ご紹介する修理事例はオメガ スピードマスター プロフェッショナルのオーバーホール・外装仕上げです。

  • オメガ スピードマスター プロフェッショナル 裏蓋にはアポロ11号の記章となったハクトウワシが刻まれています。

    裏蓋にはアポロ11号の記章となったハクトウワシが刻まれています。

  • オメガ スピードマスター プロフェッショナル 傷防止の青いコーティングは修理会社によっては外装仕上げの後に塗布されます。赤い塗料は開封すると割れてしまいます。

    傷防止の青いコーティングは修理会社によっては外装仕上げの後に塗布されます。赤い塗料は開封すると割れてしまいます。

  • オメガ スピードマスター プロフェッショナル 搭載しているムーブメントはCal.1861です。

    搭載しているムーブメントはCal.1861です。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例はオメガ スピードマスター プロフェッショナルのオーバーホール・外装仕上げです(画像1)。時計好きなら誰しもが知っている定番モデル スピードマスター・プロフェッショナルのアポロ11号月面着陸30周年を記念した1999年の限定モデルです。文字盤側は通常と同じデザインですが、裏蓋にはアポロ11号の記章となったハクトウワシが刻まれています(画像2)。

こちらは渋谷本店でお買取り後、販売前のメンテナンスのために修理センター渋谷が依頼された一本です。ギャランティーの記載は1999年と古く、経過年数を考慮すれば内部の油は劣化しているはずです。当店にこの個体の作業履歴はありませんがメーカーや他店でメンテナンスを行っていればその限りではありません。正確な状態を把握するため外装と内装の状態確認を進めました。

はじめに外装を見ると経過年数に対して傷はほとんどなく状態も良かったためコレクション保管品と考えました。ですが外装仕上げの形跡と傷防止の青いコーティング剤が塗布されているにもかかわらず裏蓋には赤い塗料の破片が付着したままです(画像3)。赤い塗料は一時期オメガが工房から出荷した未開封の証として、裏蓋とケースにまたがって塗布していたもので、裏蓋を開封すると画像3の様に割れてしまいます。また傷防止のコーティング剤は当店とメーカーは使っていませんが、修理会社によっては外装仕上げ後に塗布されることがあります。
外装の次に操作感を確認すると経過年数を考えるとグリス切れしていてもおかしくないリューズがスムーズに回転したため、少なくとも外装は近年にメンテナンスをされたと予想しました。もし内部もオーバーホールが行われているなら今回は軽メンテナンスで作業を終えることで整備コストを抑えた価格で店舗に並べられる可能性があります。その点を考慮しつつ内部の状態を確認しました。

内部を見ようと裏蓋を回したところ、しっかりと締められておらず手で簡単に開けられる状態でした。また通常は外装仕上げの際に除去する赤い塗料が残っていることも不安要素の一つ。仮にメンテナンスをされていたとしても作業に抜けが多く、作業ミスや湿気入りの可能性が高いため警戒しつつ確認を進めました。

搭載しているムーブメントはCal.1861です(画像4)。このムーブメントの歴史は長く、Cal.1861の元となったCal.861の開発が1968年、さらに遡るとCal.861の元となったCal.321は1957年の開発です。また2019年にCal.3861が開発されており、基本的な設計を変えず振動数や脱進機構を時代に合わせてアップグレードさせながら70年近く作られ続けています。
今回のスピードマスター プロフェッショナルに話を戻します。摩耗粉や汚れはありませんでしたが、各所の油を確認すると全体的に減少し全くない箇所もありました。外装仕上げ後に傷防止のコーティング剤まで塗布されているにもかかわらず内部の油が切れており、状態が大きく異なります。これらのことから外装仕上げのみ行い、内部はオーバーホールはされていないと判断しました。

分解しパーツを一点づつ確認したところ、幸い未作業で長期間経過しているにも関わらず交換が必要なほど摩耗している箇所はありませんでした。丁寧に洗浄を行った後で組立て・注油と作業を進めると計測値・実測とも良好な精度を記録しましたので、外装仕上げを終えたら店頭に並ぶ予定です。

こちらのオメガ スピードマスター プロフェッショナルをお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金¥39,000、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で外装仕上げ¥20,000です。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

購入時に外装が綺麗だったとしても今回の様に内部は未整備の時計は残念ながら存在します。ですが問題なく使用できていても内部的にはオーバーホールが必要な場合も珍しくありません。ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にオーバーホールだけでは完調にならず交換パーツが多く必要になったり、高額なメーカー修理が必須になることもあります。
ご使用にならなくとも経年による油の減少はありますので、長く使うためにも定期的なメンテナンスは必要です。新しい油で潤滑することでパーツの交換を必要最小限にとどめるとともに、当店で入手困難なパーツ交換を避けやすくなります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。

オメガ スピードマスター (中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

オメガ スピードマスター(新品)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。