オメガ デ・ヴィル オーバーホール・外装仕上げ、ブレスレットメンテナンス

腕時計修理内容

ブランド名 オメガ
モデル名 デ・ヴィル
型番 ref.4500-31
修理内容 オーバーホール・外装仕上げ、ブレスレットメンテナンス
修理料金 ¥49,700-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業6週間
症状タグ

オメガ デ・ヴィル オーバーホール・外装仕上げ、ブレスレットメンテナンス

  • オメガ デ・ヴィル 今回ご紹介する修理事例はオメガのクラシック コレクション デ・ヴィル プレステージ のオーバーホールと外装仕上げです。

    今回ご紹介する修理事例はオメガのクラシック コレクション デ・ヴィル プレステージ のオーバーホールと外装仕上げです。

  • オメガ デ・ヴィル 駒からピンとパイプを抜いたところです。

    駒からピンとパイプを抜いたところです。

  • オメガ デ・ヴィル 右の駒にパイプを取付けたところです。

    右の駒にパイプを取付けたところです。

  • オメガ デ・ヴィル 搭載しているムーブメントはETA Cal.2892A2をベースとしたCal.1109です。

    搭載しているムーブメントはETA Cal.2892A2をベースとしたCal.1109です。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例はオメガのクラシック コレクション デ・ヴィル プレステージのオーバーホールと外装仕上げです(画像1)。3針に日付けのみというシンプルなデザインは永くご愛用いただけます。オメガのメーカーメンテナンス費用は近年大幅に値上げされてしまいましたが、デ・ヴィル プレステージは販売価格が手頃でお求めやすく当店工房でのオーバーホールが可能なため、維持コストが安価に抑えられますのでお勧めのしやすいモデルです。
既に販売済ですがこちらにて販売しておりましたので、よろしければご覧ください。

今回のデ・ヴィル プレステージは渋谷本店でお買取りさせて頂き、修理センター渋谷が販売前のメンテナンスの依頼を受けた時計です。正確な製造時期はわかりませんが、当店で記録している同モデルのシリアル情報から1999年前後と推測しました。
外装は経過年数から想像できる通りに傷が多く、ケースやブレスレットの裏側は大量の汚れが付着していました。時計の裏側は特に肌と触れますので皮脂やハンドクリームなどが付着し易く、日常的な拭き取りや定期的な洗浄を行わないと徐々に汚れが溜まってしまいます。これまでの経験上、このように汚れの多い時計は長期間メンテナンスがされていない場合が多かったことから、オーバーホールが必要と予想しました。そのため劣化や摩耗したパーツがある可能性が高いことを考慮に入れて点検を進めました。

このデ・ヴィル プレステージは駒を固定しているピンとパイプが摩耗してしまいブレスレットは大きなガタがありました。
ブレスレットの駒が連結している作りを説明しますので、少しでもわかり易くなると思い別モデルですが画像を撮りました(画像2・3)。駒からピンを抜いたところとパイプを取付けて斜めから見たところです。右側の中駒3つの穴はパイプが入る大きさで、左側の駒はピンがスムーズに入る程度になっています。左右の駒を組み合わせて穴にピンを通すとパイプには圧入されることで抜けることなく連結されています。
駒の取付けにピンとパイプを使う方法は様々なメーカーが採用しています。腕時計を使用することでピンとパイプは常に微細な振動や摩擦により徐々に摩耗しますが、通常の使用ではすぐに脱落するほど進行しません。各メーカーも組み合わせ本数の違いはありますが、多く採用される定番の固定方法です。
今回のデ・ヴィル プレステージのように長期間メンテナンスせずにご使用されると、ピンとパイプの摩耗が大きくなり、またブレスレットに付着した汚れが湿気を吸うことで腐食の原因となって劣化することで圧入の固定力を低下させることにも繋がります。最終的には腕時計を使用中に固定力のなくなったピンが抜け落ち、時計を落下させ破損する危険性が高まります。そのため日頃のお手入れとしてご使用後に時計の拭き取りを行い、拭き取りでは取り切れない汚れを除去するため定期的な洗浄をお勧めします。
またピンとパイプが劣化しているにも関わらず抜けずにいる場合は、付着した汚れや錆が隙間を埋めることで固定(固着)していることがあります。そのようなブレスを洗浄し汚れや錆がなくなると、逆にピンとパイプがスカスカの状態になって抜けてしまい駒がバラバラになってしまいます。交換する箇所がわかる場合は先に新しくピンとパイプを用意することもありますが、今回のデ・ヴィル プレステージは汚れの付着により傷や打痕の確認もできない状態だったため先に洗浄を行いました。洗浄後にピンとパイプを確認すると全ての個所で固定力がなくなっていました。

搭載しているムーブメントはETA Cal.2892A2をベースとしたCal.1109です(画像4)。内部は予想と反してネジに作業跡があり、劣化しているものの油が残っており摩耗粉はありませんでした。外装の状態と合わせて推測すると、前回のオーバーホールから期間が経過しており、またその期間も長かったためにケースやブレスレットの裏側に大量の汚れが付着したのでしょう。メンテナンスの跡があったことは予想外でしたが、いずれにしても油が劣化していたためオーバーホールが必要な状態でした。

パーツの状態を確認しつつ慎重に分解しましたが、特に再調整が必要な箇所や交換が必要なパーツはありませんでした。洗浄して劣化した油を洗い流し、組み立てと新しい油を注すと安定した精度が記録できました。全てのピンとパイプをメーカーで交換し、こちらにて販売しておりましたので、よろしければご覧ください。

こちらのオメガ デ・ヴィル プレステージを当店購入のお客様よりお預かりした場合、オーバーホール ¥28,000~、外装仕上げ¥14,000、ブレスレットメンテナンス¥7,700にて受け付けております。当店でご購入いただいたお時計のメーカーのメンテナンス費用はメーカー料金をそのままご案内しておりますが、他店で購入されたお時計代行手数料¥15,000を追加で頂いておりますのでご了承下さいませ。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

埃や汚れをそのままにすると湿気を吸着し劣化や錆の原因となります。腐食したブレスレットのピンとパイプは劣化が急速に進み固定力を失うことで簡単にピンが抜けてしまいます。先述したように使用中にピンが抜けて時計が落下した場合、大きな衝撃を受けてしまいます。仮に落下箇所が固い床や路面だとガラスなど外装が破損することがあり、逆に柔らかい絨毯で外装部にダメージが見られない場合も内部には衝撃が伝わり、文字盤の足が折れることがあります。どちらの場合もメーカーでの高額な修理費用がかかってしまいます。そのためにも日常的な拭き取りを行うことが大切で、外装は良い状態を保つことができると腐食が起きにくくなります。また費用の面だけでなく日常的な拭き取りでお手入れをすることで時計の状態チェックにもなり、致命的な不調が起こる前に気がつくことがあります。
お心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。


中古 629867001 4500-31 デ・ヴィル|オメガ|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

オメガ デ・ヴィル (中古)| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。