オメガ シーマスタープロフェッショナル オーバーホール・外装仕上げ
腕時計修理内容
ブランド名 | オメガ |
モデル名 | シーマスタープロフェッショナル |
型番 | ref.2531-80 |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ |
修理料金 | ¥40,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業8週間 |
症状タグ | 止まる油切れ |
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今回ご紹介する修理事例はオメガ シーマスタープロフェッショナルです。
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裏蓋には赤い塗料のかけらが付着していました。
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裏蓋の内側にも塗料の破片がついていました。
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搭載しているムーブメントはETA Cal.2892がベースのCal.1120です。
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私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はオメガを代表するダイバーモデルのシーマスター プロフェッショナルです(画像1)。
機能やデザインの違いにより様々なモデルが存在しますが、このシーマスタープロフェッショナルは300mの防水性能を備え文字盤には青い波の模様が入ったベーシックなモデルです。
既に販売済みですがこちらと記事の最下部のリンクにて販売しておりましたので宜しければご覧ください。
渋谷本店でお買取りさせて頂き、販売前のメンテナンスをアフターサービス部に依頼された1本です。メーカーの保証書には2000年の販売日付が記載されており、製造から少なくとも22年は経過しています。
多くの場合、20年以上前のダイバーモデルのブレスレットは長年の使用による摩耗のためガタが大きくなり全体的にくたびれてしまいます。今回のシーマスターは多少の使用傷こそあるものの、経過年数を考慮するとブレスレットのガタも小さく外装の程度は良好でした。ところが動作状態を確認してみるとリューズはグリス切れしたパッキン特有の感触があり、テンプの振り角が極端に低く精度も不安定な状態でした。外装と内装の程度に大きく差がありますので、あまり使わずに長期間保管していたのかもしれません。
裏蓋を開けようとしたところ久しぶりに見かけたのでご紹介します(画像2,3)。
今では行われていませんが、以前のオメガ製品は未開封の印として裏蓋とケースにまたがり赤い塗料を塗布して封がされていました。 この塗料は乾燥すると硬化するため、裏蓋を開けると塗料に亀裂が入り開けたことがわかるようになっています。見た目は簡略化されていますが、お酒や香水などの蓋に施されている封蝋と同じですね。今回のオメガ シーマスタープロフェッショナルはすでに塗料が割れて裏蓋だけに付着しており、どこかで裏蓋を開けたことがわかります。一般的にはオーバーホールとセットで行われるケース洗浄や外装仕上げの際に塗料もはがしてしまいます。このことから軽微な作業は行われていたとしてもオーバーホールや外装仕上げは行われていないと想定して作業を進めることとしました。
搭載しているムーブメントはETA Cal.2892をベースにしたCal.1120です(画像4)。
22年以上という長期間メンテナンスをしていないことから磨耗や破損などがあるものと想定していたのですが、内部を見てみると油の減少や劣化はありましたが摩耗カスなどは見当たりませんでした。
油はご使用にならずとも経年により劣化・減少しますし、歯車が潤滑されていない状態で動かしてしまうとパーツの摩耗は一気に進みます。外装に傷が少なめだったことも考慮しますと元々使用頻度が低くく、特に近年は使用されることも無かったのではないでしょうか。状態を確認しつつ全てのパーツを取り外しましたが、経年による油の劣化はみられるものの摩耗し交換が必要なパーツはありませんでした。綺麗に洗浄した後、組み立てと注油を行うことでテンプの振り角も回復し計測値・実測値とも良好な精度を出せました。
こちらのオメガ シーマスターをお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金が26,000円、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で14,000円です。
修理のご依頼は他店にてご購入されたお時計でも承っております。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
長期間メンテナンスをせずにいると目に見える症状がなくとも内部の油は徐々に劣化し汚れていきます。劣化した油でご使用されることで内部パーツの摩耗が進み、摩耗カスが油の劣化を促進することでさらに内部パーツの摩耗が進んでしまいます。こうした悪循環によって加速度的に状態が悪化してしまい、オーバーホールのご依頼いただいたときには大量のパーツ交換が必要なことも珍しくはありません。
お心当たりのある場合は不調の起こる前にぜひ当店にご依頼ください。