ブレゲ クラシック オーバーホール・外装仕上げ
腕時計修理内容
ブランド名 | ブレゲ |
モデル名 | クラシック |
型番 | ref.5907BR/12/984 |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ |
修理料金 | ¥67,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業7週間 |
症状タグ | 定期メンテナンス油切れ油劣化 |
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今回ご紹介する修理事例は端正なたたずまいを持つクラシックモデルref.5907BRのオーバーホールと外装仕上げです。
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ダイヤルに施されたギョシェは次の通り ①クル・ド・パリ ②パニエ ③フィレ ④リズレ
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搭載しているムーブメントはCal.511DRです。
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自動巻き機構を取り払い、空いたスペースにパワーリザーブインジケータ―が追加されています。
5907BR/12/984 クラシック 中古 | ブレゲ|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
ブレゲ クラシック(中古)|パテック・フィリップ| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例は端正なたたずまいを持つクラシックモデルref.5907BRのオーバーホールと外装仕上げです(画像1)。
ギョシェの施されたダイヤル、ブルースチールのブレゲ針、コインエッジのケースなど様々なブレゲらしい特徴を持ちながら、全てが融けあう絶妙のデザインです。あえてケース裏に置かれたパワーリザーブが洒落ています。
既に販売済みですが、こちらで販売しておりましたので、よろしければご覧ください。
こちらのブレゲ クラシックは新宿店でお買取りさせていただき、販売前のメンテナンスを修理センター渋谷が依頼された一本です。前述しましたダイヤルのギョシェは傷がなく綺麗な状態です。ギョシェは装飾として語られることが多いですが、小さな擦り傷でも艶を失うポリッシュダイヤルと比べて傷が目立ちづらいことや、光を均一に反射しない性質により視認性を向上させるといった機能的な側面もあります。
また一口にギョシェと言っても様々な模様があり、今回のクラシックは中央にクル・ド・パリ、6時のインダイヤルにパニエ、インダイヤルとダイヤル外周にそれぞれフィレとリズレという模様が施されています(画像2)。他によく使われる模様は中央から放射状の線を描くソレイユ、波模様のヴァーグ、麦をかたどったグレンドルジュなどがあります。
話を今回のクラシックに戻します。付属品にギャランティーカードがないので正確な製造時期はわかりませんが、当店が記録している同モデルの履歴から2007年以降の個体と推測しました。
金は変色していますが傷の少なさ・リューズの操作感の軽さ・測定器上の精度が悪くなかったことから保管状態がよく使用頻度が少なかったか、お買取り前に外装仕上げせずに内部のみのメンテナンスが行われていると考えました。
搭載しているムーブメントはCal.511DRです(画像3)。
フレデリックピゲのCal.1150をベースとして自動巻き機構を取り払い手巻き仕様に変更。ムーブメントの受けに直接残量表示を刻印したパワーリザーブインジケータ―を追加しています(画像3.4)。各種受けにはコート・ド・ジュネーブが施され、エッジの面取りは鏡面に仕上げられています。
状態の確認を進めると作業の痕跡はなく油が減少していました。油だまりの輪列軸には油が残っていたので振り角も極端に低下することがなく測定器の精度も悪くなかったようです。ですが油がここまで減少するほどですので、ご購入されたままか前回のメンテナンスから期間が経過していることが予想されます。残っている油も劣化していることは間違いありません。このままでも数年は問題なくご使用できそうではありましたしたが、劣化した油で使い続けることによるパーツへのダメージ蓄積と、その先の不調が起きた場合にパーツが入手ができずメーカーオーバーホールが必須になってしまうことへの高額修理リスクを考慮して、現時点でのオーバーホールが最善と判断しました。
分解しつつ注意深く各所の摩耗や調整のズレがないか確認しましたが、交換が必要なパーツや再調整が必要な箇所はありませんでした。そこで劣化した油を洗い流し、組立て・注油後に測定値と実測でも良好な動作を確認できましたのでオーバーホールを終えました。
こちらのブレゲ クラシックをお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金¥52,000、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で外装仕上げ¥15,000です。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたらオーバーホールだけでは完調にならず交換パーツが必要になり高額なメーカーオーバーホールが必須になることもあります。
また、ご使用にならなくとも経年による油の減少はありますので、長く使うためにも定期的なメンテナンスを行い新しい油で潤滑することでパーツ交換を避けやすくなります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。