ブライトリング コスモノート オーバーホール・外装仕上げ

腕時計修理内容

ブランド名 ブライトリング
モデル名 コスモノート
型番 ref.A12322
修理内容 オーバーホール・外装仕上げ
修理料金 ¥52,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答を頂きましてから作業6週間

ブライトリング コスモノート オーバーホール・外装仕上げ

  • ブライトリング コスモノート 今回ご紹介する修理事例はブライトリングのコスモノートのオーバーホールです。

    今回ご紹介する修理事例はブライトリングのコスモノートのオーバーホールです。

  • ブライトリング コスモノート 搭載しているムーブメントはレマニアの代表的なムーブメント、Cal.1861を24時間表示にしたCal.1873です。

    搭載しているムーブメントはレマニアの代表的なムーブメント、Cal.1861を24時間表示にしたCal.1873です。

  • ブライトリング コスモノート レマニアのエボーシュマークが打刻されています。

    レマニアのエボーシュマークが打刻されています。

  • ブライトリング コスモノート 赤矢印で指したパーツはクロノグラフ ストップレバーといい、Cal.1861とCal.1873には材質が樹脂製と金属製が混在しています。

    赤矢印で指したパーツはクロノグラフ ストップレバーといい、Cal.1861とCal.1873には材質が樹脂製と金属製が混在しています。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例はブライトリングのコスモノートのオーバーホールです(画像1)。1962年のマーキュリー計画に参加したスコット・カーペンターの為に開発されたコスモノートは宇宙空間でも0時と12時を混同する事がないように24時間表示で設計されています。はじめは戸惑うかもしれませんが慣れれば便利な表示方法です。

こちらは渋谷本店でお買取りいたしました後、販売前のメンテナンスを宝石広場 時計修理センター 渋谷が依頼された一本です。外装は経過年数なりに汚れて傷つき、計算尺付きベゼルの動きも渋くなっていました。ベゼル操作が渋い場合はケースとの隙間に入り込んだ汚れやパッキンのグリス切れが原因で起きていることも多く、今回は汚れの除去とグリスアップにて改善しました。汚れやグリス切れを放置すればパッキンの劣化により腐食の原因と時計内部への湿気の侵入を許すことにもなりえます。現行モデルに近い時計であれば基本的にはオーバーホールの際ににケースとベゼルの洗浄とグリスアップをすることで防ぐことができます。40年代50年代などヴィンテージと呼ばれるナビタイマーやコスモノートは長期間の使用でケースやベゼルの接触部が痩せてきているので、状態によっては最低限の清掃で現状を維持する方がよい場合もあります。歴史の長いモデルは製造年代やそれまでの使用環境と整備の履歴が個体ごとに千差万別ですので、ご購入の際は商品の扱いについてお気軽に販売員へご質問ください。

搭載しているムーブメントはレマニアの代表的なムーブメント、Cal.1861を24時間表示にしたCal.1873です(画像2・3)。Cal.1873はCal.1861の派生ムーブメントで、ヴィンテージの時計では有名なCal.861・Cal.321にまで遡ることができます。簡単ではありますがCal.321からCal.1861へと世代交代に従って変更された箇所をご紹介していきます。
Cal.321はパテックフィリップやヴァシュロン・コンスタンタンにも採用された素晴らしいムーブメントでしたが、凝った作りのためにコストは高めでした。そこでCal.861はコストダウンのための変更が行われたことで量産できるようになりました。主だった変更点はクロノグラフの構造をシンプルにしたことやテンワをチラネジからスムースへ変更したことで細かいところでは素材を樹脂製に変更したパーツもあります。またコストダウンだけではなく振動数を18,000振動から21,600振動に変更し精度の向上も図られています。
次にCal.1861へ移行時はロジウムメッキに変更されました。Cal.1861は今回ご紹介しているブライトリング コスモノートに搭載されているCal.1873の派生元です。12時間表示か24時間表示かという違いですので裏蓋側から見ても差はありませんが、文字盤側から見ると12時間で1周する時針を24時間で1周へ変更するため輪列に変更が加えられています。ところで先述した素材を樹脂に変更したパーツはクロノグラフ ストップレバーといい、Cal.1861とCal.1873には材質を金属製へ戻されているものがあります(画像4)。金属製はコストが高くなるものの見栄えが良いため裏蓋シースルーバックのモデルに多く使われています。今回のブライトリングのコスモノートは通常の裏蓋なのでムーブメントは見えませんが金属製が使われています。

話をオーバーホールに戻します。すぐに輪列から油がなくなっていることは見て取れましたので、オーバーホールを行うことを前提として作業を進めました。製造から長期間経過しているため、通常にも増して丁寧に各部の点検と分解を進めました。幸い摩耗により交換が必要なパーツはありませんでしたので、分解・洗浄・組立て・注油にて良好な精度を記録できました。
外装の仕上げも終えて店頭とこちらにて販売しておりますので、宜しければご覧ください。

今回のブライトリング コスモノートをお客様からお預かりした場合はオーバーホールが¥40,000、オーバーホールとセットで外装仕上をした場合+¥12,000にてご依頼を承っております。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

長期間メンテナンスをせずにいるとたとえ使っていなくとも内部の油は劣化していきます。劣化した油で動かすと歯車軸の摩耗が進み易く、発生した摩耗粉によって油が汚れてしまいます。さらに摩耗粉は油の劣化を早めてしまいますので加速度的に状態が悪化してしまい、オーバーホールのご依頼いただいたときには大量のパーツ交換が必要なことも珍しくはありません。
さらに今回のブライトリング コスモノートのようにヴィンテージ品であればパーツ自体の経年劣化もありますので、現行と比べ頻繁にメンテナンスを行う必要があります。また当店で入手困難なパーツ交換が判明して高額なメーカー修理しか方法がない場合もあります。
お心当たりのある場合は不調の起こる前にぜひ当店にご依頼ください。

中古 617798001 A12322 コスモノート|ブライトリング|(housekihiroba.jp)

ブライトリング その他 (中古)| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。