ブルガリ オクト ソロテンポ オーバーホール・外装仕上げ
腕時計修理内容
ブランド名 | ブルガリ |
モデル名 | オクト ソロテンポ |
型番 | ref.BGO38C3SLD |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ |
修理料金 | ¥55,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答を頂きましてから作業7週間 |
症状タグ | 定期メンテナンス |
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今回ご紹介する修理事例はブルガリ オクト ソロテンポのオーバーホール・外装仕上げです。
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搭載しているCal.BVL191は裏蓋ガラスから透かして見られます。
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裏蓋は一般的なマイナスネジではなく5角形のネジ8本で留められています(画像3)。
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ムーブメントの状態確認を進めていくと、巻上げ機構に黒い汚れがありました。
ブルガリ オクト(新品)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
ブルガリ オクト(中古)| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はブルガリ オクト ソロテンポのオーバーホール・外装仕上げです(画像1)。
「オクト」はラテン語で8を意味します。数学者にとっては無限大、中国の易経では宇宙全体を、日本では縁起の良い数字として、古今東西の文明でも特別な数字でした。ブルガリは八角形と円の調和をモチーフにこのモデルをデザインすることで、カリスマ性、個性、パワフルなスタイルを表現しました。その大胆でありながらも繊細なフォルムは、何世紀にも亘って培われてきた不朽の価値を教えてくれます。
こちらのオクト ソロテンポは渋谷本店でお買取りさせて頂いた後、販売前のメンテナンスの依頼を修理センター渋谷が受けた一本です。ギャランティーは2016年4月の日付けと正規店のスタンプが押印されています。ご使用にならずとも8年も経過すると油が劣化しますので、状態確認はメーカーや他店でメンテナンスを行った形跡の有無が大きなポイントになります。
搭載しているCal.BVL191は裏蓋ガラスから透かして見られます(画像2)。Cal.BVL191は2013年に発表されたブルガリの自社開発ムーブメントです。テンプ受けは両持ちで安定感があり、自動巻き機構はスイッチングロッカー方式による両方向巻き上げ、ローターベアリングにはセラミックボールが採用されています。2000年代後半頃から採用され始めたセラミックボールは鉄製より耐摩耗性に優れているため注油がほとんど必要ありません。ベアリングにセラミックボールを採用するメーカーも増えています。
裏蓋は一般的なマイナスネジではなく5角形のネジ8本で留められています(画像3)。デザインとしての要素もあるのでしょうが、メーカー工房以外で開けられない様にしているのではないでしょうか。このオクト ソロテンポの5角形に限らず様々なタイプの特殊ネジがありますが、当店工房はそれぞれに対応したドライバーを作成してありますので対応が可能です。
ムーブメントの状態確認を進めていくと、巻上げ機構に黒い汚れがありました(画像4)。汚れが付着している銀色のパーツはコハゼバネといって、巻上げたゼンマイが解けないためのストッパーです。ゼンマイは動力として輪列に力を伝えるだけでなく、解けようとする力が巻上げ機構にも働きます。その際に画像4のコハゼバネに接している歯車は右回転をしようとしますが、つっかえ棒の様に歯車の回転を止めます。巻上げの際には歯車が左回転し、コハゼバネは歯先と擦れるものの回転を邪魔しません。長期間メンテナンスを行っていないと歯車と接するコハゼバネが少しづつ摩耗していき、今回の様に擦れる箇所に摩耗粉が付着します。
オーバーホールを行うことに決めて全てのパーツを分解・確認しましたが、使用頻度が低かったのかコハゼバネの摩耗は微量でその他のパーツも交換は不要でした。また再調整が必要な箇所もなかったため洗浄・組立て・注油にて調子よく動作しました。外装仕上げの後に店頭に並ぶ予定です。
こちらのブルガリ オクト ソロテンポをお客様からお預かりした場合、オーバーホール ¥40,000、外装仕上げ¥15,000、合計¥55,000 にて承っております。他店で購入されたお時計も受け付けております。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、内部の油は経年により劣化し、劣化した油で動かし続けるとパーツの摩耗は一気に進んでしまいます。いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたら当店で入手困難なパーツが判明し、高額なメーカー修理しか方法がない場合も珍しくありません。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。