グランドセイコ― オーバーホール

腕時計修理内容

ブランド名 セイコー
モデル名 グランドセイコ―
型番 ref.4522-8010
修理内容 オーバーホール
修理料金 ¥31,000~-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り4週間、ご返答いただきましてから作業8週間
症状タグ

セイコー グランドセイコ― オーバーホール

  • セイコー グランドセイコ― 時計の正面

    時計の正面

  • セイコー グランドセイコ― 搭載しているムーブメントはCal.4522A

    搭載しているムーブメントはCal.4522A

  • セイコー グランドセイコ― 輪列が特徴的です。

    輪列が特徴的です。

  • セイコー グランドセイコ― 香箱から2つ歯車が連結しています。

    香箱から2つ歯車が連結しています。

担当者コメントと修理のポイント

今回の修理事例はグランドセイコ― ref.4522-8010です(画像1)。
通称45GSと呼ばれているモデルの中でもケースに施された槌目加工が特徴的なモデルです。
先に開発された手巻きの57系や44系と比べても薄型になり、61GSと同様に10振動にすることで姿勢差や外乱に対しても安定した精度を実現しています。
こちらは渋谷店でお買取りさせていただき、販売前のメンテナンスのためアフターサービス部に回ってきた時計です。

搭載しているムーブメントはリファレンスと日付け機能からわかる通りCal.4522Aです(画像2)。
国産初のハイビートムーブメントという肩書きは1968年に発売された自動巻きの61GSに先を越されてしまいましたが、名機Cal.4520に日付け機構を付加したCal.4522Aという手巻き10振動のハイビートムーブメントです。

10振動というのはテンプが1秒間に10回振動するということで、一般的に8振動以上ですとハイビートと呼んでいます(余談ですが時計の振動数は物理でいう振動と違い、1往復の動きを2振動と数えます)。
このグランドセイコ―の文字盤にプリントされた”HI-BEAT 36000”はまさにこの振動数を表していまして、1秒間あたりではなく1時間あたりの表記をしているため36000とされています。
時計がよい精度を保つためにはテンプが一定のリズムで振動することが非常に重要です。様々な構造が考えられてきましたがハイビート化もその一つで外乱を受けたときに乱れたテンプの振動もすばやく正常な動きを取り戻せるようになります。

ロービートと比べてハイビートのムーブメントは良いことばかりに感じられますが一長一短あるのも事実です。
テンプの振動を一定に保つことが重要だとお話ししましたが、ハイビートモデルは勢いよく動くテンプをヒゲゼンマイの力で逆に切り返さなくてはなりません。そのためパーツは抵抗が小さくなるよう繊細に作られるうえ、ロービートムーブメントと比べて同一時間中の脱進機の動きが多くなるために耐久性が落ちてしまいます。
ロレックスのデイトナref.16520に搭載されたCal.4030がベースとなったゼニスのハイビートムーブメント「エル・プリメロ」の振動数を、わざわざ28,800振動に落として耐久性を重視したと語られているのは有名な話です。

今回修理をするCal.4522Aは輪列のつながりに特徴があります。
画像はそれぞれ脱進機と輪列受けを外した状態(画像3)と、角穴車・1番受け・輪列・秒針車受けを外した状態(画像4)です。

多くのムーブメントでは香箱から順番に2番車・3番車・4番車・ガンギ車と輪列がつながり、アンクル・テンプと続いています。
これは輪列が必要最低限の構成で配列的にも一番無駄がないため、アンクル式の手巻きムーブメントでは一般的な数です。
ところがCal.4522Aでは香箱から画像4に写っているムーブメント中央の分針車と中間車の2つの歯車を経由してから2番車・3番車・4番車(便宜的にそう呼びます)・ガンギ車へと繋がっています。従来のスモールセコンドムーブメントを出車を使ってセンターセコンドに変更する方法ではなく、ムーブメント設計段階からセンターセコンドにするための工夫でしょう。

長期間メンテナンスをされていない状態で動かし続けていたのか、全体的に油は涸れて軸の摩耗も大きく進んでいて受け石がある軸はほぼすべて段付きができるほどでした。
更に受石のない金属穴の箇所は大きく偏摩耗して歯車が傾くほどの状態だったため、調整作業は難航してしまいました。
古いムーブメントで歯車の交換はできませんので軸の研磨は段差を滑らかにする必要最低限にとどめ、偏摩耗していた箇所はタガネで穴詰めをした後で真円に整形し研磨しなおしました。分解と調整、組み立てを繰り返し何度目かでようやく納得のいく精度が出せました。

こちらのグランドセイコ―をお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金が31,000円~が最低価格です。何十年と経過した時計は整備されてきた履歴で状態が大きく変わり、調整が必要ですので全て個別見積もりとなります。
また、このモデルは外装が特殊なため外装仕上げのご依頼は受けておらず、洗浄のみオーバーホールとセットで行っております。

手巻きをすることで長期間ご使用できていたとしても内部では徐々に油は劣化して軸は摩耗していきます。
そのまま使い続ければ最後はパーツが壊れて止まってしまうかもしれませんが、古い時計はそうなってからではパーツ入手ができず最悪は修理不能となる場合もあります。
早め早めのメンテナンスをすることでパーツ交換や高額なパーツ製作などを避けることができ、今回のように調整とオーバーホールで調子を取り戻す可能性が高くなります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。

グランドセイコー 機械式 (中古) を買うなら宝石広場(housekihiroba.jp)

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  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。