ロレックス チェリーニ タイム オーバーホール・外装仕上げ

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例はロレックス チェリーニ タイムのオーバーホールと外装仕上げです（画像1）。
チェリーニはロレックスが多岐にわたり生み出してきた高級時計の中でも独特な存在感を持つ孤高のドレスウォッチコレクションです。優雅なデザインを最優先してロレックスのタフさの象徴である堅牢性や防水性に優れた「オイスターケース」をあえて採用せず、クラシカルなデザインながら高い精度と厳選されたゴールド素材のみを使用しています。チェリーニ タイムは2014年から2023年の間に展開されたコレクションの一つで、チェリーニでは初めてネジ込みリューズとスクリューバックを備えており50ｍの防水性能を確保しています。
メンテナンスを終えてこちらで販売しておりますので、宜しければご覧ください。

こちらのロレックス チェリーニ タイムは2019年の末に当店でご購入いただいたお時計です。今回お買取りさせていただき、店頭に並ぶ前に行うメンテナンスの依頼を宝石広場 修理センター 渋谷が受けました。付属品に2019年に当店からメーカーへ依頼しオーバーホールを行った際のサービスギャランティーがあります。
ご購入いただいてから4年半ほどご使用されていますが、ご使用年数に比べて外装の傷は少なめでした。またリューズ操作も違和感がなく計測値も良好でしたので、ご使用頻度は高くなかったのでしょう。外観や操作からわかる範囲では調子が良かたものの、前回のメンテナンスからの経過期間を考慮するとムーブメントの油が劣化していてもおかしくありません。裏蓋を開けて状態の確認を進めることとしました。

2019年にメーカーでオーバーホールを行った履歴は当店のデータ上で把握していますが、裏蓋に書かれた黒点の後に続くサインでも知ることができます。JP0219-9-……とある英数字はメーカーが入れていたサインです（画像2）。サインは2020年頃から省略されるようになりました。

搭載してるムーブメントはCal.3132です(画像3）。こちらは日付けのないエクスプローラ―Ⅰに搭載されていたCal.3130がベースとなっていて､アップグレード版のCal.3132にはブルーパラクロムヒゲゼンマイとパラフレックスショック・アブソーバーが採用されているいます。ちなみにエクスプローラーⅠも途中からブルーパラクロムヒゲゼンマイが採用されました。

裏蓋を開けただけでは特に悪い箇所はありませんでしたが、自動巻きの裏側を見てみるとローター真の油が劣化のため黒ずみ粘度も高くなっていました（画像4）。先述の通りリューズ操作や計測器上の精度は良好だったこととローター真の油以外は状態も良いため部分的な洗浄と注油の軽作業でも問題なくお使いいただけたのですが、前回作業から5年ほど経過していることを考慮し、最良の状態でご購入いただくためオーバーホールを行うこととしました。
念のためパーツの確認を行いつつ分解を進めましたが交換が必要なパーツはありませんでした。洗浄・組立て・注油を行うと調子よく動作し、ケーシング後の実測テストも良好な精度を記録しましたので、外装仕上げを終えてこちらで販売しておりますので、宜しければご覧ください。

ロレックス チェリーニ タイムをお客様からお預かりした場合、オーバーホール ¥28,000、外装仕上げ¥15,000、合計¥43,000 にて承っております。他店で購入されたお時計も受け付けております。配送もこちらから受け付けております。

耐久性が高いとされるロレックスでも経年による劣化や摩耗はあります。ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたらオーバーホールだけでは完調にならず交換パーツが多く必要になったり、当店で入手困難なパーツが判明して高額なメーカー修理しか方法がない場合も珍しくありません。長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。