ブルガリ スポーツ オーバーホール・外装仕上げ
中古 592233001 LCV35WSSD/11 スポーツ|ブルガリ| を買うなら宝石広場(housekihiroba.jp)
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私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はブルガリウォッチの中でブルガリ・ブルガリに並ぶ主力ラインであった「スポーツ」です(画像1)。
同社のアイデンティティでもあるベゼルの「BVLGARI」のロゴが特徴的な、35mm径の生産終了モデルです。
すでに販売済みですが、外装仕上げを含めたメンテナンスを終えてこちらと記事下部のリンクにて販売していましたので宜しければご覧ください。
こちらは販売前のメンテナンスのためにアフターサービス部へ回ってきた1本です。お買取りさせて頂いた際に手巻きに不調があるとお話を伺っていましたので確認すると、妙に重い感触と共に時計が震えだし内部からは大きな音がしました。よくある症状なのですぐに連れ回りと呼ばれる状態だとわかりました。主な症状は手巻きのときに独特な違和感があることと長時間ご使用になっても腕から外すとすぐ止まるといったことがあり、原因は切替車の摩耗・油の劣化・衝撃による油流れなどにより起こります。
さっそく裏蓋を開けて内部を見てみました。搭載しているムーブメントはETA Cal.2892ベースのCal.220です。
汎用ムーブメントではありますが、ジュネーブ仕上げや青色のネジが綺麗です。
手巻き操作の違和感・異音について推測した状態に間違いがないか念のため目視でも確認しました(画像3)。画像は手巻きをしたときに勢いよく回転するローターです。時計を持つ手まで震えてしまうほど大きな振動をしていました。
先に書いた通り原因は自動巻き機構のパーツの1つ、切替車です(画像4)。一緒に定規を映しましたが切替車の小ささがわかりますでしょうか。
切替車の主な役割は左右どちらの方向にローターが回転してもゼンマイへ伝える回転を一方向にすることと、リューズによる手巻きの力をローターへ伝えないことです。
画像のように複数の歯車によって構成されていて、2枚ある歯車と1つのカナが一緒に回転したり空回りをすることでローターがどちらの方向に回転してもゼンマイを巻き上げる役割をしています。ですが金属同士の接触する面が多いため油が多すぎるとパーツ同士がくっついて動きが重くなってしまい、また腕の動きや手巻きに連動して動作するため消耗もしやすいため油が少なすぎてもいけません。適切な油の量で軽く動くことが求められ、少しでも油に不調があると手巻きの際にローターが勢いよく回転してしまったり、自動巻きの巻き上げ効率が落ちて巻き上げ不良を起こしてしまいます。
この切替車は目視で磨耗は確認できず交換は不要と推測しましたので、まずは自動巻き機構のみ分解・洗浄・仮組み・注油を行い手巻きによる連れ回りが解消できるか確認しました。その後改めて全体のオーバーホールを行い、計測値・実測値とも良好な精度を記録できました。
こちらのブルガリ スポーツをお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金が28,000円~(パーツ代金別途)、オーバーホールと一緒に外装仕上げを追加の場合はセット料金で14,000円です。
修理のご依頼は他店様でご購入されたお時計でも承っております。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
長期間メンテナンスをせずにいると内部のパーツは少しづつ摩耗していきます。今回のブルガリ スポーツは幸い交換が必要なパーツはありませんでしたが、目に見える症状がでてからオーバーホールをご依頼いただいたときにはパーツが劣化や摩耗しきってしまい、大量のパーツ交換が必要なことも珍しくはありません。
お心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。