ブライトリング ナビタイマー01 オーバーホール・外装仕上げ
腕時計修理内容
ブランド名 | ブライトリング |
モデル名 | ナビタイマー01 |
型番 | ref.S232B48KBA |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ |
修理料金 | ¥62,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただいてから作業1.5ヶ月 |
症状タグ | 定期メンテナンス油切れ |
今回ご紹介する修理事例はブライトリングのオーバーホール・外装仕上げです。
搭載しているムーブメントは2009年に自社開発されたCal.B01です。画像ではローターを外してあります。
リューズ操作時に手巻きが少し重かったので自動巻き機構を確認しました。左の歯車が切替車です。
自動巻き機構の受けを取外した状態です。上の歯車が切替車です。
ブライトリング ナビタイマー(中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
ブライトリング ナビタイマー(新品)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はブライトリングのオーバーホール・外装仕上げです(画像1)。
こちらは看板モデルのナビタイマーに自社開発ムーブメントCal.B01を搭載した待望の世界限定2000本限定モデルです。43mmに拡大されて迫力と存在感がさらにアップしたケースはシースルーバックですので、Cal.B01を見ることができるのもうれしいポイントですね。
ギャランティーに記載された日付は2010年で製造から長期間が経過しています。
当店にこの個体のメンテナンス履歴はありませんので、メーカーや他店でも行われていなければ内部の油は経年劣化によりオーバーホールが必要な状態です。このような状況から状態確認はメンテナンスの形跡の有無に重点をおいて進めることにしました。
外装は使用傷があり仕上げの形跡はありませんでした。汚れが詰まりやすい回転ベゼルは予想外に動きが滑らかで使用による渋さはありませんでした。外装の印象とベゼルのスムーズさに違和感を覚えましたが、仕上げはされずに洗浄のみ行われている可能性はあります。
次にリューズ操作を確認したところ手巻きが重く感じられました。基本情報としてCal.B01は他社のムーブメントと比べると手巻きの感触が重めの傾向があり、それに加えて同型ムーブメントでも個体差もありますので、これだけではまだオーバーホールの決定打にはなりません。時刻合わせなどのリューズ操作には気になる点がなく裏蓋を開けてムーブメントを見て判断することにしました。
搭載しているムーブメントは2009年に自社開発されたCal.B01です(画像2)。以前のブライトリングはほとんどのモデルにETAのムーブメントを搭載していましたが今は大幅に減り、自社開発のクロノグラフのCal.B01とバリエーション違いのムーブメントに加えて、ケニッシから3針のCal.B20、ラ・ジュー・ペレからクロノグラフ トッゥールビヨンのCal.B21、コンセプトウォッチからクロノフラフのCal.B25の供給を受けて搭載しています。
今回のナビタイマー01に話を戻します。ムーブメントはネジにわずかな作業跡があり、製造から長期間が経つにもかかわらず見える範囲の油がまだ残っていたので過去にオーバーホールが行われているようです。
手巻きが重い原因を確認するため自動巻き機構を取外して切替車を点検しました(画像3・4)。Cal.B01は2009年の開発以降も改良を重ねられていて、その最たるものが切替車です。私が確認できたものだけでも切替車には第四世代まであり、メーカーでオーバーホールを行う際にはその時期の最新世代のものに交換されます。今回は第一世代の切替車のままでしたのでオーバーホールはメーカー以外で行ったと判断しました。
切替車にアップデートがあるといっても第一世代の切替車そのものが不良ということではなく、より確実性を上げるためのアップデートですので元の状態が良いなら再利用しても問題はありません。切替車はローターの動きに合わせて動き続けることに加えて、手巻き操作の際はローターへの力の伝わりを遮断する役割もあり高速で回転する性質から摩耗していることも多いのですが、今回は摩耗もなく再利用できそうな状態でした。
おそらくご使用者様は定期的なメンテナンスを欠かさず行い、今回はたまたまメンテナンスの時期になって手放されたのでしょう。
油が減少していましたのでオーバーホールを行うことに決めてパーツの点検と分解を進めました。全てのパーツを分解しても摩耗している箇所はなく洗浄・組立て・注油を行うと調子よく動作し、実測も自動巻きの効率や精度が良好だったので外装仕上げの後で店頭に並ぶ予定です。
こちらのブライトリング ナビタイマー01をお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金¥50,000、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で外装仕上げ¥12,000です。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
手巻きが重いなどの違和感があったとき、すべての場合でどこかが決定的に壊れているわけではありません。ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたらオーバーホールだけでは完調にならず交換パーツが多く必要になったり、当店で入手困難なパーツが判明して高額なメーカー修理しか方法がない場合も珍しくありません。
また動かさなくとも経年による油の減少はありますので、新しい油で潤滑することでパーツの交換を必要最小限にとどめるとともに、軸の摩耗を放置した結果として摩耗することの多い切替車など当店で入手困難なパーツ交換を避けやすくなります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。