ブライトリング スーパーオーシャンヘリテージクロノグラフ メーカーオーバーホール、外装仕上、日送り車・リューズ交換
腕時計修理内容
ブランド名 | ブライトリング |
モデル名 | スーパーオーシャンヘリテージクロノグラフ |
型番 | ref.A272B08OCA |
修理内容 | メーカーオーバーホール、外装仕上、日送り車・リューズ交換 |
修理料金 | ¥118,800-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り2週間、ご返答いただきましてから作業7週間 |
症状タグ | 操作しづらい/出来ない部品劣化/破損 |
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修理後のお時計
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赤丸で囲った位置に六角形の溝があります
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リューズの内部で折れていました
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
8年前に当店でご購入いただいてから初めてのメンテナンスに渋谷店へご来店頂きました。
モデルはブライトリングのスーパーオーシャンヘリテージクロノグラフです(画像1)。
リューズがガタガタするうえにケースにネジ込みが出来ないということでして、確認してみるとご指摘の症状の他にリューズ操作が全くできない状態でもありました。
リューズがねじ込みできない原因ですが大まかに分けて3つあります。
一つ目はリューズそのもののネジが摩耗している場合、
二つ目はリューズをねじ込むチューブ側が摩耗している場合、
三つ目はリューズとチューブの両方が摩耗している場合です。
今回はリューズ側ネジが摩耗しているようでした。
この”どこが摩耗しているか”ということは非常に重要です。
まず一般的にリューズねじ込みの摩耗したネジ部については修正で直すことができません。
ほとんどの場合、純正リューズ単体の入手もできませんので交換を含めたメーカー修理が必須となるのですが、もしチューブ側が摩耗している場合は大変です。
モデルによってはメーカーでもチューブ単体での交換ができないため、チューブのついたケースごとで交換する必要がでてしまい修理料金が非常に高額になってしまう場合があります。
リューズ交換が必要ですので今回はメーカー修理が必要なことは確定しましたが、せっかくリューズを取り外したのでガタつきと操作ができない原因を探してみました。
画像2をご覧ください。
多くの場合リューズのガタつきや操作ができない原因はここにあります。
赤く囲った部分に六角形のパーツ(巻き真側)と六角形の穴(リューズ側)の組み合わせによる隙間があります。
これはねじ込みリューズのモデルに多く採用されている構造です。
(細かく構造を説明をしだすとかなりの長文になってしまいますのでまた何か良い事例がありましたら別の機会にさせてください)
ひとまず六角形の部分がリューズと巻き真の噛み合いを接続したり切断する機構とご理解ください。
この六角形の部分はリューズの厚みの中に収める関係上どうしても厚みを取れず、ねじ込みと解除とを頻繁に操作されるうえに手巻きや時間操作により常に大きな力のかかる場所です。
そのため経年変化による摩耗は避けられず、隙間が大きくなるとリューズのガタつきがではじめてしまい、さらに摩耗が進むと操作時の空回りとして症状が出ることが多いのです。
ところが意外にも今回お預かりしたお時計の六角形の部分に大幅な摩耗は見当たりませんでした。
今回の原因はとても珍しい事例でリューズ内部の六角穴があるパーツの付け根が折れていました(画像3)。
画像では見えないためリューズ本体の内側と六角形の部分を赤の破線で書きいれてみましたがわかりますでしょうか。
このリューズはリューズ本体と六角穴のあるパーツは溶接で取り付けられているタイプで、再溶接はできませんのでやはりメーカー修理が必要です。
お客様へリューズ交換が必須でメーカー修理対応であること、ブライトリングのメーカー修理はお見積りをキャンセルした場合にキャンセル料金¥3,300と送料がかかることをご説明してご了解のいただきメーカーへ依頼しました。
最終的にはメーカーのオーバーホール、外装仕上、日送り車とリューズ交換にて修理を終えることができました。
F様 ご依頼ありがとうございました。