ウブロ クラシックフュージョン レーシンググレー オーバーホール・外装仕上げ・3番車調整・穴石調整

腕時計修理内容

ブランド名 ウブロ
モデル名 クラシックフュージョン レーシンググレー
型番 ref.542.NX.7071.LR
修理内容 オーバーホール・外装仕上げ・3番車調整・穴石調整
修理料金 ¥55,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答を頂きましてから作業6週間

ウブロ クラシックフュージョン レーシンググレー オーバーホール・外装仕上げ・3番車調整・穴石調整

  • ウブロ クラシックフュージョン レーシンググレー 今回ご紹介する修理事例はウブロ クラシックフュージョン レーシンググレーのオーバーホール・外装仕上げです。

    今回ご紹介する修理事例はウブロ クラシックフュージョン レーシンググレーのオーバーホール・外装仕上げです。

  • ウブロ クラシックフュージョン レーシンググレー 搭載しているムーブメントはSellita Cal.SW300-1をベースとしたCal.HUB11です。

    搭載しているムーブメントはSellita Cal.SW300-1をベースとしたCal.HUB11です。

  • ウブロ クラシックフュージョン レーシンググレー 分解を進めていくと左上の3番車が振れていました。

    分解を進めていくと左上の3番車が振れていました。

  • ウブロ クラシックフュージョン レーシンググレー 振れのあった3番車です。

    振れのあった3番車です。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例はウブロ クラシックフュージョン レーシンググレーのオーバーホール・外装仕上げです(画像1)。
大ヒット作ビッグバンから始まったウブロの新しいコンセプト“フュージョン”。これはケースパーツを細分化し、それぞれを貴金属やセラミック、カーボンなどの異なる素材で融合するというもの。このコンセプトに基づき、ウブロが創業以来大切にしてきたシリーズ「クラシック」をデザインしたモデルが、「クラシック フュージョン」です。端正なエレガントさとスポーティーな雰囲気を両立しています。

こちらは渋谷本店でお買取りさせて頂き、販売前のメンテナンスを時計修理センター渋谷が依頼された一本です。付属品はありませんがお買取時に直近でメンテナンスを行ったと話を伺っていましたので、ご使用状況や保管状態によってはオーバーホールが不要の可能性がありました。
使用感はありましたが大きな傷はなく、外装研磨にて綺麗に仕上げができると思われました。リューズ操作に違和感はなく、さらに計測機上で良好な数値を確認できたので内部の確認を進めることにしました。

搭載しているムーブメントはSellita Cal.SW300-1をベースとしたCal.HUB11です(画像2)。ベースのCal.SW300-1を製造しているSellitaはスウォッチグループの一員であるETAの下請けの会社でしたが、ETAがスウォッチグループ外へムーブメントの供給を絞ると発表した、いわゆる2010年問題に際してETAの代表的なムーブメントCal.2892、2824、7750のジェネリック品の製造を始めました。ジェネリック品ということで今回のSellita Cal.SW300-1も見た目はETA Cal.2892A2と似ていますが、見比べると歯車の取付け方や歯数などに違いがあり実際には互換性のないパーツが多いです。

内部の確認を進めると油の状態も良く測定結果も良好だったため、メンテナンスで問題ないと推測しランニングテストを行いました。ところが実測テストでは日によって精度に大きな違いがあることがわかり、動作の不安定さが確認されました。
機械式時計の精度はゼンマイ巻上げ直後と数日後、保管状況や使用環境などにより測定値は違いますが今回は同じ条件下と測定タイミングで日差+3~+10秒と差が大きかったため、改めて細部を確認することにしました。
分解を進めていくと3番車の歯車に縦振れが確認され、力の伝達に波が出ている原因となっていました(画像3・4)。3番車に限らず歯車の振れは伝達力の不安定さにつながり、原因の歯車が回転するごと計測値に差異として表示されます。計測機による結果はセンサーによって拾った音の平均値を数値化していますので、3番車の様に1回転に数十分かかる歯車の場合は秒ごとに表示される計測の際に気が付けないことがあります。そのため、時間はかかりますがランニングテストにて実際の動作状態を確認しなくてはなりません。

歯車の振れや歪みは経年などで自然と起きる症状ではありません。ほとんどの場合は衝撃などで破損した結果で起きるか、オーバーホールなど作業時の取り扱いミスが原因の場合に多く見られます。原因がどちらにだとしても歯車の調整だけでは他の箇所に不安が残りますので、点検も兼ねて念のためオーバーホールを行うことにしました。分解と点検を進めると数カ所の歯車の穴石がズレて再調整が必要な状態で、衝撃とも作業時の過失ともいえる状態でした。3番車と穴石の調整を行った後で組立てと注油を行うとランニングテストでも良好な精度を記録しました。こちらのクラシック フュージョンは外装仕上げの後に店頭に並ぶ予定です。

ウブロ クラシックフュージョン レーシンググレーをお客様からお預かりした場合、オーバーホール ¥32,000、外装仕上げ¥23,000、合計¥55,000 にて承っております。他店で購入されたお時計も受け付けております。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

腕時計は小さな部品の集合体ですので、ほんの小さな衝撃で調整がズレてしまったり、残念ながら作業時の過失によりパーツの精度が悪化していることもあります。どちらが原因でも今回の様に症状が小さければご使用に際して問題になることはありませんが、大きくズレてしまった場合は止まりの原因になることもあります。
お心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。

ウブロ クラシック・フュージョン(新品)(housekihiroba.jp)

ウブロ(中古)| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。