タグ・ホイヤー カレラキャリバー16クロノグラフ オーバーホール・仕上・切替車、切替車バネ交換

担当者コメントと修理のポイント

ご購入から5年ほどご使用されたホイヤーを定期OHしたいとご依頼をいただきました。

定期オーバーホールとはいえ5年ご使用されていますので、どこかしら、というかほとんどの個体で自動巻き効率が落ちています。落ちてはいてもご使用状況によって気が付かれない事は多々あるのです。。。あとは使った/経過した時間だけ油の劣化や部品の摩耗ですね。

お預かりさせて頂きました後、裏蓋を開けて（写真2）
撮影忘れて行程が飛んでいますが（写真3）、赤丸部分に黒い点々が見えますでしょうか？Cal.7750系ですと、自動巻機構のとりわけ切替車がよく摩耗しています。

切替え車に接触している線は逆転防止のバネです。
Cal.7750の自動巻きは片巻きの構造で、ローターが右回転すると巻上げます。切替車は写真で見えている側の歯車と直接ローターと噛み合っていて、巻上げ時は左回転して、空回り時は右回転します。
で、逆転防止バネが摩耗するのは切替車が左回転する時。写真でもホンのすこしだけ見えている歯先とバネが滑って起きるのです。バネは強いわけではありませんが少しづつ削れていくのでしょう。

日頃時計を見ていて思うのですが、ほとんど力がかかっていない箇所であっても、使って何度もすり合う事で綻びが、さらに使ううちに大きな綻びになるのだな、と。なにを当たり前の事をって話ではあるのですけどね。

今回はオーバーホールに加えて摩耗していた切替車とヘタりのでていたバネを交換、ご希望で外装仕上にてお渡しする事が出来ました。
ご依頼ありがとうございました。