タグホイヤー カレラキャリバー5 オーバーホール・外装仕上げ

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例はタグホイヤー カレラ キャリバー5です（画像1）。
今までのカレラシリーズが持つスポーティーな雰囲気を守りつつ、クラシックかつエレガントなデザインを与えられた「カレラキャリバー5」。ケースはシースルーバックになっていますので、美しく仕上げられたムーブメントをご覧になれます。
既に販売ずみですがこちら記事下部のリンクにて販売しておりましたので、宜しければご覧ください。

新橋店にてお買い取りさせていただいた後、アフタ―サービス部に販売前のメンテナンスを依頼された1本です。
ギャランティーに記載された日付けは2019年と3年ほど経過しています。当店の作業履歴はありませんでしたが、機器を使っての計測値も安定しており内部に作業の形跡がありましたのでお買取り前にメーカーなどでメンテナンスをされている可能性を考えました。まずはランニングテストにて動作を確認することにしましたが、実測結果は計測値とは違って精度は安定せず持続時間も少し短い状態でした。さらに2回目のランニングテストの際に巻き上げてすぐに止まりを確認しましたので、部分的なメンテナンスではなくオーバーホールに変更しました。

搭載しているムーブメントはETA Cal.2824-2をベースとしたCal.5です（画像2）。
期間経過による精度の低下や持続時間の減少を起こしている場合は特定の原因があることは少なく、全体的な油の劣化が主な原因であることがほとんどです。ですが今回のカレラ キャリバー5は機器での計測値とランニングテストの実測値の差と止まり方に違和感があり、より注意をしながら内部を点検していきました。
自動巻き機構を外して輪列を確認していくと原因が判明しました（画像3）。
画像ではわかりにくいのですが、赤い化繊のような毛ゴミが4番車のスポークに巻き付いていました。はじめに内部を確認した際には見当たらなかったので、受けに隠れて見えない位置にあったようです（画像4）。異物が付着していたためにテンプの振り角は低下し精度も安定しなくなっていました。こうした異物は稀に新品の時計にも混入していることがあり、歯車の歯先にあれば止まりの原因になりますし、油溜まりに異物が付着してしまうと油の劣化を早めてしまうこともあります。今回のタグホイヤー カレラ キャリバー5は4番車に付着したゴミの除去の他は経年なりの油の減少や劣化がある程度でした。
綺麗に洗浄の後、注油と組立てを行うと調子よく動作するようになり、その後のランニングテストでも安定した精度と持続時間を確認できました。

こちらのタグホイヤー カレラキャリバー5をお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金が26,000円、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で11,000円です。
修理のご依頼は他店にてご購入されたお時計でも承っております。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

長期間メンテナンスをしていない時計と同様に比較的新しい時計でも不調を起こすことはあります。当店では1つ1つの時計に対して十分に注意し点検を行っておりますが、安心してご使用いただくためにも保証を付けて販売やメンテナンスを致しております。偶然症状が起きない時間が続いていたとしても根本的に改善されているわけではありません。長期間放置することで別の要因が加わり必要なパーツ交換が必増えてしまうこともございます。
お心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。