パテック・フィリップ カラトラバ オーバーホール・外装仕上げ
腕時計修理内容
ブランド名 | パテック・フィリップ |
モデル名 | カラトラバ |
型番 | Ref.5196J-001 |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ |
修理料金 | ¥69,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答を頂きましてから作業7週間 |
症状タグ | 定期メンテナンス油劣化 |
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今回ご紹介する修理事例はヴィンテージパテックの中でも人気の高い「96」のデザインを現在に引き継いでいる「5196」です。
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ストラップはレバーをスライドすることで取り外しができるタイプのバネ棒で取付けられています。
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搭載しているムーブメントはCal.215PSです。
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緩急針式より高度な技術が必要ながら精度の追い込みが可能なジャイロマックス式のテンプを採用しています。
中古 628874001 5196J-001 カラトラバ|パテック フィリップ|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
パテック フィリップ カラトラバ (中古)|パテック・フィリップ| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はヴィンテージパテックの中でも人気の高い「96」のデザインを現在に引き継いでいる「5196」です(画像1)。
この完成されたデザインは50年以上引き継がれてきたのものです。生産終了がアナウンスされた後、世界中で高騰したのも頷ける定番モデルです。
メンテナンスを終えてこちらで販売しておりますので、よろしければご覧ください。
このパテック・フィリップ カラトラバは渋谷本店でお買取りさせて頂き、販売前のメンテナンスを時計修理センター渋谷が依頼された一本です。付属品が何もありませんが、当店が記録している同モデルのシリアルから2010年~2013年の販売品と推測しました。外装は小さな使用傷が数カ所あったものの10年以上経過していることを考慮に入れると綺麗な状態でした。
ストラップはレバーをスライドすることで取り外しができるタイプのバネ棒で取付けられています(画像2)。通常、ストラップはラグの内側にある穴にバネ棒先端を入れることで取付けされています。ほとんどの腕時計にはバネ棒の先端の手前に段があるタイプ(段付きバネ棒)が使われていますが、十分に慣れていないと取り外しが難しく、失敗することでラグに傷をつけてしまうことが多くあります。このレバータイプはスライドするだけで確実にバネ棒を取り外すことができますので、季節や気分によって服を着替えるように気軽にストラップを交換できます。
パテック・フィリップは以前からレバータイプのバネ棒を採用していましたが今回のようにベルトの外からレバーは露出していませんでした。以前のバネ棒はレバーの形状も大きさも違いストラップに切り欠きがなく、全てが中に入っていたため見えませんでした。今のように簡単にストラップの付け外しを行うことが目的ではなく、一般的な段付きバネ棒と比べて外れづらさやベルトの切り欠きがないことで美観・高級感を優先させていたのでしょう。
話を今回のパテック・フィリップ カラトラバに戻します。
搭載しているムーブメントはCal.215PSです(画像3)。ムーブには215としか打刻されていませんがスモールセコンドのものはPSが付きます。手巻きの3針スモールセコンドのシンプルなムーブメントですが、受けに施されたコート・ド・ジュネーブや面取り、緩急針式より高度な技術が必要ながら精度の追い込みが可能なジャイロマックス式のテンプ(画像4)、高級機の定番二点留めヒゲ持ち仕様など、手間や製造コストを惜しまない作りの良さはさすが世界三大時計のパテック・フィリップです。
油は乾ききっていましたが、摩耗粉は見あたりませんでした。外装に傷が少なかったこと考慮にいれるとほとんど使わずに保管されていたのでしょう。パーツの状態を確認しつつ分解しましたが、交換が必要なパーツはありませんでした。経年により劣化した油を洗浄にて洗い流し、新しい油を注すことで調子よく動作するようになりました。
こちらで販売しておりますので、よろしければご覧ください。
このパテック・フィリップ カラトラバをお客様からお預かりした場合、オーバーホールが¥42,000 外装仕上げが¥27,000にて承っております。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
ご使用にならなくとも経年により油は劣化します。劣化した状態で動かしてしまうと潤滑されないため摩擦によりパーツが摩耗してしまいます。ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたら当店で入手困難なパーツが判明して高額なメーカー修理しか方法がない場合も珍しくありません。本当に最悪の場合はメーカーでもパーツ入手ができず時計の寿命(修理不可)になることもあります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。