チューダー オイスタープリンス レンジャーⅡ オーバーホール・パッキン交換
腕時計修理内容
ブランド名 | チューダー |
モデル名 | オイスタープリンス レンジャーⅡ |
型番 | ref.9111 |
修理内容 | オーバーホール・パッキン交換 |
修理料金 | ¥31,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただいてから作業6週間 |
症状タグ | 止まる油切れ |
-
今回ご紹介する修理事例はチューダーのレンジャーⅡref.9111です。
-
パッキンが加水分解により溶けていました。
-
ムーブメントはETA Cal.2784です。
中古 600247001 9111 オイスタープリンス レンジャーII|チューダー| を買うなら宝石広場(housekihiroba.jp)
チューダー(中古) を買うなら宝石広場 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はチューダーのレンジャーⅡref.9111です(画像1)。
1970年代に作られていたモデルでブレス一体型デザインが特徴。存在感のあるベゼルも目を引きます。
すでに販売済みですが、メンテナンスを終えてこちらと記事下部のリンクにて販売していましたので宜しければご覧ください。
こちらは渋谷本店でお買い取りさせて頂き、販売前のメンテナンスのためにアフターサービス部へ回ってきた1本です。
シリアルから推察できる製造年代は1974年頃です。50年近く経過しているにも関わらず、外装は裏蓋シールも張り付けられたままのミントコンディションでした。ですがメンテナンスは行っていなかったらしく、外装の状態のよさとは裏腹に不動の状態だったためオーバーホールは必須でした。
内部の状態を確認するため裏蓋をあけました。
まず裏蓋を開けてすぐゴムのパッキンがドロドロに溶けていることに気が付きました(画像2)。これは数十年経過した古い時計で見かける症状で、パッキンが加水分解を起こすことで画像の様に溶けて形を保てなくなってしまいます。溶けたパッキンはケースにこびりついてしまい通常の洗浄方法では除去することができなかったため、強力な洗浄力のあるアルコールを使って下洗いをしなければなりませんでした。
搭載しているムーブメントはETA Cal.2784です(画像3)。今も多くの時計に採用されているCal.2824とはパーツの形状が少し違いますが、パーツの配置はほぼ同じですので同じ系統と言えます。 外装の傷のなさや裏蓋シールがそのままだったため腕に付けてご使用されていないことは想像していました。ですがこのチューダー レンジャーⅡはパーツの摩耗も見当たらないことから、所謂デッドストック品がコレクターに渡り動かされ続けることもなく保管されていたようです。未使用状態の時計であっても保管でワインダーを動作させて使っていたものは自動巻き機構によってゼンマイが巻かれて動き続けます。そのため外装が綺麗でも内部は摩耗カスだらけといったこともあります。
全てのパーツを分解してみても摩耗しているパーツはなく、はじめに予想した通り動かし続けることもなかった様でした。
長期間メンテナンスしていなかったためこびりついた汚れを綺麗に洗浄し組み立てと注油を致しましたところ、計測値・実測値とも良好な精度を確認できましたのでオーバーホールを完了としました。
こちらのチューダー プリンスオイスターレンジャーⅡをお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金が31,000円にて承っております。
修理のご依頼は他店にてご購入されたお時計でも承っております。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
長期間メンテナンスをせずにいると腕に付けなくとも内部の油は少しづつ劣化していきます。今回のチューダー プリンスオイスターレンジャーⅡの様に全く動かさなくとも油が揮発していることも珍しいことではありません。
その状態のままご使用になることでパーツの摩耗が加速度的に進んでしまい、大量のパーツ交換が必要になることや内部に湿気が侵入し当店では対応ができずメーカーで修理対応が必要になることもございます。
お心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。