カルティエ パシャウォッチXL オーバーホール・仕上
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
W3109255|カルティエ パシャウォッチXLのオーバーホール・修理|腕時計のオーバーホール・修理なら【宝石広場 時計修理センター 渋谷】
担当者コメントと修理のポイント
ご購入からはじめてのオーバーホールをご依頼いただきました。
お預かりいたしましてから内部を拝見。
他店さまでご購入されてからおおよそ4年くらいということで、相応に経年劣化が進んでいます。開けてまず初めに目に入るのがケース内側の錆ですね(写真2)。ただそれ自体は防水を保つパッキンより外側部分ですので致し方ない状態です(写真3)が、ここからより錆が進行してしまうとケースの腐食はより大きくなりケースの凹みは無視できない大きさへとなっていきます。
写真3を改めてみていただくと、ケース外側に2カ所穴が開いているのがわかりますでしょうか。表から見えている裏蓋ネジがこの穴に締めこまれるのですね。見ての通りパッキンの外側にありますよね。このタイプの、多くは裏蓋がネジ留めされている構造のケースですと、裏蓋ネジはさび付いていることがほとんどです。
ケースの錆びはそれほど深刻になることはほとんどありませんが、裏蓋ネジが錆びてしまうとその細さから問題になることが多々あります。ネジが錆びて強度が弱くなると、外すときに折れてしまうのですね。
折れたらメーカーへ依頼をしないと部品交換ができません。が、多くのお客様は価格面で安く対応できる当店でオーバーホールをご希望されます。
そこで当店でオーバーホールが出来るかを見るため内部を開けたい。が、そもそもネジが安全に取り外せるかはやってみないとわからない…ある程度の見通しはお話ししていますが、ダメなときはダメです。また、当然ながら折れたら元に戻すこともできません。そのあたりはご理解いただけますと幸いです。
さて写真を見ただけだとひどく錆びて見えますが、この程度でしたら大したことはありません。軽い拭き取りと、多少できた凹みの奥を先端の細い棒でもって掻き出してきれいにしました。
機械はルクルトムーブをベースにしたCal.8011。
元々防水性能が高くないこともあり内部の油状態も年数なりに劣化をしているようです。
オーバーホールと仕上にて¥53,000にて対応できまして、錆もできる限り除去の対応をさせていただきました。
ご利用ありがとうございました。