J12 42マットブラックセラミック オーバーホール、外装仕上

腕時計修理内容

ブランド名 シャネル
モデル名 J12 42マットブラックセラミック
型番 ref.H3131
修理内容 オーバーホール、外装仕上
修理料金 ¥35,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業5週間
症状タグ

シャネル J12 42マットブラックセラミック オーバーホール、外装仕上

  • シャネル J12 42マットブラックセラミック 時計の正面

    時計の正面

  • シャネル J12 42マットブラックセラミック 搭載しているムーブメントはCal.A10-2です

    搭載しているムーブメントはCal.A10-2です

  • シャネル J12 42マットブラックセラミック 普段は見ることのない文字盤の下も美しく仕上げされています。

    普段は見ることのない文字盤の下も美しく仕上げされています。

  • シャネル J12 42マットブラックセラミック 画像2の状態から自動巻きを見やすいようにいくつかパーツを外した状態です。

    画像2の状態から自動巻きを見やすいようにいくつかパーツを外した状態です。

担当者コメントと修理のポイント

シャネルのアイコンウォッチJ12。その派生モデルの42マットブラックセラミックです(画像1)。
J12は非常に長く親しまれているモデルです。ケース素材は通常のJ12と違いマットですしサイズは薄くなっていますが、時計に詳しくない方でもなんとなく見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こちらは渋谷店でお買取させていただき、販売前のメンテナンスのためアフターサービス部へ回ってきたお時計です。
お買い取りさせていただいた担当者の話ではご使用者様は特に気になる不調は無いとお話になっていたそうですが、拝見してみると手巻きが非常に重く、精度は大きなブレがでてしまいまともに計測ができない状態でした。

搭載しているムーブメントはCal.A10-2(画像2)。
普段は文字盤で隠れてしまう部分も美しく仕上げがされています(画像3)。
セイコーのCal.4L25をベースにソプロード社がCal.A10として製作していたものの改良版で、今はさらに改良がなされてCal.M100シリーズとして製作されています。

メンテナンスを行うにあたり、まずは手巻きが重い原因について探っていきました。
考えられることとして手巻き機構の破損や摩耗もありますが、自動巻き機構は特に油の経年劣化や油切れなどにより引き起こされていることが多いです。

簡単にではありますが自動巻きの構造についてご説明します。
自動巻きの輪列を見やすいように脱進機と歯車の受け、ローター、ローター伝え車、角穴車を外した状態です(画像4)。
角穴車は本来取り付けられている位置に青丸を書き込んでみました。
赤線は自動巻き機構のローターが回転してからゼンマイが組み付けられている香箱真と角穴車へたどり着くまでの輪列のつながりです。画像では取り外しているローターと角穴車を含めるとゼンマイまで8つもの歯車を経由していることがわかりますでしょうか。

これだけ多くの歯車を経由しますと1箇所だけなら無視しても良いほど些細な油の劣化であっても8箇所すべて少しづつ劣化していると大きな影響となり巻き上げ不良を起こすことがあります。
また、Cal.A10に限った事ではありませんが切替車を使用した自動巻き機構の弱点の一つとして切替車そのものの繊細さがあります。他の歯車であれば問題にならないほど微小な注油の量、時間経過による油の粘度変化などの影響によって手巻きが重くなることや自動巻きの効率が著しく落ちることがあります。

今回のシャネル J12は目視で見て取れるほど全体の油が劣化していました。
手巻きが重い原因は油の状態を確認できた時点でほぼ確信を持てましたが、まともに精度計測もできない原因についてはパーツ摩耗や破損している可能性もありました。そこで分解しながら一つ一つパーツの状態を確認していき摩耗や破損は無く、洗浄・組み立て・注油にて作業を進めるとオーバーホールを終えた後は手巻きの操作も軽くなったことから、油の劣化による振り落ちが原因と確定できました。
計測値は当然としてランニングテストでも良好な精度でしたので、外装の仕上を終えた後で店頭にて販売予定です。

こちらのJ12をお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金で30,000円~(パーツ代金別途)。
外装仕上げも追加の場合はオーバーホールとのセット料金で+5,000円となっております。
J12は外装のほとんどを硬質なセラミックで作られており、外装仕上げもベゼルの金属部分と裏蓋とごく一部しか磨くことができません。そのため他のモデルより外装仕上げの料金をお安くご案内いたしております。

ご使用中の精度が気にならないからとメンテナンスをせずにお使いになられる方もよくお見かけします。ご使用になっているなら当然のこと、お使いにならなくとも経年により内部状態は刻一刻と変化しています。目に見える不調が起きたときには大量のパーツ交換が必要な事も珍しくはありません。長期間メンテナンスをされていないと心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。



  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。