IWC ポルトギーゼ・クロノグラフ オーバーホール
腕時計修理内容
ブランド名 | IWC |
モデル名 | ポルトギーゼ・クロノグラフ |
型番 | ref.IW371447 |
修理内容 | オーバーホール |
修理料金 | ¥45,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | 見積2~3週 作業1~1.5ヵ月 |
症状タグ | 定期メンテナンス油切れ |
(画像1) 6時位置にスモールセコンドを配置したIWC
(画像2) 文字盤を外している状態のムーブメント
(画像3) スモールセコンドを6時に移動させるためのユニット
(画像4) ユニットが分解されている状態
IWC ポルトギーゼ(中古)|腕時計専門の販売・通販「宝石広場」
IWC ポルトギーゼ(新品)|腕時計専門の販売・通販「宝石広場」
私が担当しました
修理担当した時計
担当者コメントと修理のポイント
今回より修理事例を書かせていただくことになりました。
宝石広場 時計修理センター渋谷の佐々木と申します。
今回ご紹介する修理事例は ポルトギーゼ・クロノグラフです(画像1)。
航海用精密時計をルーツとするポルトギーゼのアイデンティティを受け継ぎつつ、クロノグラフ機能を追加したシンプルなデザインが特徴です。クロノグラフ機構を搭載した腕時計はどうしても見た目が大きくなりがちですが、薄いベゼルとガード類のないケース、比較的短めのラグとの組み合わせが圧迫感を無くした素晴らしいデザインが秀逸です。
搭載されているムーブメントはETA7750がベースのCal.79350ですが、9時位置のスモールセコンドとストップウォッチの機能の1つである12時間積算計をなくしてシンプルなクロノグラフになっています。なくした12時間積算計の6時位置にはスモールセコンドを配置しています(画像1)。文字盤を外した状態のムーブメントがこちら(画像2)。6時位置にスモールセコンドを移設するためのユニットがこちらです(画像3)。
画像の1番左側の軸が出ている歯車にスモール・セコンドが取付けられます(画像4)。複数の歯車を介して秒針の位置を変えた場合、各歯車の間で動力の伝達のタイムラグが発生し「針飛び」と言われる、針が動いたり止まったように動く現象が発生してしまいます。そのため針を安定して動作させるために縦長のバネがあります(画像4の赤い矢印)。長年オーバーホールされていない場合、こちらのバネと歯車が接触する部分が摩擦によって傷が入り、動作が不安定になる事があります。今回はこちらのバネ部分の傷は軽微なものだったため、オーバーホールとバネ部分の磨き調整を行って完了となりました。
ポルトギーゼ・クロノグラフはケースの特徴で書きましたようにリューズガードやプッシュボタンのガード類がなくスッキリしたデザインの関係で、どこかにぶつけるなど外的要因でプッシュボタンの根元の軸が曲がってしまっている個体が多く見られます。プッシュボタンを押す硬さにも影響しますし、そのまま使用した場合に水気入りのリスクも高まりますので見た目や操作感に少しでも違和感を感じる事がありましたら、当店へお気軽にご相談下さい。
当店ではオーバーホールの基本料金内でこういったバネの調整も行っており、お客様よりお預かりした場合は¥45,000がオーバーホールの料金となり、外装仕上は¥12,000でのご案内となります。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。