IWC ポートフィノオートマチック オーバーホール・外装仕上げ・切替車交換×2

腕時計修理内容

ブランド名 IWC
モデル名 ポートフィノオートマチック
型番 ref.3513 4
修理内容 オーバーホール・外装仕上げ・切替車交換×2
修理料金 ¥49,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業8週間
症状タグ

IWC ポートフィノオートマチック オーバーホール・外装仕上げ・切替車交換×2

  • IWC ポートフィノオートマチック 今回ご紹介する修理事例は珍しいローマンダイヤルのポートフィノref.3513 4です。

    今回ご紹介する修理事例は珍しいローマンダイヤルのポートフィノref.3513 4です。

  • IWC ポートフィノオートマチック 裏蓋を四ヶ所で留めているネジです。

    裏蓋を四ヶ所で留めているネジです。

  • IWC ポートフィノオートマチック 取り外してみると一本はネジ部分が赤茶色に錆びていました。

    取り外してみると一本はネジ部分が赤茶色に錆びていました。

  • IWC ポートフィノオートマチック 裏蓋との接触面には錆が出ています。搭載されているムーブメントはETA Cal.2892系をベースとしたC.37521です。

    裏蓋との接触面には錆が出ています。搭載されているムーブメントはETA Cal.2892系をベースとしたC.37521です。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例は珍しいローマンダイヤルのポートフィノref.3513 4です(画像1)。
マニア好みの筆記体ロゴが入ったダイヤルもポイント。最近のIWCとはまた異なる味を持っていますので今風の大ぶりな時計に馴れた目で見ると新鮮に映ります。

こちらのIWC ポートフィノは渋谷本店にてお買取りさせて頂いた後、販売前のメンテナンスを宝石広場 時計修理センター渋谷が依頼を受けた1本です。外装に多数の使用傷がついていましたが大きな打痕はなく、汚れが溜まりやすいケースとストラップの隙間や裏蓋ネジ付近も比較的綺麗でした。リューズの操作感に違和感はなく、計測器上の精度にバラつきと振り角の低下が少しだけ見られました。精度のバラつきや振り角の低下は細かな汚れが付着しただけでも起こりえます。部分的な洗浄・注油などメンテナンスにて調子よく動作する可能性もありましたが、ご購入後により安心してご使用いただくために念のためオーバーホールを行うことに決めました。

まず交換パーツの有無や調整が必要な箇所などを含めてどの程度の作業が必要か検討をつけるため、裏蓋を開けて内部を見ることにしました。
IWC ポートフィノの裏蓋を開けるにあたり注意しなくてはならないのが裏蓋を留める4ヶ所のネジです(画像2)。素材のステンレス・スチールは錆びにくい金属ですが、汚れが溜まり空気と遮断されると錆びてしまいします。裏蓋のネジは腕が直接触れる位置で留めてあるため汚れが溜まりやすく、さらに細いため錆びて脆くなると緩める際に簡単に折れてしまうことがあります。そうなった場合はケースに折れ残ったネジを抜かなくてはなりません。
いままで経験してきたネジが折れてしまう場合は明らかに汚れや錆が発生していることもあれば錆びの発生どころか汚れも付着していなかったこともあり、外観からの判断は非常に難しいです。お客様にとってはオーバーホール以外にも想定される出費が増えることになりますので、錆の発生を少しでも抑えるためにも、ご使用後にネジのある窪みを歯ブラシで掃除する、乾いた布で拭くなど汚れが溜まらないよう日常的なお手入れをお勧めします。

多少の汚れが付着しているくらいで問題なく見えた裏蓋ネジですが、取り外してみると一本は全体が赤茶色になるほど錆びついていました(画像3)。前述の内容とは矛盾してしまいますが、日常的にお手入れをしていたからといって完全に錆の発生を抑えられるわけではありません。裏蓋とケースの境目に一度入り込んだ汗などの水分は、こうして裏蓋を開けない限り勝手に抜けていくことはほとんどありません。また今回のポートフィノの様に入り込んだ水分によってネジの中ほどから錆びてしまうことがあるため、先述の通り緩めてみるまで錆びているかどうかはわかりませんし浸食の程度もわかりません。見た目が綺麗だからと何も考えずにネジを回してしまうと折ってしまいますので、見た目の印象にとらわれず慎重に作業を進めなくてはなりません。
幸い錆は軽微だったのでアルコールでのふき取りと軽くこすることできれいにできました。

搭載しているムーブメントはETA Cal.2892系をベースとしたC.37521です(画像4)。手巻きの操作時には違和感がありませんでしたが、少しだけ連れ回りをしていました。連れ回りは手巻きしたときにローターが一緒に回転してしまう症状で、切替車という歯車の動きが悪くなることで起こります。程度にもよりますが、一般的に自動巻き機構の効率が落ちてしまいます。 ご使用者様からは何も伺っていませんでしたので、症状に出ない程度。洗浄・注油にて再利用できることもあるので本格的に分解する前に試してみましたが、残念ながら状況は変わらず交換が必要と判断しました。その後、全て分解しても交換が必要なパーツはありませんでしたので、新しい切替車を用意した後に改めて分解・洗浄・組立て・注油を行い、調子よい計測値と実測を確認し、オーバーホールを終えることができました。
外装の仕上げとストラップ交換の後で店頭へ並ぶ予定です。

こちらのIWC ポートフィノをお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金が30,000円、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で12,000円、切替車を2枚交換で¥7,000です。
修理のご依頼は他店にてご購入されたお時計でも承っております。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

日常的に拭き取りを行うだけでも外装を良い状態に保つことができます。汚れた状態でご使用を続けるとステンレスといえども簡単に腐食が進んでしまいますし、一つ一つのパーツ費用は安価であっても積み重なれば修理費用が高額になってしまいます。また費用の面だけでなく日常的な拭き取りでお手入れをすることで時計の状態チェックにもなり、致命的な不調が起こる前に気がつくことがあります。
お心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。

IWC ポートフィノ (中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。