ブライトリング クロノマット ブラックバード オーバーホール・外装仕上げ

腕時計修理内容

ブランド名 ブライトリング
モデル名 クロノマット ブラックバード
型番 ref.A449B11PAS
修理内容 オーバーホール・外装仕上げ
修理料金 ¥61,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答を頂きましてから作業7週間
症状タグ

ブライトリング クロノマット ブラックバード オーバーホール・外装仕上げ

  • ブライトリング クロノマット ブラックバード 今回ご紹介する修理事例は黒いダイアルとマット仕上げのケースが特徴的なクロノマット ブラックバードです。

    今回ご紹介する修理事例は黒いダイアルとマット仕上げのケースが特徴的なクロノマット ブラックバードです。

  • ブライトリング クロノマット ブラックバード 搭載しているムーブメントはクロノグラフモジュールを組み付けたETA Cal.2892A2です。

    搭載しているムーブメントはクロノグラフモジュールを組み付けたETA Cal.2892A2です。

  • ブライトリング クロノマット ブラックバード 裏蓋を開けて先ず気になったのはローターのメーカー銘付近についた傷です。

    裏蓋を開けて先ず気になったのはローターのメーカー銘付近についた傷です。

  • ブライトリング クロノマット ブラックバード 点検を進めるとアンクルの軸に赤い汚れが付着していました。

    点検を進めるとアンクルの軸に赤い汚れが付着していました。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例は黒いダイアルとマット仕上げのケースが特徴的なクロノマット ブラックバードです(画像1)。その名はアメリカ軍の戦略偵察機「SR-71」に由来します。高度およそ25,000mをマッハ3以上という実用機では世界最高の水平飛行高度と飛行速度を誇り、黒く塗られた機体と極秘裏に超高度から偵察を遂行することを任務としていたことから、“ブラックバード”というニックネームがつきました。
既に販売済みですが、こちらで販売しておりましたので、よろしければご覧ください。

ギャランティーによると2008年8月に販売された正規品です。こちらのクロノマット ブラックバードは渋谷店でお買取りさせて頂き、修理センター渋谷が販売前のメンテナンスを依頼された一本です。
販売日から経過した期間を考慮すると使用傷は少ない状態でした。回転ベゼルは軽い力で回すことができて、年数が経過した時計のように汚れで回転が渋いこともありません。またリューズやプッシュボタンの操作も良好だったため、当店に履歴はないもののメーカーや他店でメンテナンスを行っていた可能性を考慮に入れました。

搭載しているムーブメントはクロノグラフモジュールを組み付けたETA Cal.2892A2です(画像2)。クロノグラフモジュールはベースムーブメントの下にあり、周りの枠で隠れてそのままでは見えません。
裏蓋を開けてすぐに気になったのはローターのメーカー銘付近についた傷です(画像3)。本来はケース内で自由に回転するローターに傷がつくことはありません。ローターに傷がつく場合の多くはベアリングの摩耗や自動巻き部分のネジが緩むことでローターの上下可動域が広くなってしまい、受けや裏蓋と擦れることで起きます。また緩んだネジが完全に外れてしまうとムーブメント内でローターや受けとぶつかり深刻な傷やダメージを受けることもあります。
今回のクロノマット ブラックバードは傷が均一ではなく、その位置もローターの表面だけに集中していました。ローターの動く範囲は正常だったこととパーツが外れたにしては傷が浅かったことから、残念ながらどこかでメンテナンスの際に傷をつけてしまったと推測しました。
次に気になったのはメンテナンスの時期・品質についてです。仮に直近で良質なオーバーホールが行われていれば軽微な調整とランニングテスト・外装仕上げで店頭に並べられますので、オーバーホールが不要になった分だけ販売価格に反映できます。
分解しつつ状態確認を進めていくと油の減少や劣化が比較的早い自動巻き機構や4番車にも油が残っていましたが、アンクルの軸に赤い汚れが付着していました(画像4)。アンクルを外して見ると軸は摩耗していませんでした。
アンクル軸に磨耗粉以外の汚れが付着する原因は2点あり、油が劣化したかエピラム処理が施されたかです。
回転軸に対しては潤滑油は必要ですが油には表面張力があり往復運動に対しては抵抗になるため、通常はアンクル軸に注油しません。稀に仕様によっては特例的に注すことがありますが注油量は極微量です。今回は仕様的にも注油する部分ではありませんので洗浄が不十分で脱脂が完全ではなく残っている油分が劣化したのかもしれません。
アンクル軸には注油はしませんが、アンクル爪はガンギ車と常に激しく衝突と摩擦が起きるため注油が必須です。ですが輪列の軸受けの様に油を留めることができないため、エピラム処理を行い油の拡散を防ぎます。処理はエピラム液に浸した後で乾燥させることでできます。今回のクロノマット ブラックバードは爪だけではなくアンクル全体を漬けて処理され、不要な軸の部分に残っていた可能性も考えられます。

直近とは言えないまでもメンテナンスが行われたことは間違いないようで、全て分解しても摩耗しているパーツはなく全体的に少し油が減少している程度でした。組立てと注油、正しくエピラム処理を行うと良好な精度を記録できましたので、外装仕上げの後で店頭へ並びました。
すでに販売済みですがこちらで販売しておりましたので、宜しければご覧ください。

こちらのブライトリング クロノマット ブラックバードをお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金¥47,000、オーバーホールとセットで外装仕上げをご希望の場合はセット料金で ¥14,000です。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

ご使用にならなくとも経年による油の減少はありますので、長く使うためにも定期的なメンテナンスは必要です。新しい油で潤滑することでパーツの交換を必要最小限にとどめるとともに、軸の摩耗を放置した結果として摩耗することの多い受けなど当店で入手困難なパーツ交換を避けやすくなります。本当に最悪の場合はメーカーでもパーツ入手ができず時計の寿命(修理不可)になることもあります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。

中古 629869001 A449B11PAS クロノマット ブラックバード|ブライトリング|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

ブライトリング クロノマット(中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」(housekihiroba.jp)

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。