ブルガリ レッタンゴロ 修理キャンセルの為ご返却しました
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
RT45C6LSSD|ブルガリ レッタンゴロのオーバーホール・修理|腕時計のオーバーホール・修理なら【宝石広場 時計修理センター 渋谷】
担当者コメントと修理のポイント
他店で購入されたお時計が一日中腕につけていても翌朝には止まっているということで、修理キットにてオーバーホールのご依頼を頂きました。
お時計はブルガリのレッタンゴロです(画像1)。
搭載されているのはETA Cal.2000で小型の薄いムーブメントです(画像2)。
計測器での検査やパーツ外れなどが無いかのチェックと輪列の油の状態を確認しましても、止まりやすい原因を特定することはできませんでした。
原因を探るためさらに分解をすすめました(画像3・4)。
同じ部品の表裏です。画像3の左が1番受けで中央と右が自動巻き機構のパーツです。
一般的にムーブメントは歯車を受けとプレートではさんでいる構造ですが、Cal.2000ではムーブメントを薄くするために多くのパーツが受けに直接取り付けられ一体となっています。
この歯車の軸は取り付ける際にカシメられていて取り外しはできないようになっていますので、オーバーホールでも受けは歯車が取り付けられたままの状態で洗浄することになります。
これまでこの軸が原因で不具合が起きたことは記憶にありませんし、洗浄不足や注油量の過不足があれば操作に違和感がでるので作業が確実にできているのかは判断できますが、目視できないため気になってしまいます。
気になるたびにETAのサイトやテクニカルガイドなどを確認していますが洗浄方法やパーツの交換時期や、軸の確認方法についての記載はみつかりません。
目視できなくても1つ1つの作業を確実に行えていれば問題ないということなのでしょう。
さて、ほとんどのパーツを分解し終わり輪列も確認しましたが油の劣化で振りや精度がが落ちても、ご指摘されるほどの症状が起こりそうにはありませんでした。
最後に香箱を分解してみたところ、ようやく気になる部分を発見しました。
ゼンマイの一部に極端な曲がり癖がついていて、更によく見てみるとヒビも入っていました。ゼンマイにヒビが入っては本来の持続時間は持たないでしょうから原因はゼンマイで間違いありません。
お客様へオーバーホールと外装仕上、ゼンマイ交換のお見積りにてご案内しましたが、今回はご予算の関係で修理をキャンセルすることとなりました。
T様 お力にはなれませんでしたが、ご依頼ありがとうございました。