カルティエ タンクディヴァン オーバーホール・仕上
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
W6300755 | カルティエ タンクディヴァバンのオーバーホール・修理|腕時計のオーバーホール・修理なら【宝石広場 時計修理センター 渋谷】
担当者コメントと修理のポイント
時間が合わないという事でお預かりしたこちら。
ご来店時に軽く見てみたところ、全巻きにしても振り角が
180°ってまともな精度が出るわけない状態…
これなら今までも結構ズレていたハズ。
伺ってみましたら、どうもご購入なさってから8年くらい
なんもしていなかったのだそうです。
時間は大まかにわかればいい、ってご使用されていたものの
最近になって数時間単位の遅れが出るようになってしまい
今回のご依頼を頂きました。
さて、この状態だと単純に精度調整だけしても遅れは出ます。
というか、ご指摘の数時間単位の遅れはですね、コレ、
たぶん腕に付けていても止まりが起きて、たまたま見た
瞬間だけちょっと動いていたって事だと思います。
そんな状態で調整しても(というか止まりがメインですから)
意味がないよねってお話しましてオーバーホールのご依頼を
いただきました。
カルティエのディヴァン。
長椅子をモチーフとしたこのモデル、なるほど確かに
言われてみれば横長ケースがそう見えてきます。
内部はETA Cal.2000、長らくレディースモデルに使われて
きたムーブメントです。
同じETAの Cal.2892なんかと比べてしまうと、
パワーリザーブは40hほどですし、精度の安定性も若干
落ちてしまいますがどちらも小型化する過程で避けられない
内容です。むしろこれだけ小さなムーブメントでこれだけ
パワーリザーブや精度の安定性をだしてるんだから、
十分良い機械なのだ言っていいと思います。
お預かりしたお時計は油は全くないし、若干の摩耗も
ありましたが、機能に影響は出ない範囲でしたので
部品交換もなく、オーバーホールのみで作業を終える事が
出来ました。
が、やっぱり手がかかったのが最後の調整です。
計測器でソコソコいい値がでても、実際に動かしてみると
なんだか進み気味/遅れ気味って事で実測値と計測値を
にらめっこしながら調整、どうにか良い精度が出せました。
ご依頼ありがとうございました(´∀`*)