カルティエ タンク アングレーズ オーバーホール
腕時計修理内容
ブランド名 | カルティエ |
モデル名 | タンク アングレーズ |
型番 | ref.W5310009 |
修理内容 | オーバーホール |
修理料金 | ¥28,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業5週間 |
症状タグ | 外装破損・曲がり・固着定期メンテナンス操作しづらい/出来ない汚れ油切れ |
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修理後のお時計
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タンク アングレーズのリューズ
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リューズとカバー
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カバーの内側は完全な円ではありません
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
他店で購入された時計のリューズを回せなくなったのでオーバーホールしたいということで宅配キットにて渋谷店にご依頼を頂きました。
お時計はカルティエのタンク アングレーズです(画像1)。
このモデルのリューズは特殊な形をしていまして、カボションの取り付けられた小さなリューズ(以降リューズと呼びます)とケースの厚みよりも直径の大きいな9角形のパーツ(以降カバーと呼びます)で作られています(画像2)。
通常の時計と同じようにリューズを引くことでポジションの切り替えができ、手巻きや時間合わせカレンダー早送り操作はカバーを回すことで行います。ちなみに引き出したリューズでも操作は可能です。
アングレーズはタンクの特徴はそのままにリューズ部分をケースに埋め込み、斬新かつ画期的なデザインに仕上げ操作性をも兼ね備えています。
画像はリューズを取り外したところです。(画像3)。
リューズを取り外すとカバーとの隙間から固まった汚れが落ちてきました。ある程度大きな汚れは払ってから画像を撮りましたが、それでも小さな汚れが移っていることが分かりますでしょうか。
ご依頼の”リューズを回せなくなった”という主な原因はここにあり、 リューズとケースの間に汚れが間に詰まっていたため操作が重くなっていました。
汚れはリューズとカバーの間だけではなくカバーとケースの間にも入り込み、リューズを取り外した後にカバーだけを回転させてもまだスムーズな回転とはいえませんでした。
カバーは回転だけできるようにケースに固定され、汚れの入り込んだ隙間にブラシが届きません。
画像撮影後にオーバーホールとあわせて洗浄機で洗って油をさしたところスムーズに回転すようになりました。
画像4はカバーを真横からみた状態です。
リューズが入り込むカバーの凹みは真円ではなく、矢印で指したところは平らになっていて小判型のような形状をしています。入る側のリューズもカバーの凹みと同じように平らな部分があり、カバーを回すとリューズも一緒に回るようになっています。
リューズが回せなくなった主な原因はリューズ周りの汚れでしたが、ムーブメントの油が切れて手巻きが異常に重いことも影響していました。
受付の際に伺った話では6~7年ほど前にご購入されて以降何もメンテナンスをされていないということで、経過した期間相応の状態になっていました。
極端な摩耗はありませんでしたが油は劣化して役目をはたせなくなり、日付けの切り替わりも引っ掛かりが出ていました。
分解しながらパーツ1つ1つを再利用できるか確認し、調整のズレたところを修正して洗浄、注油と組み立てをしたところ調子よく動作させることができ、ご依頼のオーバーホールのみでお渡ししました。
Y様 ご依頼ありがとうございました。