ジャガー・ルクルト マスターコントロール コンプリートサービス、リューズ交換、裏蓋ねじ取付
腕時計修理内容
ブランド名 | ジャガー・ルクルト |
モデル名 | マスターコントロール |
型番 | ref.Q1398120 |
修理内容 | コンプリートサービス、リューズ交換、裏蓋ねじ取付 |
修理料金 | ¥78,925-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | 当店見積1週間、その後メーカー見積2週間、ご返答を頂きましてから実作業6週間 |
症状タグ | 油切れ遅れる |
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修理後のお時計
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裏ガラスから見たムーブメント
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矢印位置に真横に走ったヒビがあります。
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
2006年にご購入されてから一度も定期整備をしたことがないままお使いになり、いよいよ止まりや大幅な遅れが目立ってきた、とのことで初めて修理のご依頼を頂きました。
外観は使用傷だけでなく隙間や奥まった部分が汚れており、特に裏側に多く汚れが付着していました。
酷い箇所は錆も浮き始めていて、裏蓋の留めネジが錆びていますとムーブメント取り出しの時点で固着により折れてしまうことも少なくありません。
このような状態の時計は見積もり作業の前にお客様の許可をいただいてから裏蓋開閉を行います。
このようなネジが折れるか折れないかの判断は、ネジの見えない部分がどの程度に錆びているかによるため実際に回してみないとわかりません。
見積もり時点で折れた場合の費用と作業期間、仮に修理をキャンセルををご希望された場合はネジは折れたままでご返却となることをご説明しました。
お見積り時に裏蓋ネジに油を浸透させてから細心の注意を払い慎重に作業を行いましたが、4本中の1本はネジが芯まで錆びていて完全に固着していたため折れてしまいました。
さらに内部は心臓部の脱進機が不自然でぎこちなく動いていました。
長期間メンテナンスせずにご使用していた時計ですので動きが悪いことは予想していましたが、それだけではない違和感がありました。
違和感のある脱進機を分解しながら注意深く見ていくと原因がわかりました。(画像4)
アンクルの穴石が軸穴をまたいで一直線にヒビが入っていました。
これはとても危険な状況です。ヒビのある穴石をそのまま使えばルビーがアンクルの軸を徐々に削り、
摩耗が限界に達してしまえば停止と送りを司るアンクルとガンギ車の噛み合いが外れてしまいます。
噛み合いが外れてしまうと強いゼンマイの力が一気に解放されてしまい華奢なガンギの歯先が力に耐えられず折れて破壊しかねません。
穴石またはアンクル受けは当店では入手できませんし、代替品への交換もできませんのでメーカーでの修理が必要です。
お客様へは部品破損による交換が必須のためメーカー修理をご案内しました。
メーカーでの再見積もりとなりますので改めてお時間をいただき、お見積をご案内しました。
お預かり当初は当店工房にてオーバーホールでの料金をご案内しておりましたが、
最終的にメーカーによるコンプリートサービス(裏蓋ネジ取付を含む)・リューズ交換となり若干高額になってしまいました。
当店でご購入いただいたお時計はメーカー修理となった場合でも代行手数料を頂いておりません。
メーカーからの請求額そのまま同額をご案内させていただきました。
Y様 ご依頼ありがとうございました。