ルミノールマリーナ オーバーホール、外装仕上

腕時計修理内容

ブランド名 パネライ
モデル名 ルミノールマリーナ
型番 ref.PAM00111
修理内容 オーバーホール、外装仕上
修理料金 ¥33,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答を頂きましてから作業5週間
症状タグ

パネライ ルミノールマリーナ オーバーホール、外装仕上

  • パネライ ルミノールマリーナ 修理後のお時計です

    修理後のお時計です

  • パネライ ルミノールマリーナ 2重構造の文字盤です。赤矢印で指したところが境目です。

    2重構造の文字盤です。赤矢印で指したところが境目です。

  • パネライ ルミノールマリーナ ムーブの写真です

    ムーブの写真です

  • パネライ ルミノールマリーナ スワンネックのアップです。緩急針は青矢印方向に動きます。

    スワンネックのアップです。緩急針は青矢印方向に動きます。

担当者コメントと修理のポイント

他店でご購入になってから10数年たち、遅れてしまうようになったということで配送キットにて渋谷店にご依頼いただきました。

お時計はパネライのルミノールマリーナです(画像1)。
ルミノールマリーナはプレ・ヴァンドームと呼ばれるヴァンドームグループ(現在のリシュモングループ)に参入前からラインナップされているモデルです。

画像2をご覧ください。
ルミノールマリーナに限ったことではありませんが2重構造の文字盤はパネライの特徴の1つです。
矢印で境目を指してみましたがわかりますでしょうか。上側のプレートには数字やインデックスの穴をあけ、下側のプレートには発光素材を塗布してあり明るく視認性もよくなっています。

デザイン上の特徴は9時位置のスモールセコンドとシースルーバックから見えるムーブメントです。元々懐中時計のムーブメントを腕時計に転用したことからスモールセコンドは9時位置に配置されています。

搭載しているのはETA Cal.6497ベースのCal.OP Ⅸです。
Cal.6497をベースにしていますが過去に搭載されていたロレックスのCal.618を意識しているのか、受けのデザインが大幅に変更されています。Cal.6497と比べて持続時間は長くなり、スワンネックが搭載されたことで高級感も増しています。

高級時計の証などと言われることも多いスワンネックですが役割としては微細な精度調整をするための機構です。精度調整機構には何種類かありますが、緩急針を動かして精度調整を行うものが一般的です。ですが緩急針はほんの少し動かすだけでも大きく精度が変わるため、フリーハンドで少しだけ進みや遅れに調整したいといった微調整は難しいです。そこでスワンネックは調整ネジのピッチを細かく作り、調整ネジを回したときの緩急針が移動する量を小さくすることで微妙な精度調整を可能にしています。

画像4はスワンネックをアップにしたものです。
構成している調整ネジ・バネ・緩急針の3点を赤文字で指し、青矢印で緩急針の動きを書き込んでみました。
パーツを1つずつ見てみると非常にシンプルな作りをしていることがわかります。
・調整ネジは右回転することで先端が画像下へ移動し、左回転することで画像上へ移動します。
・バネは画像の上方向に力がかかっており、緩急針を調整ネジに押し付けています。
・緩急針は青矢印の方向に動きます。画像下へ動けば遅れに、画像上へ動けば進みに調整できます。
シンプルな構造ですが非常に実用的であり、またメーカーごとにバネ部分の形状に個性があり見た目にも楽しめるポイントになっています。

お預かりしたパネライが遅れる原因を探りながら分解作業をしていきパーツを1つ1つ細かく確認しましたが、パーツの大きな摩耗は見られませんでした。購入から10数年メンテナンスをしていないということで歯車等の油が完全に乾いていましたので、遅れの原因は油切れによるものだと特定できました。ゼンマイの劣化によるトルクや持続時間の減少等も心配していましたが、綺麗に洗浄し問題ないことも確認できました。
スワンネック機構だけでも精度調整はできますが、こちらはシースルーバックでムーブメントが見られる仕様です。せっかく調子のよい精度でも緩急針が遅れ側や進み側に偏っていると美しくありません。緩急針は調整部分とヒゲに接している部分が分離していますので、できるだけ微調整の範囲内に緩急針が中央にある状態で最終調整をおこないましてオーバーホールと外装仕上にてお渡しができました。


A様 ご依頼ありがとうございました。