ロレックス オイスター パーペチュアルデイトジャスト オーバーホール・外装仕上げ・ローター真・巻上げ車交換
腕時計修理内容
ブランド名 | ロレックス |
モデル名 | オイスター パーペチュアルデイトジャスト |
型番 | ref.179174G |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ・ローター真・巻上げ車交換 |
修理料金 | ¥73,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業8週間 |
症状タグ | 内部異音部品劣化/破損 |
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今回ご紹介する修理事例はロレックス オイスター パーペチュアルデイトジャスト ref.179174Gです。
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搭載しているムーブメントはCal.2235です。
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ローターに大量の磨耗が付着していました。
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磨耗したローター真。段付き摩耗し腐食により変色もあり、ネジが暴れた跡もついていました。
ロレックス デイトジャスト (中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はロレックス オイスター パーペチュアルデイトジャスト ref.179174Gです(画像1)。
シリアルはいわゆるランダムシリアルが採用される前のアルファベット+数字6桁の方式。現方式に変更される直前のG番ですので製造は2010年です。
以前お買い上げいただいたロレックス オイスター パーペチュアルデイトジャストをお買い戻しいたしました。販売前のメンテナンスを行うためアフターサービス部に依頼されてきた1本です。
10年以上ご使用されていた外装には多数の打痕がつき、特にベゼルは仕上げ後も残ってしまいそうでした。これはフルーテッドベゼルが山形に等間隔でカッティングされた刻みが特徴のデザインのため、傷や打痕が完全になくなるまで仕上げることでエッジが丸まり見栄えがわるくなってしまうためです。当店では打痕を取り切ることよりもオリジナルの形状を保つことを重視しております。そのため今回のフル―テッドベゼルの様にエッジの立った箇所の仕上げは鏡面の輝きを取り戻すまでに留めております。
外装同様に動作状態も悪く、手巻きをすると動きましたが計測すらできず内部からは大きな異音がする状態でした。
このまま動かすことで内部の状態はさらに悪化する可能性もありましたので、状態を把握できた後は操作をせずに作業を進めることとしました。
搭載しているムーブメントはCal.2235です(画像2)。裏蓋を開けて想定通りのことが起こり、残念なことに想定より状態が悪いことがわかりました。ローターに擦れ跡がつき、全体的に摩耗カスと汚れが散らばっていました(画像3)。異音の原因は音の大きさからローター真の磨耗にあると推測していましたが、考えていた以上に磨耗は進行していました。ローター真は大きく重いローターを支えているため、非常に力のかかるパーツです。長期間メンテナンスをせずに使用を続けたことで油がきれてしまい一気に摩耗が進んだのでしょう。そのまま使い続けられたため受け板や裏蓋にも当たり全体に大量の汚れが発生していました。
まずはローターを取り外しました。矢印の部分がローター真です(画像4)。緩んだネジがないにもかかわらず内部にネジが暴れた傷もありますので、当店に記録はありませんが12年の間に他店で修理をしているようです。ローター真は段付き摩耗したうえに茶色く腐食しており、このままでは使えないため修理が必要です。ローターそのものは当店で入手ができませんがローター真はメーカーでも交換を想定されているパーツです。まずは摩耗した真を外し、新しい真をカシメて交換することでローターを再利用できます。
全体の分解をして巻き上げ車の交換も必要とわかりました。部品交換と洗浄と組み立てにて良好な計測精度を記録できました。実測にて精度の調整も行い、外装仕上げの後に店頭へ並ぶ予定です。
今回のパーペチュアルデイトをお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金が¥27,000、別途パーツ代が¥35,000、オーバーホールとセットで外装仕上をした場合は¥11,000にてご依頼を承っております。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
耐久性が高いとされるロレックスでも経年による劣化や摩耗はあります。ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたらオーバーホールだけでは完調にならず交換パーツが多く必要になったり、当店で入手困難なパーツが判明して高額なメーカー修理しか方法がない場合も珍しくありません。本当に最悪の場合はメーカーでもパーツ入手ができず時計の寿命(修理不可)になることもあります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。