チューダー プリンスオイスターデイト オーバーホール・外装仕上げ

腕時計修理内容

ブランド名 チューダー
モデル名 プリンスオイスターデイト
型番 ref.75203
修理内容 オーバーホール・外装仕上げ
修理料金 ¥37,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答を頂きましてから作業7週間
症状タグ

チューダー プリンスオイスターデイト オーバーホール・外装仕上げ

  • チューダー プリンスオイスターデイト 今回ご紹介する時計はチューダー プリンスオイスターデイトです。

    今回ご紹介する時計はチューダー プリンスオイスターデイトです。

  • チューダー プリンスオイスターデイト 搭載しているムーブメントはCal.2824-1です。

    搭載しているムーブメントはCal.2824-1です。

  • チューダー プリンスオイスターデイト カンヌキ・ツヅミ車・キチ車の位置関係です。※別の時計の画像です。

    カンヌキ・ツヅミ車・キチ車の位置関係です。※別の時計の画像です。

  • チューダー プリンスオイスターデイト 裏押えと兼用のカンヌキバネがカンヌキを押すことで矢印方向に力がかかり、ツヅミ車とキチ車が噛み合います。※別の時計の画像です。

    裏押えと兼用のカンヌキバネがカンヌキを押すことで矢印方向に力がかかり、ツヅミ車とキチ車が噛み合います。※別の時計の画像です。

担当者コメントと修理のポイント

今回ご紹介する修理事例はチューダー プリンスオイスターデイトです(画像1)。
1970年代後半~1980年代前半に作られたと思われる「プリンスオイスターデイト 75203」はプラスチック風防に盾マークの組み合わせが面白い金メッキモデルです。ロレックス譲りのスタイルは少し小ぶりなケース径もあって上品な印象で、ヴィンテージモデルとはいえ普段使いも十分にできる一本です。

記事下部とこちらにて販売しておりますので、宜しければご覧ください。

こちらはお買取りさせて頂いたあと、販売前のメンテナンスの為にアフターサービス部へ回ってきた1本です。
外装には経過年数なりに多くの傷や打痕がついていました。打痕のなかでも深く凹んでいる箇所は仕上げを行っても痕が残ってしまいますし、もし完全に凹みがなくなるまで磨いてしまうとケースやブレスレットの元の形が変わってしまいます。またヴィンテージモデルとしてはあまり綺麗に仕上げすぎても雰囲気がでませんので、現行中古商品のように新品戻し仕上げではなく、本来の形を崩さないことを優先した仕上げで留めることにしました。
外装の確認を終えた後リューズを操作してみると手巻きの際に噛み合いが外れて滑ることがありました。
素早くリューズを往復したときに症状が出やすかったことと滑るときの感触から、ある程度の原因を推測できました。

手巻きが滑る症状は原因によりできることが大きく変わります。
搭載しているムーブメントはETA Cal.2824(画像2)と汎用ムーブメントですので大抵のパーツは入手できますが、リューズなどの外装パーツは入手できずメーカー対応が必要になってしまいます。メーカーではリューズ交換のみの部分修理対応をしませんし、オーバーホールを含めてリューズ交換を行う場合と、当店で全て対応できる場合にはかかる費用が大きく変わります。

まずはリューズを取り外して状態を確認してみました。
このプリンス オイスターデイトのように、ある程度古いモデルはリューズ自体が複数のパーツに分解できるものがあります。
多くのネジ込み式リューズの構造は内部にバネが仕込まれており、ネジ込みの開け閉めに合わせて内部バネが伸縮することで、リューズの回転を巻き真に伝える/伝えないを切り替えています。
手巻きが滑る原因がリューズ内部の摩耗にあることも多く、限界にまで達していた場合はリューズ交換が必要です。今回は伸縮部にできたバリにより動きが渋くなったため噛み合いは少し浅く、また外れやすくもなっていました。根本的な原因ではなさそうでしたが、念のためバリを取り除いてリューズを組み直したところスムーズに伸縮ができるようになり切り替えも良好になりました。
処置後は少し症状が出にくくなりましたが、手早く往復させて手巻きをすると滑る症状がでてしまいました。
リューズ側の原因は処置済みですので、他に考えられる原因はパーツの入手できる汎用ムーブメント側にあることがわかり当店内で対応ができることを確定できました。
次に裏回り(文字盤に隠れる側です)の動きを確認したところ原因が特定できました。
ツヅミ車がしっかりキチ車に側に押し付けられておらず、手巻きをしても噛み合いが外れて滑りやすくなっていました。ツヅミ車をキチ車側に押し付けるためのカンヌキがバネの調整がズレたために本来の役割を果たせていませんでした。
Cal.2824のカンヌキバネは裏押えと兼用の構造です(画像3.4これは別の時計の画像です)。画像4に書きいれた矢印の位置からカンヌキのお尻側を押すことで支点を介して先端がツヅミ車をキチ車に噛み合うように押えています。
裏押え/カンヌキバネは厚みもあり頑丈なパーツですので頻繁に交換するパーツではありませんが、経年で少しづつバネ調整がズレてしまったのでしょう。バネを力が加わりやすい方向に調整を行い組み直したところツヅミ車とキチ車にしっかりと噛み合いが滑る症状は解消しました。裏押え/カンヌキバネは調整後も十分に弾性があったため今回の交換は見送りました。

その他には特に調整が必要な箇所もなく、丁寧に洗浄・組立て・注油を行うと調子よく動作するようになりました。

こちらのチューダー プリンスオイスターデイトをお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金が26,000円~(パーツ代金別途)、オーバーホールと一緒に外装仕上げを追加の場合はセット料金で11,000円です。
修理のご依頼は他店様でご購入されたお時計でも承っております。配送にて対応もご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。

長期間メンテナンスをせずにいると内部のパーツは少しづつ摩耗していきます。
パーツが劣化や摩耗しきって目に見える症状が出てオーバーホールをご依頼いただいたときに大量のパーツ交換が必要なことも珍しくはありません。
お心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。

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  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。