ロレックス オイスター パーペチュアルデイトジャスト オーバーホール、外装仕上、内部ネジ交換
腕時計修理内容
ブランド名 | ロレックス |
モデル名 | オイスター パーペチュアルデイトジャスト |
型番 | ref.69178G |
修理内容 | オーバーホール、外装仕上、内部ネジ交換 |
修理料金 | ¥40,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り2週間、ご返答いただきましてから作業4週間 |
症状タグ | 止まる油切れ部品劣化/破損 |
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修理後のお時計です
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左側の赤丸部分がデイトジャスト機構です
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赤丸で囲った部分のレバーは常に画像右側に押し付けられています。
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左から取り付けネジ、バネ、歯車、カムです
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
他店でご購入され長年ご使用になり、ついに動かなくなってしまったということでオーバーホールのために渋谷へご来店いただきました。
お時計はロレックスのオイスター パーペチュアルデイトジャストです(画像1)。
搭載されているCal.2135は後期型です。1980年代初め頃から1990年代終わり頃まで製造されたムーブメントで前期型と後期型があります。
前期型と後期型はできる操作に違いがあり簡単に見分けがつきます。
前期型は日付の早送りを進みと戻りの両方向に操作でき、後期型では進み方向にのみできます。
両方向に操作できる前期型が便利だと思いますが、私が経験してきたかぎりですと後期型は誤操作も含めて日付けまわりのパーツ破損が少ないのでどちらが良いとも言いきれません。
日付けと言えばモデル名にもなっているデイトジャスト機構ですが、昔からある定番の認識違いがあります。
"デイト+ジャスト=日付がぴったり変わる"と思われがちですが、00:00ちょうどに日付が切り替わる機構ではなく、日付けが一瞬で切り変わる機構です。
現代でこそデイトジャスト機構と同じように瞬時に日付が切り替わるモデルも多数ありますが、全回転式ローターを採用した”パーペチュアル機構”や高い防水性を実現した”オイスターケース”とともに発表された当時には画期的な機構でした。
今回はデイトジャスト機構の動きについて説明いたします。
まずは画像2をご覧ください。
これは針と文字盤、カレンダーディスクをはずしたところで左側の赤丸で囲った部分がデイトジャスト機構です。
大きな金色の歯車が日送り車で、時針が取り付けられる筒車と噛み合い24時間で左に1回転することで日付けを1日分進めます。
画像3は日送り車を取り外したところです。
日送り車を外すと大きなレバーが取り付けられていることがわかります。
この先端にルビーの取り付けられたレバーはバネによって常に金色のパーツ側に押されています。
画像4は左から取り外したネジ、バネ、歯車、カムです。
時計の動きと共に、バネ、歯車、カムで構成される日送り車一式は左回転をしており、バネに取り付けられたピンがカレンダーディスクの歯先と噛み合い24時間に1回日付けを進めます。
画像3のレバーは常にカムに押し付けられていますので、カムが回転しレバーがカムの頂点から一気に滑り落ちることで瞬時に日付けを切り替えています。
”日送り車一式は左回転している”と書きましたが、正確にはパーツが完全に固定されていないため一部の回転にズレがあります。
正確にご説明するならバネとカムは固定されていますが、バネ+カムと歯車は固定されていません。
できるだけわかりやすいように画像4に矢印をかきこんでみました。
カムに取り付けられたピンが歯車の細長い穴を通り、最後にバネの穴に入ることで日送り車は組み立てられています。
時間が進むと歯車が左回転し、歯車の穴後端にピンが押されてバネとカムが一緒に回転しますが、日付けが変わるとき(レバーがカムの段差を滑り落ちるとき)にはカムとバネだけが進むように作られています。
お預かりしたデイトジャストの止まった原因は内部ネジが折れて歯車に引っかかっていたためでした。
また、カレンダーディスクに若干の摩耗がありましたが調整による再利用ができました。その他に油切れもしていましたが、輪列に極端な摩耗はなくオーバーホールと折れたネジ交換に追加でご依頼いただいた外装仕上にてお渡しができました。
K様 ご依頼ありがとうございました。