オメガ シーマスタープロフェッショナル オーバーホール、ゼンマイ・香箱・3番車・4番車交換
腕時計修理内容
ブランド名 | オメガ |
モデル名 | シーマスタープロフェッショナル |
型番 | ref.2453-50 |
修理内容 | オーバーホール、ゼンマイ・香箱・3番車・4番車交換 |
修理料金 | ¥43,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業6週間 |
症状タグ | 止まる油切れ部品劣化/破損 |
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時計はオメガのシーマスタープロフェッショナルです。
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文字盤側から4番車の軸を見たところです。軸に緑の汚れが付いているのがわかりますでしょうか。
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脱進機を外して横から輪列を見たところです。こちらからも4番車の汚れが見えました。
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輪列受け側も汚れがひどかったです。
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私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はオメガ シーマスタープロフェッショナル ref.2453-50です(画像1)。
ボーイズサイズなので小振りですが、メンズサイズと同様にヘリウムエスケープバルブを搭載し300mもの防水性能を誇る本格的ダイバーウォッチです。
こちらのシーマスタープロフェッショナルはお客様からお預かりした1本です。
10年ほど前にご購入になり数年ご使用した後、しばらくご使用されずにいたそうです。久しぶりに使おうとしたところ手巻きしても動かなかったため、初めてのオーバーホールを渋谷本店にお持ち込みいただきました。
全体的にご使用年数なりの小傷や打痕がつき、特にブレスレットは大きくガタついていました。
受付け時点でブレスレットの連結部分に緩みは見つかりませんでしたが、ガタがある場合は調整駒をピンと摩擦で留まっているパイプが緩んでいることがありますので注意して確認してみました。
実は使い込まれた時計の外装洗浄を行うとピンが抜けてきてしまうことも珍しくありません。確認をするためには実際に洗浄をしてみないと緩んでいるか判断できないことと、緩んでいた場合はピンとパイプの劣化の状況に応じて交換が必要なことをお客様にご了承頂いてからお預かりいたしました。
なぜ洗浄をすることでピンが駒から抜けてしまうかというと、経年変化や摩耗により劣化して固定力が弱くなったピンとパイプでも、汚れや錆が詰まることで現状を維持している状況は多く、洗浄することによって詰まりを取り除き綺麗にすると抵抗がなくなることで抜けてきてしまうからなのです。
汚れや錆はピンとパイプを劣化させていくだけでなく錆で固着すると駒の調整ができなくなりブレスレットの寿命を著しく短くさせてしまいます。また劣化したピンとパイプはご使用中に突然抜けてしまうこともあり時計を落下させてしまう危険性もありますので、定期的な洗浄と点検を行いピンとパイプを良い状態に維持することをお勧めします。
お預かりしてから裏蓋を開け、お見積の作成に取り掛かりました。
搭載しているムーブメントはETA Cal.2892-2です。
全体的に大量の摩耗カスや汚れが散っていたことと手巻きしても動かない状態だったため、裏蓋を開けただけでは不動の原因を特定することはできませんでした。
針や文字盤を外して裏側から見てみると、4番車の軸から大量の汚れがでていました(画像2)。
メンテナンスをせずに動かしていたことでパーツが摩耗し、さらに長期間放置されたことで摩耗カスが酸化してしまい回転の大きな抵抗になっていました。
脱進機を外して横から輪列を見ると4番車の軸の汚れはこちらからも確認できました(画像3)。
酸化した摩耗カスが不動の原因だろうと考えましたが、汚れが酷く分解しただけではどのパーツがどの程度劣化しているかまではわかりませんでした。
そこで軽く洗浄して状態を確認したところ摩耗カスの出どころと考えていた4番車の他に3番車の軸も摩耗により大きな段差ができており、さらにゼンマイの劣化とゼンマイを入れる香箱内壁の摩耗も発見しました。
どのパーツも研磨や調整で対応できる程度を超えていたため、パーツ交換を含めたお見積りを作成しお客様へご了承を頂いてから本作業を開始しました。
まず外装の洗浄を行いましたところ、幸いブレスレットのピンとパイプには緩みもなくそのままご使用いただける状態でした。
次にムーブメントの作業を進めました。
お見積り作成時に軽く洗浄をしていますが、本作業にあたり改めてすべてのパーツを洗浄し、注油と組み立てを行うとスムーズに動作するようになりました。ケーシング後のランニングテストでも良好な精度を確認できましたのでオーバーホールを完了としました。
こちらのオメガ シーマスタープロフェッショナルのオーバーホール基本料金で26,000円~(パーツ代金別途)。
外装仕上げを追加の場合はオーバーホールとのセット料金で14,000円です。
ご使用になっているなら当然のこと、お使いにならなくとも経年により内部状態は刻一刻と変化しています。目に見える不調が起きたときには大量のパーツ交換が必要な事も珍しくはありません。長期間メンテナンスをされていないと心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。
ご依頼ありがとうございました。