修理・アフターサービス

日付の早送り禁止時間帯がなぜ存在するか?機構の仕組み|急がば回れ

みなさんこんにちは!アフターサービスの小島です

前回歯先を磨いたものの、作業した跡がまったく分からない状態だったので、、、、。今回はもっとわかりやすい角穴車をイジってみました。
先日ハンズで工具コーナーを物色していたら、こんなものを発見しました。リューター先端の研磨用ビットで、硬さよって色が違います。これを見て、ひょっとしてサンバースト仕上げができるんじゃなかろうか、と。

ちなみに、サンバースト仕上げを某時計用語辞典で調べるとこう書かれています。


時計の部品において、主に円形のものに施される渦巻き模様の装飾のこと。
サンバーストとは、「強烈な日光、日輪型の装飾品、雲間から太陽光が放射状に漏れている様子」という意味。


さて、出来るかどうか。

ついでに切削用のビットも購入して、ステンレス・スチールの板に試してみると、思った以上にキレイに模様がつきました。

練習もそこそこにして、歯車を磨くべく台座作製に取り掛かります。この仕上げをするには、歯車を回転させながら全体を仕上げていくので、台座は手で回しやすい物がよさそうです。

そこで。ちゃちゃっと適当に作ってみました。

ボトルの中蓋に接着剤で歯車を強引に固定。
 
手元にあった円柱のリュータービットにはめ込んだら、、、、、いざ。サンバースト仕上げ。
     
接着だけだと(やっぱり)強度が足りずに歯車が飛んでいってしまったので、台座にピンを立ててあります。

結果は、、、。

  

薄すぎ・削れ過ぎです。なにを使って磨くかが、この作業の仕上がり具合を決めるようです。

日付の早送り禁止時間帯を守らないと故障します

さて。遊びはここまでにしまして、”日付の早送り禁止時間帯”について話したいと思います。

この禁止時間帯は20時から4時の間のことで、この時間帯に日付早送りをすると、日付送りの歯車やバネに負担がかかってしまい、普段の日付が変わる時間がズレたり、そもそも日付が変わらなくなったりしてしまいますので注意が必要です。

時間調整や日付送り機構の仕組み

どうして、こんなことが起きるのか。
時間調整や日付送り機構は文字盤の裏側に、こんな風に組み込まれています。
針・文字盤を外して、、、、、、月・曜日車とカバーを外すと、バネと板で勝手に回転することを防いでいることがわかります。
 

「日送り車」と「日付車」

さらに受けを外します。

ここで。日付送り車は爪で曜日を、ピンで日付を回しています。
日送り車が、日付車を回そうとしているときに日付を早送りしようとすると、、、。日付車が、日送り車のピンを無理に回すことになってしまい、結果部品の破損などが起きます。

一応、逃げは作ってありますが、それでも何かのひょうしに起きるときは起きてしまいます。

これが原因の故障は有償修理対応になることも

多少面倒なときはありますが、少しだけ、気を払ってやれば余計な費用を払って修理を
しなくてもすみますので、ぜひ20時から4時の早送りは避けてください。

ちなみに、これが原因ですとメーカーでさえ、保証期間内であっても有償修理対応になる事があります。

午前・午後を間違えないように、一旦針回しで日付を変更まで回し、午前と午後を確認してから禁止時間帯以外のところで早送りをすることをお勧めします。[contact-form 1 “フッター”]

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私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

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