シャネル J12 アンタイトル 38MM BKセラミック オーバーホール 切替車交換
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私が担当しました
宝石広場 時計修理センター 渋谷(アフターサービス部)スタッフ
接客と見積、修理作業を担当。宝石広場在籍15年以上。
居酒屋一人呑み歴も15年以上。
店頭での販売、修理作業、その他の経験を活かし分かりやすいご案内を心がけています。
何かございましたらお気軽にお問合せください。

担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介するのは、シャネル J12 アンタイトル 38MM BKセラミックの修理事例です。(画像1)
こちらは当店にてお買取りさせていただいた後、販売前のメンテナンスとして「宝石広場 時計修理センター渋谷」にて整備を行いました。
シャネルを代表するモデルとして、これまでにも何度かご紹介しているJ12ですが、今回は不調の症状とその原因が比較的分かりやすい事例でしたのでご紹介いたします。
今回お預かりしたのは、2018年に限定販売されたモデルです。分解前の動作確認ではリューズのグリス切れや手巻き操作が重く、自動巻き機構の音も通常とは違う感触があります。販売開始から8年が経過していることから定期メンテナンスがされていなければ機械内部は油切れしている状態と予想されます。
裏蓋を開けて、違和感のあった自動巻きブロックを取り外して確認したところ、ムーブメントの地板部分に錆粉が積もっている状態でした。(画像2)
錆粉があった場所は組付けられる自動巻き機構側では輪列(歯車)が収まる部分だったため、その箇所を確認したところ歯車の穴石を中心に大量の錆粉が付着していました。(画像3)
結論として錆粉が発生していたのは「切替車」と呼ばれる部品の摩耗が原因でした。
「切替車」とは、ローターが左右どちらの方向に回転しても、その回転を利用して動力ゼンマイを巻き上げることができるようにするための歯車です。その軸となるホゾの部分が摩耗することで、今回のような摩耗粉が発生していました。
通常、ホゾ(軸)とルビーの穴石が接する部分には潤滑油が保持されており、摩擦や摩耗を抑えるようになっています。しかし、長期間の使用による油切れや油の流れ出し、さらに他の摩耗粉が混ざるなどの状態になると、ホゾが徐々に摩耗し、金属粉が発生することがあります。
今回発生していた摩耗粉も、その後酸化することで錆粉となり、自動巻きブロック内部に溜まっていたものと考えられます。
切替車は摩耗の程度によっては再利用できる場合もありますが、ホゾの状態は形状が変わってしまうほど大きく摩耗しており、洗浄しただけでは正常に機能する見込みはなく交換が必要な状態でした。(画像4)
このような状態までホゾが摩耗するとルビーの穴石の間に大きなガタつきが生じることで歯車が傾き、歯車同士の位置関係が不適切で歯車がスムーズに回転できなくなることで抵抗が増え、手巻きの重さや自動巻き機構の巻上効率の低下につながります。
今回の修理ではその他の部品に交換が必要な箇所はありませんでしたので、オーバーホールに加えて切替車を交換しました。
その後、外装仕上げも行い、整備完了となりました。
お客様からお預かりした場合の修理料金は、基本料金35,000円に切替車交換7,000円を加え、合計42,000円となります。
外装仕上げもセット料金として+10,000円で承ることが可能です。ただし、今回のモデルはセラミック部分が多く、外装仕上げで磨くことができるのは金属部分のみとなるため、着用時に見える部分については仕上げの効果が比較的少ないモデルとなります。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。