フランク ミュラー トノウカーベックスカサブランカ オーバーホール、外装仕上、裏蓋ねじ抜き・ねじ新規作成

腕時計修理内容

ブランド名 フランク ミュラー
モデル名 トノウカーベックスカサブランカ
型番 ref.5850CASA
修理内容 オーバーホール、外装仕上、裏蓋ねじ抜き・ねじ新規作成
修理料金 ¥68,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答を頂きましてから作業5週間
症状タグ

フランク ミュラー トノウカーベックスカサブランカ オーバーホール、外装仕上、裏蓋ねじ抜き・ねじ新規作成

  • フランク ミュラー トノウカーベックスカサブランカ 修理後のお時計

    修理後のお時計

  • フランク ミュラー トノウカーベックスカサブランカ お預かりしたときの時計の裏側です。赤丸部分に汚れが溜まっていました。

    お預かりしたときの時計の裏側です。赤丸部分に汚れが溜まっていました。

  • フランク ミュラー トノウカーベックスカサブランカ 錆びた裏蓋ねじ

    錆びた裏蓋ねじ

  • フランク ミュラー トノウカーベックスカサブランカ 裏蓋を開けたところ。赤線の位置にパッキンがあります。

    裏蓋を開けたところ。赤線の位置にパッキンがあります。

担当者コメントと修理のポイント

他店でご購入されてから数年たち、はじめてのメンテナンスのため渋谷店にご依頼をいただきました。

お時計はフランク ミュラーのカサブランカです(画像1)。
フランク ミュラーの修理をご案内する際、真っ先に見る箇所の1つが裏蓋です(画像2)。
赤丸で囲った部分が茶色くなっていることがわかりますでしょうか。
この茶色い部分はケースや裏蓋にこびりついた汚れと錆です。

お預かりしたカサブランカの外装はステンレスです。ステンレスは錆びないと思っている方や錆びない金属と見聞きすることも多い素材ですが、あくまでイメージで実際は錆びない素材ではありません。
ステンレスは空気中のクロムと結合して被膜を張ることで錆びつきにくく、傷ついて被膜が壊れてもすぐにクロムと再結合するため錆びにくい素材です。
ただ、空気を遮断されてしまうとクロムと結合できなくなり、被膜が傷ついても新たに被膜を張ることができず錆びやすい状態になってしまいますので、ご使用後にはやわらかい布で拭き上げ、楊枝や歯ブラシなどで汚れをかき出すなど日常的なお手入れをかかさないようにご注意下さい。

錆がでているパーツは必ずしも交換が必要というわけではありませんが、見積りでは内部を確認するため裏蓋ネジを取り外す必要があります。外観から錆の進行度は判断がつきませんので軽く回してみただけで脆く折れてしまうことも珍しくはありません。カサブランカに限らず裏蓋ネジが錆びている場合は「見積りをキャンセルした場合でも内部の確認作業のためネジ抜きとネジ新規作成が発生した際は一か所につき¥15,000を頂きます」ことをご了解いただきお見積りを進めさせていただいております(折れなかった場合は通常と同じく見積もりまで無料です)。

画像3は無事に抜けたネジですが、それでもだいぶ錆びています。
お預かりしたカサブランカの裏蓋ネジは4本中3本はなんとか抜けましたが、1本は折れてしまいその他3本も画像のネジと同じくらい錆びていました。
この錆はネジを全体的に覆ってはいましたが、軽く落とすと綺麗なステンレスの表面を見せてくれました。

画像4は裏蓋を取り外したところです。
パッキンは裏蓋に取り付けられているので写っていませんが、できるだけわかりやすいようにパッキンが通るだいたいの位置に赤線を引いてみました。 赤線の下側がパッキンの内側で上側がパッキンの外側です。パッキンが汚れの侵入を阻んでいることがわかりますでしょうか。
また、パッキンの外側に錆がでていますが、ケース素材が侵食されるほどではなく、隙間に入り込んだ汚れで薄い錆が浮いてきた程度だったようで簡単に削ぎ落とすことで綺麗になりました。

パッキンがしっかり機能し内部に錆が侵入していなかったため搭載されたCal.2800(ETA Cal.2892ベースです)は年数なりの油が劣化はあっても極端な部品の摩耗はありませんでした。1本折れてしまった裏蓋ネジ抜きとネジ新規作成の他は元々ご依頼のオーバーホール、外装仕上にてお渡しができました。


M様 ご依頼ありがとうございました。

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。