スピードマスターオートマチック オーバーホール、外装仕上げ

腕時計修理内容

ブランド名 オメガ
モデル名 スピードマスターオートマチック
型番 ref.3510-50
修理内容 オーバーホール、外装仕上げ
修理料金 ¥48,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業6週間
症状タグ

オメガ スピードマスターオートマチック オーバーホール、外装仕上げ

  • オメガ スピードマスターオートマチック 時計の正面から

    時計の正面から

  • オメガ スピードマスターオートマチック 搭載しているムーブメントはCal.1141です。

    搭載しているムーブメントはCal.1141です。

  • オメガ スピードマスターオートマチック 左側がベースムーブメント側、右側が文字盤側です。

    左側がベースムーブメント側、右側が文字盤側です。

  • オメガ スピードマスターオートマチック 4番車軸にはカナが圧入され、ツツ車の形も変更されています。

    4番車軸にはカナが圧入され、ツツ車の形も変更されています。

担当者コメントと修理のポイント

今回の修理事例はオメガのスピードマスターオートマチックです(画像1)。
こちらは渋谷店にてお買取をさせていただき、販売前のメンテナンスのためにアフターサービスに回ってきた時計です。
スピードマスターといえば手巻きのムーンウォッチを想像される方もいらっしゃると思いますが、こちらはモデル名の通りオートマチック=自動巻きムーブメントを搭載した別モデルですね。

ギャランティーに記載された日付けから長期間経過して針の塗料は崩れていますし、長らくメンテナンスもされていなかったのかブレスレットは汚れて動きが悪く固着している箇所もありました。またリューズ操作をしてみるとすべての操作時にギチギチとした感触と強い抵抗がありました。原因の見当はつきましたが操作を続けることで負荷がかかって破損してしまうかもしれないと思い、念のため中断して裏蓋を開けました。

搭載しているムーブメントはCal.2892系ムーブメントをベースにクロノグラフ機能をモジュールで追加したCal.1141です(画像2)。
Cal.2892は薄型に作られているためモジュールを追加しても全体の厚みを抑えられることから、クロノグラフに限らず機能を追加する際のベースムーブメントとして長年多くのメーカーに採用されています。

モジュールのベースムーブメント側(左)と文字盤側(右)です(画像3)。
表裏とも大きなプレートで挟むようにして組み込まれていますので、画像の状態からでは中央に見える歯車と穴石やネジ穴、端に飛び出したクロノグラフのボタンくらいしか見えませんね。
ムーブメントの細かな機能や構造について解説する記事はたまに見ますが、どのように取付されているかはあまり見かけないように思いますので少しだけ説明します。モジュールは大きな板で引っ掛かりもなく、そのままでは正確な位置に固定することができません。
そこでベースムーブメントに組み付けられた2ヶ所のピンがモジュールに刺さる事で正確な位置決めを可能にし、3個のネジでムーブメントとモジュールを固定しています。またネジとセットでパイプも組み付けられることでより確実な固定ができるようになっています。

ベースになっているCal.2892の作りにほぼ変更はありませんが、モジュールとの接続のため通常なら針が取り付けられる歯車や軸の形が変更されています(画像4)。
秒針の取り付けられる4番車の軸は短くなり小さなカナが圧入され、時針・分針が取り付けられる筒車・筒カナは形が変わっています。

今回のモデルに限らず、モジュール式のクロノグラフについてお客様から時間が合わない・遅れる・動き出さないなどご相談を頂くことがあります。これはベースムーブメントの動作をモジュールの歯車を経由して針が動く仕組みになっているためです。針をセットしてから動き出すまでに多くの歯車を経由することとなり、通常では気にならない程度の歯車のアソビが経由する歯車の増えた分だけ影響が大きくなり動き出しが遅れてしまいます。この症状は個体や針を正転するか逆転するかによっても違いますが、動き出しまでにおおよそ1~2分前後かかりますのでご注意ください。
もし正確に針合わせをしたいときはご使用のお時計が針をセットしてから動きだすまでの時間を把握し、その分だけ進めてセットして下さい。たとえば動き出しまで1分かかる場合はセットしたい時刻より1分針を進めた位置でセットすると正確に表示されます。

今回の時計は長期間メンテナンスされていなかったことで油は乾ききり手巻き操作が非常に重くなっていました。
また、リューズのパッキンはグリス切れしていたためケーシングされた状態でリューズ操作時にギチギチとした感触がありました。
全体的に状態は悪かったものの使用頻度は低かったようで歯車の摩耗は無く、通常の洗浄・注油・組み立てに加え簡単な調整にて精度を出すことができオーバーホールを終えることがました。

こちらのスピードマスターオートマチックをお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金で37,000円~(パーツ代金別途)。
外装仕上げも追加の場合はオーバーホールとのセット料金で+11,000円となっております。

操作時に違和感があったとき、すべての場合でどこかが決定的に壊れているわけではありません。
そのまま使えば壊れてしまうかもしれませんが、気が付いた時点でメンテナンスをされれば多量のパーツ交換を避けることができる場合もあります。お見積りは無料で行っておりますのでお心当たりのある方はお気軽にお声がけください。


  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。

時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。

1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。

是非お気軽にお問合せください。