ルミノールマリーナ オーバーホール・切替車交換

腕時計修理内容

ブランド名 パネライ
モデル名 ルミノールマリーナ
型番 ref.PAM00050
修理内容 オーバーホール・切替車交換
修理料金 ¥35,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業5週間
症状タグ

パネライ ルミノールマリーナ オーバーホール・切替車交換

  • パネライ ルミノールマリーナ 修理後のお時計

    修理後のお時計

  • パネライ ルミノールマリーナ 日付け機構の各パーツ名です。

    日付け機構の各パーツ名です。

  • パネライ ルミノールマリーナ 日付けが進められるまでの動き方

    日付けが進められるまでの動き方

  • パネライ ルミノールマリーナ 送り爪の動きについて

    送り爪の動きについて

担当者コメントと修理のポイント

他店でご購入になった時計の日付けがズレて表示してしまうということで宅配キットにて渋谷店に修理のご依頼をいただきました。

お時計はパネライのルミノールマリーナです(画像1)。
日付け表示がズレてしまう原因に多い日付け早送り禁止時間帯の操作について伺ってみましたが、誤操作はしていないということでした。
針回しや日付け早送り操作をしてみたところ日付けの切り替わり前に引っ掛かりがありましたので、思い当たることがあってご使用年数と今までのメンテナンス状況を伺ってみました。
おおよそご購入から20年ほど何もメンテナンスはせず、時間も合わずに遅れるようになったので直近の8年間はご使用にならずに保管されていたそうです。
かなり長期間メンテナンスされずにいたことを知って原因がある程度予想出来ました。

ご依頼の日付けズレについて説明する前に簡単にムーブメントについてご説明します。
お預かりしたルミノールマリーナはETA Cal.7750をベースにクロノグラフ機構を排除して瞬間日送り機構を追加したCal.A05.511を搭載しています。

日付けに関連した不具合のご申告ですので、日付け機構についてご説明していきます。
ムーブメントをケースから取り出したあと針と文字盤、カバーを外して機構が見えるようにした状態が画像2です。
規制バネは片方の先端がカレンダーディスクの位置がズレないように下側へ押さえつつ、もう片方の先端が日送り爪を画像の上側へ押しています。

次に画像3をご覧ください。
こちらの画像では日付けを切り替える仕組みを順番に書き入れてみました。
①時間が進むと中央の筒車が右回転します
②筒車と噛み合っている日送り車が左回転します。
③日送り車にはカムが取り付けられているので、一緒に左回転します。
④カムが左回転すると、常に規制バネによってカムに押し付けられている日送り爪はカムに押されて下側へ移動します。
⑤カムが回転していくと、日送り爪の先端はカレンダーディスクの歯の山を乗り越えて歯の谷に移動します。
カムがさらに回転して日送り爪がカムの頂点から軸の中心に落下した勢いで爪の先端がカレンダーディスクを押して日付けを瞬間的に変更します。

日送り爪の先端は楕円の軌道で動くことになりますが、わかりづらいのでもう1枚画像を用意しました(画像4)。
楕円軌道は2つの要素からできていますので、まずは上下移動するところからご説明します。
日送り爪は支点を中心にして動き、画像の下側に配置された規制バネによって常に画像の上側に押されています。
先にご説明したように日送り爪はカムと噛み合っていますので、カムの回転に合わせて画像上下に動きます。

次に左右移動についてご説明します。
日送り爪の先端は弓なりになっていまして、この部分にはバネ性があります。
画像ではちょうど先端がカレンダーディスクに当たり、矢印方向に力が働いていまして、これが左右移動になっています。

カレンダー送り爪の先端だけに絞って日付けが変わるまでの動きをご説明します。
日付けが変わった直後、爪の先端はカレンダーディスクの歯と歯の谷の位置にあります(画像では右上の数字2と3の間です)。
爪の先端はカムの回転と共に下に移動していき、カレンダーディスクの歯に当たります。
ここで爪の先端の片側は角がなく滑らかになっていて、カレンダーディスクに当たっても動かすことなく乗り越えるようにして左側へ移動します。
さらにカムが回転していくとカレンダーディスクの歯を完全に乗り越えて歯と歯の間に移動します(画像では3と4の間です)。
最後にカムの頂点を超えて落下し、一気に上方向へ移動することで日付けを1日進めます。

元々ご依頼をいただいていた”日付けがズレてしまう”原因は規制バネが弱り正規の位置に抑えておけなかったためでした。また、お預かりの際に気が付いた”日付けの切り替わり前に引っ掛かり”があった原因は日送り爪の油が切れたままご使用されたために摩耗し、爪の先端とカレンダーディスクにバリが立ったことで爪先端がカレンダーディスクの歯の山を乗り越える際の抵抗が大きくなったためでした。

それぞれ規制バネの調整と日送り爪、カレンダーディスクのバリ取りにて部品の再利用ができました。
その他は自動巻き機構の切替車に摩耗があり交換が必要だったので、オーバーホール・切替車交換にてお渡しをいたしました。


E様 ご依頼ありがとうございました。