パテック・フィリップ ポケットウォッチ オーバーホール

腕時計修理内容

ブランド名 パテック・フィリップ
モデル名 ポケットウォッチ
型番 Ref.600/1
修理内容 オーバーホール
修理料金 \50,000~(税込) ※事例公開時の価格となります。最低価格です(個別見積もり)
修理時間 お見積り2週間、ご返答いただきましてから作業8週間~
症状タグ

パテック・フィリップ ポケットウォッチ オーバーホール

  • パテック・フィリップ ポケットウォッチ 一見特徴のないようなデザインですがカラトラバそのものです。

    一見特徴のないようなデザインですがカラトラバそのものです。

  • パテック・フィリップ ポケットウォッチ シリアルは画像編集しております。

    シリアルは画像編集しております。

  • パテック・フィリップ ポケットウォッチ パーツひとつひとつがしっかりと仕上げも綺麗です。

    パーツひとつひとつがしっかりと仕上げも綺麗です。

  • パテック・フィリップ ポケットウォッチ 画像編集で数字は消していますがしっかりと記入されています。外周は淵が立っています。

    画像編集で数字は消していますがしっかりと記入されています。外周は淵が立っています。

担当者コメントと修理のポイント

今回の修理事例はパテック・フィリップのポケットウォッチ(懐中時計)です。(画像1)
デザインを見て既視感がある方も多いのではないでしょうか。
まさにパテック・フィリップを代表する腕時計「Ref.96」クンロクモデルと同じ「カラトラバ」文字盤のポケットウォッチですね。

時計好きならいつかは手に入れたい雲上ブランドのパテック・フィリップ。
その中でも「腕時計史上、もっとも完成されたデザイン」と呼ばれるほどシンプルかつ普遍的なデザインで
永遠の名機、いろいろな時計を渡り歩き最後のあがり時計とも呼ばれることの多い「カラトラバ」。
シンプルなデザインのモデル総称としても定着してはいますが所謂「Ref.96」クンロクモデルとも呼ばれるカラトラバと言われて思い浮かぶのはドルフィンハンド、12時のみダブルのペンシル型バーインデックス、6時位置のスモールセコンドが定番のこのデザインですね。

渋谷店にてお買取りさせていただきました。
宝石広場では腕時計だけではなくポケットウォッチも喜んでお買取りさせていただいております。

今回のRef.600/1 ポケットウォッチはムーブメントのシリアルから判定しますと1950年に製造されたようです。
文字盤のスモセコ上に「MAPPIN&WEBB RIO DE JANEIRO」とありますので高級ジュエラー マッピンのリオデジャネイロ店からパテックに発注され販売した時計です。
今風に言えばマッピン別注モデルと呼ばれるものですが時計そのものが現代より遥かに高級品だったころは、スイスの名のあるブランド時計であっても独自でブティックを構え販売するルートはあまりなく上流階級の方々が訪れる高級ジュエラーが知名度と販売力を強く持っており、そのジュエラーからの要望に応える形でブランド側が時計を製造してジュエラーの銘を打った商品として販売されることも多かったのです。ティファニーのように当時は自社で時計のラインナップを持っていなかったブランドが出すダブルネームとは少し違った性質のモデルです。

ムーブメントを文字盤側まで隅々まで確認しましたがキャリバーNoは刻印されていませんでした。(画像2)(画像3)
古いキャリバーにはこのようなことも珍しくありませんので大きさとブリッジの仕様などからCal.17と判断できました。
Cal.17はグレードや年代で細部に違いがありますのでご注意ください。
腕時計と比べるとムーブメント直径は大きく、地板も受けも厚くしっかりしています。
大きさに伴い歯車もテンプも大きいので見ごたえ十分で高級ムーブメント搭載のポケットウォッチこそシースルーバックだったいいのに...と思っている方も多いのではないでしょうか。
ジュネーブ仕上げを施された複数のブリッジタイプの受け、チラネジ付き天輪、二本ネジ留めヒゲ持ち、ブレゲヒゲ、スワンネック付き緩急針と高級ムーブメントではお約束の人気も高い仕様です。
1950年ごろですと腕時計もすでに登場していますのでポケットウォッチのみだった時代と比べるとシャトン石留や勾玉型緩急針などはなく、本当に腕時計ムーブメントがそのまま大きくなったようなシンプルな構成です。

今回はメンテナンス前と途中に撮影しましたのでゴミの混入を気にせずじっくり見られますので職業的な役得でした。
ちなみに文字盤側は基本的なパーツ構成ですがレバーやバネひとつひとつが厚くしっかりとしているだけでなく、面取りもしっかりされて見た目の美しさだけでなく強度を上げる手間暇がかけられています。
地板も全体にペラルージュ仕上げされ手抜かりのない高級ムーブメントらしい作りで素晴らしいです。(画像3)

また文字盤そのものにも特徴があり、一般的なムーブメントへの固定方法である足がありません。
文字盤の淵が立っていてムーブメントに食いついて取りつくキャップ式と呼ばれるタイプです。
インデックスは足の部分をかしめた後に仕上げた痕もあり書き換えされていないオリジナルのままでした。
裏側には画像編集して隠してありますがムーブメントシリアルと同じ数字が記入されていて、この組み合わせで販売されていた時計であることを物語っています。

製造から70年経過していますがパーツを見る限りきちんとした整備をされてきていたようで、年数のわりに摩耗は少なく軸の再研磨と部分的な調整でオーバーホールは完了しました。
ヴィンテージ商品ですので外観は洗浄のみで仕上げは行わず販売となりましたが、残念ながらネットページと修理事例の掲載前に売り切れてしまいました。

腕時計のカラトラバと他のポケットウォッチは在庫がございますのでよろしければページ下部のリンクにてご確認ください。

今回のポケットウォッチをお客様からお預かりした場合、オーバーホールは\50,000~が最低価格です。
何十年と経過した時計は整備されてきた履歴で状態が大きく変わり、調整が必要ですので全て個別見積もりとなります。
雰囲気や経年での強度の兼ね合いもあり外装仕上げは行っておりませんので基本的に洗浄のみをお勧めしております。

こちらは正確には年数的に100年未満ですのでアンティークではありませんがこれから30年後には正真正銘のアンティーク時計となる時計です。パーツ交換ではなく整備をして使い続けることを前提としてしっかりと作られたポケットウォッチこそ早め早めの定期整備を行い、維持して次の世代に引き継いでいただきたい時計です。
古いポケットウォッチをお持ちの方で久しくメンテナンスをしていないとご心配される前にぜひとも当店にご依頼ください。

パテックフィリップ カラトラバ|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

中古 585054001 707-2 ポケットウォッチ|パテック・フィリップ| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)

  • 修理担当した時計
私が担当しました

宝石広場修理部部長。時計修理技師。時計修理業界歴約30年。

時計の状態確認・点検・判定・故障個所の修理などの技術的な対応から部署統括まで幅広く担当。

時計専門紙POWER Watchの『”腕時計”のかかりつけ医』コーナーにも度々登場。

お客様のお時計のお悩み誠心誠意対応させていただきます。

時計に関するお困りごとは宝石広場修理部までご相談くださいませ。