ロレックス オイスターパーペチュアル サブマリーナデイト オーバーホール・外装仕上げ
腕時計修理内容
ブランド名 | ロレックス |
モデル名 | オイスターパーペチュアル サブマリーナデイト |
型番 | ref.16618 |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ |
修理料金 | ¥45,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業6週間 |
症状タグ | 止まる油切れ |
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今回ご紹介する修理事例はロレックス オイスターパーペチュアル サブマリーナデイトのオーバーホールと外装仕上げです。
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こちらのサブマリーナデイトは特に珍しいピン・パイプタイプです。
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ピンは一般的なものと比べて太く作られていますが、連結方法は他のピン・パイプ式と変わったところはありません。
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状態確認を進めて裏蓋を外しました。搭載しているムーブメントはCal.3135です。
ロレックス サブマリーナー (中古)|腕時計の販売・通販「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
ロレックス サブマリーナー(新品)| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はロレックス オイスターパーペチュアル サブマリーナデイト ref.16618のオーバーホールと外装仕上げです(画像1)。
ダイバーズウォッチの代名詞的な存在”キングオブダイバーズ”の「サブマリーナー」は、長い年月の中で潜水性能からデザイン面までクオリティアップが常に図られ、ロレックスの他モデルに比べて数多くの型番が存在します。どのモデルもダイバーズウォッチとしてだけでなく、オン/オフさまざまなシーンにマッチするスポーツモデルとして、長年にわたり世界中で愛され続けています。
こちらは新橋店でお買取りさせて頂き、販売前のメンテナンスの依頼を修理センター渋谷が受けた一本です。付属品はありませんが、ロレックスは公式発表ではないもののシリアルで2010年のG番まで製造念を推測できます。こちらのページでご紹介しておりますので、よろしければご覧ください。今回のサブマリーナデイトはシリアルナンバーの先頭がE番なので1990年~1991年に製造された個体です。
ところでヴィンテージのロレックスのブレスレットは板を成型してリベットで止めるタイプ、金属板を巻いて整形しているタイプ、現行のオイスターブレスレットと同じネジタイプといった種類があり、その連結方法は様々です。そうした年代による変化を楽しむのもヴィテージならではです。こちらのサブマリーナデイトはオイスターブレスレットの形状ながらロレックスとしては非常に珍しいピン・パイプタイプです(画像2)。メーカーへの問い合わせや手持ちの資料を調べても詳細はわかりませんでしたが、今まで私が目にしたものから推測すると80年代~90年代初頭のごく一部で採用されていた仕様です。
ピン・パイプ式を採用している一般的なブレスレットと比べるとピンもパイプも太く作られていますが(画像3)それ以外に変わったところはなく、中駒にパイプを入れた後で駒を組合せ、横からピンをパイプに叩き入れて連結します。中駒はパイプがちょうど収まり外駒の穴はパイプより少し小さくなっていますので、連結後はピンとパイプが駒から抜けることはありません。
長期間の使用に伴いパイプが摩耗し固定が緩くなっていく留め方ですが、今回はピンとパイプに磨耗が少なく全て再利用できました。
続けて他の状態を見ると外装は年式を考慮すれば傷が少なく、リューズ操作も違和感がありませんでした。たとえ保管状態が良かったとしても製造から30年以上という長期間経過した時計が操作に違和感がないとは考え難いため、メンテナンスはされています。いつ・どの程度の質のメンテナンスが行われたかに注意を払うことにしました。
さらに状態確認を進めて裏蓋を外しました。搭載しているムーブメントはCal.3135です(画像4)。
すでに次世代機のCal.3235へ世代交代が進んでいますが、1988年に登場して以来長く採用されていたムーブメントです。
ムーブメントは多数の傷がついていました。特に目立つのは緩んだネジがローターに押し付けられた際についた傷です(画像4の矢印)。その他にムーブメントの外周部分はローター底面が擦れて摩耗し地の真鍮が見えていました。ネジは締められていてローターにガタはありませんので、少なくとも1回は修理がされています。
分解しつつパーツを確認していくと油が切れているもののパーツの摩耗や調整の狂いはなく、前回の作業者が必要な修理を行ったようです。油は切れてますのでオーバーホールを行うことに決め、洗浄・組立て・注油にて調子よく動作しました。外装仕上げを終えたら店頭に並ぶ予定です。
こちらのロレックス オイスターパーペチュアル サブマリーナデイトをお客様からお預かりしていた場合はオーバーホール基本料金¥28,000、オーバーホールと一緒に外装仕上げをご希望の場合はセット料金で外装仕上げ¥17,000です。配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
ご使用にならなくとも油は経年により劣化します。ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、耐久性が高いとされるロレックスでも油が劣化した状態で動かし続けると、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたら交換パーツが多く必要になったり、当店で入手困難なパーツが判明して高額なメーカー修理しか方法がない場合も珍しくありません。本当に最悪の場合はメーカーでもパーツ入手ができず時計の寿命(修理不可)になることもあります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。