ロレックス オイスター パーペチュアルサブマリーナーデイト オーバーホール・外装仕上げ
腕時計修理内容
ブランド名 | ロレックス |
モデル名 | オイスター パーペチュアルサブマリーナーデイト |
型番 | ref.16613 |
修理内容 | オーバーホール・外装仕上げ |
修理料金 | ¥38,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り2週間、ご返答を頂きましてから作業6週間 |
症状タグ | 定期メンテナンス油切れ |
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今回ご紹介する修理事例はロレックス オイスター パーペチュアルサブマリーナーデイトです。
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搭載しているムーブメントはCal.3135です。
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自動巻き機構の裏側です。赤矢印で指した歯車に付着した油が赤茶色く変色しています。
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赤矢印で指した画像3で指した歯車と箇所が同じ歯車の穴石です。
中古 609632001 16613 サブマリーナーデイト|ロレックス| (housekihiroba.jp)
ロレックス サブマリーナー (中古)| 「宝石広場」 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はロレックス オイスター パーペチュアルサブマリーナーデイトです(画像1)。
ほど良く夜光にヤケがはいった人気のバイオレットダイアルです。ギャランティーには1994年10月にチリで販売された記載があります。元々はガラスに王冠透かしのないモデルですが、メーカーでメンテナンスを行った際に透かし入りに交換されています。
こちらと記事下部のリンクにて販売しておりますので、もし宜しければご覧ください。
このサブマリーナーデイトは渋谷本店でお買取りさせて頂き、販売前のメンテナンスをアフターサービス部へ依頼された1本です。丁寧にご使用されていたのか外装の程度は良好でしたが、動作は計測精度にバラつきが大きくテンプの振り角も低い状態でした。部分修理にて対応できる可能性もありましたが、前回に当店で行ったメンテナンスからの経過年数と現在の状態を考慮し、ご購入者様が安心してご使用いただけるようオーバーホールを行うことにしました。
搭載しているムーブメントはCal.3135です(画像2)。内部は経過年数なりに油が劣化しているものの一見して磨耗粉などの目立つ汚れは見あたらなかったため、特定のどこかが悪いのではなく全体的に油が劣化したことにより動きが悪いのだと推測を立てました。
自動巻き機構を取り外し裏側を見てみました(画像3)。油は全体的に劣化していますが、特に赤丸で囲った箇所が赤茶色く変色していることがわかりますでしょうか。この歯車はローターからの力を香箱のゼンマイを巻き上げる力に伝える重要な役割を担っていて、歯車本体は自動巻き機構に取りつけられた2つの穴石で固定されています。歯車の下ホゾの部分がムーブメント本体に取り付けられた穴石に入って角穴車と噛み合いローターからの力を伝えます。そのムーブメント本体側の穴石を確認すると、こちらも劣化した油により赤茶色の汚れが付着していました(画像4)。汚れがひどく見た目だけでは磨耗粉か油汚れか判断が付かなかったため、軸に付着している油を落としてみました。幸い摩耗はなく交換は不要の状態でした。
このサブマリーナ―デイトは油が切れて完全に潤滑性がなくなる前にオーバーホールをすることになりましたが、油が劣化した状態で使用を続けていた場合は近い将来に摩耗が始まり交換パーツが必要になっていたことでしょう。他社の自社ムーブメントと比べるとこれまでは安定して入手できていたCal.31系のパーツも年々入手が難しくなりつつあり、入手できてもパーツ自体の価格が大幅に上がってきています。定期的なメンテナンスを行い内部の状態を良好に保つことが、結果的にパーツ交換の可能性を下げてオーバーホール料金を節約することに繋がります。
全てのパーツを分解のうえ確認しましたが交換が必要なパーツはなく、洗浄・組立て・注油にて良好な精度を確認できました。最後に点検のため実測にて精度の微調整と持続時間の確認を行い、外装仕上げの後で店頭へ並びました。
今回のサブマリーナーデイトをお客様からお預かりした場合はオーバーホールが¥27,000、オーバーホールとセットで外装仕上をした場合+¥11,000にてご依頼を承っております。
配送にて対応をご希望の場合はこちらから宅配キットを承っておりますのでお気軽にご依頼ください。
耐久性が高いとされるロレックスでも経年による劣化や摩耗はあります。ゼンマイを巻けば使えるからとついつい長期間メンテナンスをせずに使い続ける方も多くいらっしゃいますが、いよいよ動かなくなった時にメンテナンスを行おうとしたらオーバーホールだけでは完調にならず交換パーツが多く必要になったり、当店で入手困難なパーツが判明して高額なメーカー修理しか方法がない場合も珍しくありません。本当に最悪の場合はメーカーでもパーツ入手ができず時計の寿命(修理不可)になることもあります。
長期間メンテナンスをしていない心当たりのある方は致命傷になる前にぜひ当店にご相談ください。