チューダー ヘリテージレンジャー オーバーホール、外装仕上
腕時計修理内容
ブランド名 | チューダー |
モデル名 | ヘリテージレンジャー |
型番 | ref.79910 |
修理内容 | オーバーホール、外装仕上 |
修理料金 | ¥37,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業6週間 |
症状タグ | 定期メンテナンス油切れ |
-
チューダー ヘリテージ レンジャー ref.79910です。
-
ムーブメントはCal.2824-2を搭載しています。
-
矢印で示しているパーツが角穴ネジです。
チューダー ヘリテージ (中古) を買うなら宝石広場 (housekihiroba.jp)
中古 593301001 79910 ヘリテージ レンジャー|チューダー| を買うなら宝石広場 (housekihiroba.jp)
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
今回ご紹介する修理事例はチューダー ヘリテージ レンジャー ref.79910です(画像1)。
チューダーにおけるロレックスのエクスプローラーの位置づけで販売されていた”レンジャー”の復刻モデルです。
サイズアップなど現代的なアレンジをされていますが、特徴的な形をした時針やバラの描かれたダイヤルなどオリジナルモデルの雰囲気を再現しています。
ヴィンテージウォッチの雰囲気が好きだけれど普段使いするには不安があるという方にも安心してお使いいただける1本です。
こちらのヘリテージ レンジャーは渋谷本店にてお買取させていただき、販売前のメンテナンスのためにアフターサービス部へ回ってきました。
ギャランティーに記載された販売日は2016年と5年以上経過し外装にはご使用年数なりに傷や打痕がついていましたが、使用年数や外装の傷からイメージするほどにはリューズを操作した針回し・手巻きなどの動作確認に違和感はなく、計測値も悪くはありませんでした。
分解前の簡易的なチェックを終えてから裏蓋を開けて内部を見てみました。
搭載しているムーブメントはETA Cal.2824-2です(画像2)。
一見すると何も問題はなさそうでしたが、自動巻き機構を外して注視してみたところ角穴ネジにクラックが入っていました(画像3)。
角穴ネジは角穴車を香箱真と固定するためのネジですので、ゼンマイを巻き上げる力を受け止める角穴車を留めていることで常時ネジ自体にも強い力がかかっています。また構造的にネジ頭の厚さに制限があるためマイナス溝部分の深さが切込みのような形状になります。そのためネジのマイナス溝の底辺にクラックが入りやすく、ネジを外したり締めたりするだけでネジ頭が折れてしまうことがよくあります。今回の角穴ネジも緩めるときに抵抗なく折れてしまいましたが香箱真に残ったネジは無事に除去できました。
ムーブメントを分解しながら1点づつチェックしましたが角穴ネジ以外に交換が必要なパーツはなく、洗浄・組み立て・注油を行ったところ計測値も良好でした。文字盤・針の取り付け、ケーシングと作業を進め、ランニングテストでは精度の微調整が必要ないほど快調な動作をしましたのでスムーズにオーバーホールを終えることができました。
こちらのヘリテージ レンジャーはすでに販売済みですが、参考までに販売ページとヘリテージモデル一覧のリンクが記事の最下部にございますのでよろしければご覧ください。
こちらのチューダー ヘリテージ レンジャーをお客様からお預かりした場合はオーバーホール基本料金で26,000円~(パーツ代金別途)。
外装仕上げを追加の場合はオーバーホールとのセット料金で11,000円です。
ご使用中の精度が気にならないからとメンテナンスをせずにお使いになられる方もよくお見かけします。ご使用になっているなら当然のこと、お使いにならなくとも経年により内部状態は刻一刻と変化しています。目に見える不調が起きたときには大量のパーツ交換が必要な事も珍しくはありません。長期間メンテナンスをされていないと心当たりのある場合はぜひ当店にご依頼ください。