みなさん、こんにちは!アフターサービス部の小島です。
ようやく、よーーーうやく!!涼しくなってきて、出勤時の汗に悩まされなくなってきましたね。1年中今くらいの気温だったらいいなぁと思いつつ、先日は2か月ぶりにバイクに乗ってきました。
朝から晩までバイクで走ってすべって転んできました!日が沈めば仲間と月見酒…いい休日をすごせました。
自動巻き時計は外していると止まる
さて休んだ分だけ動ける(こじんのかんそうです)のが人ですが、休ませたら止まるのが機械式時計です。っていうことで。
今回は自動巻きについてのお話です。自動巻きといってもご存じのように勝手にまかれるワケじゃありません。
自動巻きローターの構造
腕をゆすった時にこの大きな部品(ローターっていいます)がぐるっと回ります。
時計に対してローターが回転することで、裏側につながっている歯車が回転&巻き上げているのです。
分かりづらいので赤丸部分を拡大
赤丸部分が円形ではなく異形になってて、歯車の内円にハマります
自動巻き時計が止まった時に振るのはNG!
で、みなさん結構勘違いされてる方が多いのですが、止まって(ゼンマイがほどけ切った状態)からご使用になるときは、時計を振るのでなく手巻きしてください。
ある程度手巻きして動かないなら、ちょっと。ほんのちょっと振るのはナシじゃないですが、振るだけでちゃんと巻き上げるのは…まー現実的じゃないです。
なんで手巻き?振っても動くじゃんって話ですが…。その理由をご説明します。
自動巻き輪列の「力」の伝わり方
自動巻きで巻き上げる時、ムーブは
- ローター(ローターカナ)
- 切替車
- 中間車
- 角穴車(香箱芯・ゼンマイ)
って伝わっていきます。
自動巻き機構(裏側
カッコでくくっているのは1:1で回転するものです。
ポイントになるのは、自動巻き輪列ってのは減速輪列って事。かんたんに言えばローターの回転よりゆっくりとゼンマイが巻き上がるって事です。
なぜ「ゆっくり」巻き上げるのか?
なんでわざわざゆっくり巻き上げるかっていうと、その方が弱い力でも回転できるから。
身近なトコで自転車のギアとか…1速だと軽い力ですこし進むし、5速や6速だと重い代わりにたくさん進みますよね?そんな感じです。
ローターは日本名で回転垂(垂:重り)なんて名前がついてるんですが、言っても数十グラムってトコです。
手巻きした事がある方ならわかると思うんですが、ゼンマイ巻上げってわりと力がいりますので、少しづつでも軽い力で巻き上げられる減速輪列をつかってるのです。
図の例でいう”重いけどたくさん進む”輪列だと、多分1ミリも回転できない。
ローターが何回転すると全巻き上げになるか計算して求める
じゃあ、どれだけローターが回転したら全巻きになるの?って事で。数えましたよ、歯車の歯数…。
ローター(カナ) 21歯
切替車・56歯 切替車カナ・12歯
中間車・78歯 中間車カナ・10歯
角穴車(香箱芯・ゼンマイ)・60歯
えーーと。。。計算したらローターが104回転で、ようやくゼンマイが1回転でした。・・・計算、ミスってないですよね?
だいたいゼンマイが7回転半位で全巻きなので、ローターが780回転で全巻き。これ、振ってやりますか…?
止まった時計は振らずにリューズを手巻きしよう
ということで!止まった後は振って動かすって方!止まってる時計を使うときは手巻をしてから使ってくださいね。
時計にもよるし、巻き方や個人差もありますが、リューズを50~100回転くらい、ちゃんと全巻きにしてお使いください。
自動巻き時計はリューズを巻きすぎても壊れません
巻きすぎたりして壊れないのって聞かれることもありますが、まったく問題無いです。
自動巻きのゼンマイは、全巻きまで巻かれた後に巻こうとすると、スリップするゼンマイ切れ防止の機能がついてます。
というか、これが付いてないと、
- 手巻きで全巻き
- 腕に付けて使う
- 自動巻き機構で巻上げられる
- ゼンマイ切れる
っていう使うと必ず壊れるってどうしようもない道具になってしまいますですよ。
その他修理事例も公開しています!
ゼンマイについてはまた今度書くとして、自動巻き機構についてはこのあたりで〆たいと思います。
ここまで長文読んでいただきありがとうございます!
まだまだ読めるよ!って方は修理事例を公開してますのでそちらもお願いします…!!!
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。