修理・アフターサービス

【修理のプロが教える】①ゼンマイの力で動く機械式時計【腕時計基本講座】

みなさんこんにちは。
アフターサービス部の小島です。皆様お変わりありませんか?

私は、年明けに念願だった溶接士の資格を取得しました!
自宅の駐車場が、内装リフォーム用の木材置き場から鉄骨資材置き場に転身しました。

ビフォー    ⇒    ⇒    ⇒    ⇒    ⇒    アフター

そして、まずは何もないリビングに家具を♪ってことで


なんということでしょう~♪やったぜ!ソファーが出来上がりました★

次に何を作るか、ほぼほぼノープランですが、新しいことを知る&始めるってワクワクして日々を過ごしています。🐤

腕時計基本講座 機械式時計とは

さて話をガラっと変えまして今回のお話は、腕時計の基本中の基本のお話。
腕時計内部に搭載された機械=ムーブメントについてです。
大きく分けて腕時計は機械式電池式の2種類に分類されます。
機械式時計 = ゼンマイを巻くことで動く機械構造によって動作する時計
ゼンマイを巻き、そのゼンマイがほどける力を利用してムーブメント(時計に内蔵された機械)に組み込まれた歯車や、文字盤上の針などのパーツを動かすという仕組みです。
時計”内部のイメージで思い浮かべるのは、たいていの場合こちらではないでしょうか。
基本的な構造が完成したのは1800年代の終わりごろ。

(※何をもって同じ構造として括って話すかで年代は変わります)

そこから部品の工作精度の向上などにより、形状の見直しなどをしていますが、基本構造はほとんど変わっていません。

①ゼンマイが巻き上げられる
②ゼンマイがほどける力で歯車を回す

③正確に時を刻むようにほどける速度を制御

■ROLEXデイトナ116519 ムーブメント拡大画像
 

機械式時計が動くしくみ

①ゼンマイが巻き上げられる

ゼンマイの巻き上げは、手で巻く手巻きか、自動巻き機構で巻き上げられる自動巻きの2種類あります。
手巻きというのは、文字通りリューズを手で回すことでゼンマイを巻き上げる方法で、自動巻きというのは機械に取り付けられた錘(おもり)が動くことでゼンマイを巻き上げる方法です。
知らない方が多いのですが、一部を除いて自動巻きの時計も手巻き機構は付いています。
さらにアンティークの懐中時計では、手巻きの一種で「カギ巻き」なんてのも存在します。
リューズを操作して歯車を介してゼンマイを巻き上げる手巻きに対して、文字通りカギ差し込んでゼンマイを巻き上げる機構です。
止まってしまった時計は、振って動かすのはやめて、まず手で巻いてください
大抵の場合振って何かあるわけでもないのですが、全くもって非効率的かつ不具合の原因にもなるので、まずは手巻きをしてください。

※この効率であるとかについては以前書いたブログに詳しく書きましたのでお時間がある時にでも是非

■関連ページ:【自動巻きなのに】ロレックスの場合【止まってしまう】

②ゼンマイがほどける力で歯車を回す

巻き上げられたゼンマイが、元に状態に戻ろうとほどける力を利用します。
このゼンマイのほどける回転を動力に変換して歯車を回します。

■ROLEX サブマリーナー16610に搭載されているゼンマイ

オイスターケース防水性能の要となる輪っか状のパッキン2種類とゼンマイです。

③ゼンマイがほどける速度を制御

そのままだと巻き上げた分だけゼンマイは直ぐにほどけてしまうので、正確に時を刻むように適切なスピードで正確にゼンマイがほどけるように、調速機や脱進機にて調整・制御しています。
 
調速機で解ける速度を調整>+<脱進機で歯車が一定に回るよう制御正確に時を刻む
時計の”カチ♪カチ”とか”チク♪タク”という音は、この脱進機が動いている音なのです。

■タグホイヤー 自動巻きムーブメント「キャリバー11」 金色の輪がテンプ
ゼンマイの動力が輪列を動作させ、輪列後端にあるアンクルテンプを規則正しく往復振動させます。(逆にテンプアンクルを規則正しく往復運動させてもいます。)
”時計の心臓部”と呼ばれるテンプの動きが速いほど秒針はスムーズに進み、遅ければぎこちなく進んで行きます。
さらにこのテンプが動く速度を「○○振動」と言いますが、これは1時間や1秒間当たりにどれだけ動いたか(※1”往復”ではないので注意※片道で1”振動”と数えます)を表しています。
18,000~36,000(5~10)が一般的で、28,800振動が現在の基準振動数と言われています。
ロービート”と呼ばれる18,000振動は1秒間5回、エルプリメロやグランドセイコーのメカニカルハイビートなど高速な”ハイビート”と呼ばれる36,000振動は1秒間に10回動いています。

機械式時計の特徴

古くより多くの時計技師たちによる改良が重ねられてきた伝統技術の結晶である機械式時計には、優れたポイントと注意しなければならないポイントが存在します。

・電池切れが無い
・長い歴史と高いステータス性を持つ

機械式時計は、自動巻き式でも手巻き式でも、ゼンマイの動力があれば止まることなく動き続けます。
物理的にパーツが存在すれば、半永久的に使うことができ、また修理会社によっては
部品を作り出すこともできます。
・定期的なオーバーホールが必要
・電池式に比べると精度が落ちる
機械式時計は電池式時計に比べて、多くのパーツが複雑に組み込まれているため、故障のリスクがあります。

そのため、油の洗浄や補充、パーツ交換、精度調整などを含めた定期的なオーバーホール(分解整備)が必要となります。

機械式時計ムーブメントの現在

ここ数年来、各メーカーとも機械式時計の基本構造や素材の改良が進んでいますね!

毎年発表される新しいテクノロジーや斬新なデザインに新素材の採用など。

これは自動工作精度や素材研究の進歩など、時計製造における技術革新が行われた結果で、見ていると非常に楽しいです♪

■ゼニス
ブランドの先進性を「デファイ」コレクションが担っています。

(ゼニス公式サイトより https://www.zenith-watches.com/ja_jp/collection/defy)

テンプというか脱進機というか。。。斬新な部品。

 

■ブレゲ シリコン製二重ひげゼンマイ


(ブレゲ公式サイトより https://www.breguet.com/jp/%E6%AD%B4%E5%8F%B2/%E7%99%BA%E6%98%8E/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%B2%E3%81%B2%E3%81%92%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%82%A4#)
ヒゲゼンマイが180°対称方向に2つ組付けられています。
シリコンは磁気帯びせず、軽く、摩耗しない(と言われている)と良い事ずくめ♪

製品として発売当初は、急にへし折れたり摩耗カスが出ていたりといろいろありましたが、今ではそういった不具合も落ち着いたように思います。

 

ただ、どれだけ優れた部品と分かっても、いかんせん時計を修理する側から見ると、修理調整が出来ずアセンブリ(部品)交換だけの箇所とも取れますので一抹の寂しさがあります。

 

説明の端緒にも立てていませんが、まずはここまで。

次回は、続きの電池式時計についてお話ししますね。

 

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お見積りは全て無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
 

 


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