カルティエ ロードスター オーバーホール、仕上
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
W62025V3|カルティエ ロードスターのオーバーホール・修理|腕時計のオーバーホール・修理なら【宝石広場 時計修理センター 渋谷】
担当者コメントと修理のポイント
ご購入から6年経ち、極端な遅れや止まりがでるということでお預かりいたしました。
ムーブメントはETA Cal.2892A2(画像2)。
内部を分解していきますと、3番車と4番車の歯車が当たり、止まりの原因になっていました(画像3・赤丸で囲った歯車が当たっていました。画像は調整後です)。
元々、歯車の取付位置には適度な上下左右の隙間(アガキと言います)があり、歯車ごとに許容範囲が決められていまして、何かの拍子にズレると止まりの原因になることがあります。
3番車と4番車の歯当たりはCal.2892系でたまに見かける症状です。3番車の上方向か4番車の下方向のアガキが大きいと当たるのですね。
輪列アガキを調整するにあたり、歯車を支える受け板が曲がっている事があります。
その場合、受石だけ調整しても歯車軸は受石に斜めに当たり、精度に狂いがでてしまいます。そのため、受石を触る前に受け板の曲がりが無いかチェックし、曲がりが無いことを確認のうえ受石の位置調整を行います。
歯車軸に摩耗などはなく、その他部品の状態も良好でした。アガキ調整はオーバーホールに含みますので、オーバーホールと仕上にてお渡しが出来ました。
U様 ご依頼ありがとうございました。