サントス オーバーホール

腕時計修理内容

ブランド名 カルティエ
モデル名 サントス
型番
修理内容 オーバーホール
修理料金 ¥28,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。
修理時間 お見積り3週間、ご返答いただきましてから作業5週間
症状タグ

カルティエ サントス オーバーホール

  • カルティエ サントス 修理後のお時計です

    修理後のお時計です

  • カルティエ サントス 特徴的なブレスレットの裏側です。赤丸部分にはボタンがついています。

    特徴的なブレスレットの裏側です。赤丸部分にはボタンがついています。

  • カルティエ サントス ボタンを矢印方向に押すと駒をスライドして外すことができます。

    ボタンを矢印方向に押すと駒をスライドして外すことができます。

  • カルティエ サントス 文字盤は劣化してヒビ割れてしました。

    文字盤は劣化してヒビ割れてしました。

担当者コメントと修理のポイント

他店でご購入後、長期間使わずにいた時計を久しぶりに使おうとしたら動かないということで宅配修理キットにて渋谷店にご依頼いただきました。

お時計はカルティエのサントスです(画像1)。

最近ではあまり見かけない現行品とは違ったブレスレット駒のつなぎ方も特徴の一つです。
表側から見てもわからないので裏側を撮影しました(画像2)。
一般的なブレスレットはネジやピンとパイプの組み合わせによって取付けられていますが、このサントスにはどちらもありません。
画像の赤丸で囲った部分にある小さなパーツがわかりますでしょうか。このパーツはボタンになっており、駒内部に取り付けられたバネによって画像手前方向にテンションがかけられ駒の抜け防止ストッパーになっています。

画像3をご覧ください。
ブレスレットの長さ調整などで駒のつけ外しをしたいときはボタンを矢印方向へ押すことで駒をスライドして取り外すことができます。入り組んだ場所に小さなパーツ構成で作られており機構が肌にあたるブレスレットの裏側にあることから、汗や皮脂がつきやすくボタンやバネが錆びて固着していることも多いです。さらに錆びが進行すると内部バネが劣化してテンションがかけられなくなりボタンが機能しなくなることもあります。ご使用後に布で軽く拭き清潔に保ち、定期的に専門店へ洗浄を依頼するだけでも錆や汚れの防止になりますのでお勧めです。

製造から長期間経過しているため、文字盤は全体的に劣化し表面には塗装のヒビ割れもできていました(画像4)。
ヒビ割れは経年劣化によるもので避けることはできません。綺麗にするには文字盤交換しかありませんのでメーカー修理が必須です。メーカーでは文字盤交換はオーバーホール必須の作業となるため高額修理となってしまいます。
受付けの際にお客様へ文字盤の交換するしないを伺ったところ、そのままで良いということでした。少しではありますが当店で作業中にも劣化は進行しますので、修理が完了する2ヶ月ほど後に印象が変わる可能性があることにご理解をいただきました。

搭載しているのは汎用ムーブメントのETA Cal.2670です。
メンテナンスせずに長期間経過したというお話し通り油は揮発し、そのままご使用されていたためにほとんどの歯車軸から出た摩耗カスがムーブメント全体に散っていました。摩耗カスは歯車軸の周りだけではなく脱進機にも付着していました。油切れや軸の摩耗により回転抵抗が大きくなり、脱進機の中でもアンクルの軸や爪先に付着したことが決定打となったようです。簡単にまとめるとゼンマイの力を輪列やアンクルを介してテンプへ渡すまでに伝達ロスが大きくなったことが止まりの原因でした。
ローターの裏側にも付着していたことから、軸が摩耗した状態でご使用になり摩耗カスがローターを介して脱進機をふくめた全体に散ってしまったのだと思われます。不動となった決定打は摩耗カスがアンクルに付着したことですが、元々は長期間メンテナンスしていなかったことで起きています。当店に限らず定期的なメンテナンスをお勧めする理由の一つがこういった突然の不動を防ぎ、常に時計を良い状態を保つためです。

軸の摩耗は交換が必要になる一歩手前まで進んでいましたが、まだ研磨で対応できる状態でした。1つずつ丁寧に研磨して組み上げたましたら精度は実測値で日差+7秒ほどと調子よく時間を刻むようになり、正常な持続時間にも復帰しましたのでオーバーホールのみにてお渡しができました。


E様 ご依頼ありがとうございました。