フランク ミュラー ロングアイランド オーバーホール、ラグ曲がり修正、外装仕上
腕時計修理内容
ブランド名 | フランク ミュラー |
モデル名 | ロングアイランド |
型番 | ref.1200SC |
修理内容 | オーバーホール、ラグ曲がり修正、外装仕上 |
修理料金 | ¥63,000-(税込) ※事例公開時の価格となります。 |
修理時間 | お見積り2週間、ご返答いただきましてから作業4週間 |
症状タグ | 外装破損・曲がり・固着止まる衝撃 |
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修理後のお時計です。
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曲がり箇所にはシワがよっていました。
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矢印で指した線の様に大きく曲がっていました
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外装仕上とラグ修正後
私が担当しました
宝石広場修理部スタッフ。時計修理技師。時計修理業界歴約20年。
時計の状態確認/点検/判定/故障個所の修理などの技術的な対応から、接客/見積もりまで幅広く担当。
1つ1つの時計に丁寧に向き合い、お客様のお手元に良い状態でお戻し致します。
是非お気軽にお問合せください。
担当者コメントと修理のポイント
他店でご購入になり長くご愛用されていたお時計が動かなくなってしまったという事で渋谷店にご来店頂きました。
お時計はフランク ミュラーのロングアイランドです(画像1)。
長くご愛用されていたというお話の通り外装には多数のご使用傷がついていまして、その中でもラグは余程強い力でぶつけてしまったのか大きく曲がった金属表面にはシワができ、さらに根元から内側に曲がって変形していました(画像2、3)。
画像3では5時位置のラグ曲がりのみを映していますが、実際には1時位置も同じ様に曲がって変形していました。
※画像では分かりやすいよう大げさな角度の線を描いています。
お客様へラグ曲がりの状態をお伝えしたところ、真っすぐに修正をご希望いただきました。
しかし、一度曲がってしまった物を元に戻す際には注意が必要です。
なぜなら強い力を受けて曲がってしまった物に、さらに大きな力を入れて逆側に戻す作業が必要だからです。
時計のケースに限らず一度曲がったものは素材として強度が弱くなりますし、繰り返し力をかけるとさらに弱くなってしまいます。そのため曲がりの程度や素材、形状なども絡み一概には言い切れませんが修正を行うことで完全に折れてしまう可能性があります。ある程度は経験で結果を予想ができますがやはり実際に作業をしてみないと分かりません。
もちろん折れない様に細心の注意を払って作業をしていますが、ダメージを受けた素材に大きな力を再びかけるという作業である限り折れる可能性をなくす事はできません。
万が一、ラグが折れてしまった場合もフランク ミュラーは正規店でご購入された証明(保証書)がないと、修理を受け付けしておりませんので、他のメーカーのように折れてしまったらメーカーでケース修理やケースそのものを交換する選択肢もありません。
破損のリスク、メーカーの特性をお客様へご案内しまして、ご了承を頂いてからお預かり致しました。
※このような場合は変形や破損の状態により個別に修理の可否や料金などをご案内をしています。
本来のご依頼内容であります不動の原因を探るべく内部をチェックしたところ、輪列の3番車と4番車が歯当たりしている事が判明しました。おそらく衝撃によって歯車の穴石が既定の位置からズレてしまったのでしょう。
幸い部品の破損はありませんでしたのでオーバーホールと歯車調整を行いました。
別途ご依頼いただいた外装仕上では先にラグの修正が折れる事なく無事に終わり、大きな打痕こそ残りましたがほとんど目立たなく綺麗な状態に戻ることができました。
K様 ご依頼ありがとうございました。